“第3幕 神々の慈しみはいかにあるのか。”

お城の中にはたくさんの部屋があった。

寝室であろう大きなベッドのある部屋。大きな厨房。ソファと暖炉の談話室。石造りの浴室。

地下に隠された牢獄。処刑部屋。城の主のために贅の尽くされた居室。書斎。たくさんの部屋があった。

どの部屋にも直前まで人がいたような物があった。調理中の食材や、乾ききらない鮮血のような・・・。

だが城のどこにも人の影は見つからない。

なんで地下にこんな部屋が・・・。

他の部屋よりは落ち着いた雰囲気みたいね。今でいう、会議室みたいな感じかな。

みて、あそこになにかの紙がある。 羊皮紙・・・? あたしたちの使ってる白い紙とは別物だね。

・・・なにこれ。 日本語じゃないし、英語でもないよね。

ん・・・。 ちょっと待って、読めるかも・・・。

ええ?

柱の話が出た時といい、この紙のことといい、花帆は何かに気付いてるのかもしれない。

・・・・・・。

ん、わかったよ。 だいたい読めた、と思う。

すごい、もしかして花帆ってマルチリンガルな人?

んーっと、そういうわけじゃないんだけどね。

この文章は筆記体の英語で書かれてるの。 文字自体が鏡文字になってるし、訛りとか省略も多いみたい。

日本語にすると、こんな感じかな。

花帆が、翻訳した内容を読み上げ始めた。

たどり着いた誰かに宛てて。 これは私からあなたたちへの助言です。もしなにも知らずに巻き込まれたのなら、参考にしてください。

ここはあなたたちのいた世界ではありません。元の世界に戻るには、いくつかの手順をたどる必要があります。

まずはこの城のどこかにある、黄金のインクを手に入れることです。おそらくは王の居室にあるでしょう。

手に入れたら、今度は北西の街に向かってください。そこで同じような手紙を見つけてください。

喜びなさい。神々があなた方を慈しんでいらっしゃることを。

ではまた、次の街で。

これって・・・。

うん。 そのまんま、元の世界への戻り方みたいだね。

よかったあ・・・。 すこし安心したよ。 この手紙の通りにすれば戻れるんだね・・・よかったぁ・・・。

・・・・・・どうしたの?

ん。 まあ、なんでもないよ。

まずは、黄金のインクっていうのを探しに行こうよ。王の居室って、わかる?

っていうか、入り口の戻り方もわからないかも・・・。

あちゃー・・・。

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Posted at 2012/09/21 14:36 Viewed 9 times

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