ん…ん……
アリス 「ん…ん…」
侍 「チッ…なんだってんだ」
侍 「おい嬢ちゃん!大丈夫か!?」
アリス 「うん…なんとか…」
侍 「たく、言わんこっちゃない」
アリス 「う…うん まさか穴に落ちるなんて…」
侍 「俺だって予期してなかったよ…」
アリス 「う~ん… ずいぶん落ちたみたい」
侍 「だな… 明かりが全く見えねぇし…」
アリス 「ちょい待ち」
カチッ
ボワァァ
侍 「おお なんだそれ!?」
アリス 「発煙筒、懐中電灯もあるけど もしもの時のために電池を節約したいからこっちにした」
侍 「なんか 熊が出てきても勝てそうだな」
アリス 「う~んちょっと無理かな」
ちゃららららん
楓 「アリスゥゥーーー!!!」
楓 「はぁはぁ… ダメ…返事がない…」
春香 「楓!! アリスちゃんは!?」
楓 「この穴に落ちたみたい…」
春香 「うわッ 中が全然見えない…」
楓 「どうしよう… アリス…」
春香 「楓 落ち着いて」
楓 「落ちつけるわけないでしょ!! 友達が無事かどうかもわからないのよ!!」
春香 「落ちつきなさいッ!!」
楓 「…ッ!!」
春香 「まず状況を整理しましょう ケータイはつながりそう?」
楓 「えっと…」
プルプルプル……
楓 「ダメ…繋がらないわ…」
春香 「そっか… う~ん…この穴 どうやら洞窟みたいね…」
春香 「草場の影になってて落ちたのね、おそらく中は洞窟になっていると思うわ」
楓 「洞窟…?」
春香 「井戸にしては形がいびつだし 声が反響してるところからするとおそらくね」
春香 「それに中が全く見えないのは 穴の形状が緩やかに屈曲してるから」
春香 「ただ結構深そうね…」
楓 「どうすればいいの?」
春香 「まずは地形から推測して 下に落ちたのだからここより標高の低い場所に移りましょう」
楓 「でも出口がここしかないかもしれないじゃない…」
春香 「大丈夫よ 風がかすかにするでしょ?」
楓 「え…うん…」
春香 「風は他に逃げ道がないと起こらないから、出口は他にもあるわよ」
楓 「あ、そっか…!!」
春香 「よしッ そうと決まれば出口を探すわよ!!」
楓 「え うん!!」
トコトコ
侍 「こっちの方に歩いていって大丈夫なのか?」
アリス 「大丈夫 風がこっちから流れてるから おそらく出口はこっち」
アリス 「しかもかなり大きな出口だと思う」
侍 「う~ん あんまりあてにならないな…」
アリス 「私を信じなさい」
侍 「大丈夫かよ…ホントに」
ちゃららららん
アリス 「ん?」
侍 「ん?どうした?」
アリス 「道が広くなってきた」
アリス 「懐中電灯に切り替えてみる」
カチッ
「…ッ!!」
アリス 「ひぃッ…!!」
侍 「……骸骨が山積みに……」
侍 「なんだよこれ… ここは墓場かなんかかよ…」
アリス 「なんでこんなに…」
侍 「生き倒れってわけじゃなさそうだな…」
アリス 「……どうして…」
侍 「さぁな…それより…」
アリス 「どうして……」
侍 「…?嬢ちゃん?」
アリス 「………」
からん
!?
侍 「嬢ちゃん!!」
アリス 「うん!!」
タッタッタッタ
タッタッタッタ
侍 「チッ見失ったか…」
アリス 「けど出口は2つしかないから 上はないということは…」
侍 「このまま風の方向に進めば自然と 追いつける!!」
アリス 「うんっ!!」
タッタッタッタ
アリス 「明かりが見えてきた!」
侍 「よしっ このまま突っ切るぞ」
タッタッタッタッタ
二人 「出れたあああ!!!」
ざざぁーーーー
へ?
楓 「春香!! ホントにここで大丈夫なの!?」
春香 「地形から考えてこのあたりで間違いないはずよ!!」
楓 「けど 滝があるだけで洞窟なんてないわよー!!」
春香 「おかしいなぁ この辺なんだけどな…」
ざざぁーーーー
アリス「出れたあああ!!!」
楓「アリス!?」 春香「アリスちゃん!?」
アリス 「あれ…」
ずざざざざーーーーー
アリス 「ああ~れぇ~~~~」
楓「アリスーーーーー」 春香「アリスちゃぁぁぁんーー」
ざぶん…
ざざざあーーー
アリス 「お目目ぱちりんこ…」
楓 「アリス!? 怪我はない!?どこか痛いところはない!?」
アリス 「大丈夫快調快調…」
楓 「もう!!! 心配したんだからね!!!」
アリス 「う、うん ごめんなさい…」
楓 「はぁ… 本当によかった…」
春香 「しかし おったまげ―しょん まさか滝の中から出てくるなんて」
アリス 「それは私も予想外」
侍 (俺だってびっくりだわ)
アリス 「二人とも…」
二人「うん?」
アリス 「心配かけてごめんなさい… 今後は気をつけます…」
春香 「アリスちゃん…」
楓 「もういいわよ 無事にアリスが帰って来られたんだもん…」
楓 「それだけで十分よ」
春香 「いやぁ 今日はずいぶんとスリリングな体験だったね」
楓 「笑いごとじゃないわよ!!」
アリス 「けど 今日は目的を果たせた…」
楓 「目的?」
アリス 「うん…洞窟発見という目的」
楓 「あんたねぇ… 最初からそれが目的だったの?」
アリス 「うん あくまで洞窟の存在を確認したかっただけ」
アリス 「中に入るつもりまではなかった…」
楓 「そっか… まぁ今日は目的が果たせてよかったわね」
楓 「でも もう今後危ないことはさせないからね」
アリス 「うん 気をつける…」
楓 「ならよし」
この後すぐに帰り 家に着くと同時に寝てしまった…
洞窟の中でみたものについては 二人には話すことができなかった…