会議室を出てから数十分は歩いて、ようやく地上に出れたようだ。
まずは入り口にもどろう。という方針だけを決めて、廊下を歩いていた。
ここは、中庭だろうか。
すごいお庭・・・。 なんてお花だろう、見たことないけどすごく綺麗だね。
花帆は先ほどから何か考え込んでいるようで、答えを返してくれない。
花帆・・・。 どうしたの?さっきから黙ってるけど。
もし、不安とかなら・・・。 ほら、私もそうだからさ!
元気だそうよ! 花帆が暗いと私も心配になってきちゃうよ!
元気出して―! ほーら、元気元気ー!
かほぉ~・・・。
あ、ごめん。 なんだっけ。
・・・・・・。
花帆、なにか悩んでるの?
ん、と・・・。
あのね、祐美。 もしかしたらあの手紙はあたしのおばあちゃんが書いたかもしれないの。
・・・・・・
どういうこと?
小さいころにね、おばあちゃんが聞かせてくれたおとぎ話があったの。
女の子が学校の屋上から不思議な世界に迷い込んじゃうお話。
そこには、だれもいない白亜の街並みと、大きくて瀟洒なお城。それに中庭の綺麗な花畑があるんだって。
このお城のこと、だよね・・・。
英語も、その鏡文字を教えてくれたのもおばあちゃんだったの。二人だけの暗号だって、教えてくれたの。
あの手紙の筆跡と訛りはおばあちゃんの字にそっくりだったの。 だから・・・
そうだったんだ・・・。
それきり花帆は黙ってしまった。 長い廊下に、さびしく足音だけが鳴る。
その物語の女の子は、最後にどうなったのかな?
どうだったかな・・・。 あたしは不思議な世界に夢中で、街に様子ばっかり聞きたがったから・・・あんまり覚えてないや。
ねえ花帆。 もしもその女の子が花帆のおばあちゃんのことだったらね。
きっと、ハッピーエンドだと思うの。
え?
だって、かわいい孫にお話しするくらいだもん。きっと素敵な物語だったと思うよ。
だから元気出してね花帆。 ほら、あの大きな扉なんて王様のお部屋って感じだよ。 きっとすぐに帰れるよ!
うん・・・。 うん!そうだね! ありがと、祐美。
居室・・・というより寝室だ。 部屋の中央には天蓋付きのベッド。 そしてサイドテーブル。身分の高い人の部屋なのは間違いないだろう。
ここ、なのかな。
探してみよう。 もしかしたらこの部屋にあるかもしれないし。
そうだね。
黄金のインクはすぐに見つかった。 ベッドサイドのチェストにしまってあったのだ。
あったよ、花帆。
さすが祐美! うわー、ほんとに金色だよ・・・。 何でできてるんだろうこれ。
うーん。 金色の絵の具、とかじゃないと思うけど・・・。
異世界産なんてわからなくて当然か。
さっきのパン食べてよかったのかな・・・。






