『第6幕 神性の塔は微睡を赦す。』

塔に足を踏み入れた時、遠くから鐘の音が聞こえた。

塔の内部はまるで日本家屋のようだ。 畳張りの床に、障子で仕切られたいくつもの空間。

家具らしきものは見当たらず、まるで思いつくままに作ったような不恰好さを見せている。

ここは人の住む場所じゃない。 だれかが実在の塔をもとに見よう見まねでつみあげた、お飾りの塔。

白亜の街と同じように、ここにもまた人の気配はなかった。

何階建てなの~、この塔。 もう結構のぼってるのにまだ全然上に進んでる気がしないよー・・・。

階段を上りきったところで、花帆がぼやいた。

うーん。 このペースだと、まだまだ最上階にはつかなそうだね。

どこにもご飯おいてないしー。 ここには厨房とかないのかな。

なさそう、だよね。 この塔、実用性がないっていうか、生活感がないっていうか・・・。

ほんと、最近のプラモデルの方が凝ったつくりしてるよね。

そうかも。 小さいころに砂のお城ってつくらなかった?

つくったつくった! 水の量が難しくて、あたしいっつも途中で崩しちゃうんだよね~。

もしも砂のお城には入れたら、こんな感じなのかも。 外側と雰囲気ばっかりで、機能が伴ってないよね。

うーん、確かに。

塔はまだまだ続いていく。 広間を抜けて階段を上る。そしてまた広間を抜けて、階段を上っていく。

もしかして、さ・・・。

途中の階にあった手紙を見逃したりとか、してないよね・・・。

それは・・・。

・・・・・・。

あ~~~~!

考えても仕方ないよねっ! とにかくのぼるしかないか・・・。

うんっ! がんばろうよ!

もくもくと塔を上っていく。 広間、階段、広間、階段、広間、階段、広間、階段・・・・・・。

はぁ・・・はぁ・・・。

はぁ・・・はぁ・・・。 花帆、だいじょうぶ・・?

そっちこそ・・・・

さすがに、これは体力的につらい。 二人そろって息が上がってしまう。

はぁ・・・休憩に、しようか・・・。

さんせー・・・。

たたみの上に花帆が寝ころんだ。 大きく足を開いているのを見ると、ホットパンツがうらやましい。

今何階なんだろう・・・。 このまま上り続けるのは厳しいかも。

そうだねえ。 でも、普段より疲れてないかも。

どういうこと?

普通これだけ階段をのぼればもう無理だと思うんだけど、少し休めばまた頑張れそうじゃない?

そう言われてみればそうかも。

あっ!

どうしたの?

そういえば・・・とか、行きたくならないかも。

・・・? いまなんて言ったの?

だ~か~ら~・・・。

その、ト、トイレとか・・・。

花帆。 恥ずかしいなら言わなくてもいいのに。

だって・・・。 もしかしたら祐美が気付いてないかなーって思って・・・。

でも、そういえばそうだよね。 あたしはそんなにお腹も減らないし、トイレに行きたいとも思わなかったし。

時間がたってないことが影響してるのかな。

じゃあちょっと便利かも! ほら、ここにいれば運動し放題、自然と食事制限もできるでしょ。

それは身体に悪そうかも・・・。 花帆はお腹すいちゃうんでしょ?

そう言われれば・・・。

そうだった!

よし。十分休憩したし、そろそろ行こうか。こうやってお話しながら歩けば疲れを感じないのかもね。

なるほど。 よし、どんどんしゃべっちゃうよー!

足もちゃんと動かしてよね。

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公開日 2012/09/22 14:19 再生回数 7

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