“第1幕 夜の校舎は冷たい鐘の音を鳴らす。”

ほんとに大丈夫かなぁ・・・。 防犯装置がついてるんじゃないの? やっぱりやめようよぉ~。

だいじょうぶ! 防犯カメラもセンサーもちゃんと把握してるから心配ないって。

今日ノート取りに行かないと、夏休みの宿題できなくなっちゃうのは祐美なんだからね。

そうだけど・・・・・・。

ほら、いこう!

よいしょ、っと。

せーの・・・えいっ!

窓をよじ登って教室に入る。 ここは一年生の教室で、目的地は二階ぼ文芸部室だ。

なんかわくわくするねっ! 夜の学校なんて初めてだよ!

え~、こわいよぉ・・・。 警備員さんとかいたりするのかなぁ。

貧乏な公立にそんなお金ないでしょ。ほら、うちの部室見えたよ。

ガラガラ・・・

うわー、なんか雰囲気違うかも・・・。

文芸部室の扉を開けると、当然だが中は真っ暗だった。

ねえ、知ってる?うちの学校にも七不思議とかあるんだって。

ちょっと、やめてよ。 わたしが怖い話苦手なの知ってるでしょ。

え~っと・・・・・・ あ、あった。

見つけた? これであたしたちの宿題はばっちりだね!

もう、なんで今年こそ自分でやろうっていう気持ちがないのかな。 言っておくけど丸写しはダメだからね。

わかってるって! でも勉強会はやろうね。夏休みはそれだけが楽しみなんだから。

はいはい。 そろそろお互い彼氏とかいてもいいと思うんだけどね。

ん~、あたしは祐美がいればそれでいいかなー。

あたしも特別欲しいわけじゃないんだけど・・・。 花帆は好きな人とかいないの?

祐美かな。

はいはい。

ガラガラ・・・

そうだ! 屋上に行ってみようよ。 普段立ち入り禁止だけど、今ならだれも見てないよ。

わたしは早く帰りたいんだけど。 もしかしたら先生が巡回してるかもしれないし・・・。

ここまでくれば一緒だって! それにほら、ここになんと屋上の鍵が・・・。

もう、最初からそのつもりだったでしょ・・・。

夜の校舎に足音が響く。 二人の足音以外に音はない。 どうやら、他には誰もいないようだ。

すこし寒くない? なんていうか、変な感じ・・・。

隙間風かな。 夜だから、こういう日もあるよね。

花帆が鍵を刺しこむ。 どうやら長年使われていないようで、何度かガチャガチャと回して、鍵が開いた。

ギィィィと錆びた金属が鳴った。

えっ!

なっ!?

ドアの向こうから、強烈な光が差し込んだ。

どこか遠くで、鐘の音が聞こえた。

・・・どうやら気を失っていたようだ。

ぼんやりとしていた意識が徐々に覚醒していくのがわかる。

祐美はまぶたを開いた。

ここ・・・どこ・・・。

花帆!

すぐ隣に、同じように花帆も倒れていた。 あわてて揺さぶると、どうやら気が付いたようだ。

んん・・祐美? あれ、あたしは・・・。

どうやら状況が理解できないのは同じのようだ。

・・・山?

わたしたち、屋上にいたはずだよね。

だよね・・・。 なんでこんな所にいるんだろう。

そうだ!祐美ケータイ!

ケータイのGPS! 位置わかるかも!

そっか! ちょっと待ってて・・・。

慌ててケータイを取り出す。 ロックを解除して、地図アプリを起動する。

うそ・・・圏外みたい。

そっか。 山の中だからしょうがないのかも。

うーん・・・。

時間はわかるよ。 24日の夜10時だから、1時間くらいしかたってないみたい。

・・・夜?

そう・・・夜。

どうみても周囲の様子は昼だ。

ここ、日本じゃないってこと・・・?

そんな~。

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Posted at 2012/09/21 09:50 Viewed 19 times

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祐美と花帆。少女二人の小さな冒険物語。第1幕。

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