楓 「アリス…??なんでここに?」
アリス 「楓もなんでこんなところに??」
楓 「私はここの調査に来ただけよ?」
アリス 「私も同じだよ」
侍 「考えることは同じってわけか…」
楓 「もう…あんたは一度危ない目に遭ってるんだから自重しなさいよ」
侍 「俺も止めたんだがな…」
アリス 「軽く調査するだけだから大丈夫~」
侍・楓 「ここに来てる時点で軽くではないけど…」
ちゃららららん
楓 「ん・・・なにかしらこの部屋」
アリス 「なんか機材がいっぱい置いてあるね」
楓 (ここって確か火災が起こって廃工場になったのよね・・・なんでここだけ燃えた形跡がないの・・・?)
アリス 「ん・・・?」
侍 「なんだ?どうかしたのか?」
アリス 「うん・・・なんかの資料みたい」
楓 「どんな資料なの?」
アリス 「えっと・・・発電所建設にあたっての資料みたい」
アリス 「読み上げるね」
この発電所建設にあたって 森林近辺の住民による反対運動対策として以下の対応で行うこと
1.強行手段は取らない 2.住民との相互理解 3.発電所の利益のみの追求は厳禁とする
楓 「うん・・・これだけみれば至って普通ね」
アリス 「まだ続きがあるよ」
4.記者の取材には一切応じない
楓 「取材には一切・・・?」
アリス 「必要性を求める取材にも・・・ってことかな?」
楓 「それなら・・・自分たちにも有益なはずなのになんで・・・?」
アリス 「ん?」
楓 「どうかした?」
アリス 「日誌が挟まってた・・・」
楓 「日誌・・・?発電所員の日誌ってことかしら?」
アリス 「だと思う・・・読み上げるね」
5月5日 晴れ 気温23℃ 発電自体には問題なし。 安定稼動しており、水質も至って正常。
5月6日 晴れ 気温24℃ 安定稼動を継続中。2号機が一時停止を起こしたが再稼働。水温が若干上がったと思われる。
アリス 「・・・・・・」
楓 「ん?どうしたの?」
アリス 「つまんない・・・」
楓 「・・・・・・いいから続き読んで」
ちゃららららん
以降大した進展のない内容が続いたが翌年の7月に入ったあたりからだった・・・
アリス 「ん・・・・・・?これ・・・」
楓 「どうかした?何か書いてあったの?」
アリス 「読むね・・・」
7月6日 曇り 気温23℃ 2号機が突然停止した。原因は不明だが稼動自体には異常は見られなかった。原因究明を急がねばならない
7月12日 雨 気温24℃ 一号機以外完全に停止してしまった。原因は全く分からないままであるが、なぜか1号機だけは稼動している
7月24日 晴れ 気温28℃ 再び再稼働。異常も原因も不明なままであったが、通常稼動中である。
8月4日 晴れ 気温31℃ 再稼働してからは全機順調であるが、最近妙な匂いがする。原因を調査中。
8月12日 曇り 気温30℃ 作業員だ次々と倒れだした。現在は自分だけであるが原因が分からない。
楓 「え・・・?」
アリス 「・・・・・・まだ続きあるよ」
楓 「うん・・・続けて」
侍 「・・・・・・」
8月20日 晴れ 気温35℃ 原因が全く分からない。機材に何も異常は見られないのに水質だけが日に日に悪化していく。
どういうことかは分からないが 稼動を停止させ、全機調査を行う。
8月30日 晴れ 気温36℃ 原因は判明した。全ては一号機から始まっていた。7月に稼動停止したのも一号機が原因であった。
この一号機からは・・・・・・が検出されていた。 これは・・・・・・で ・・・・・・であるからして・・・
楓 「え?ちょっと・・・一番重要な部分は!?」
アリス 「字がぼやけたりかすれたりしてよく見えない・・・」
楓 「そんな・・・一番重要な部分じゃない」
9月1日 曇り 気温32℃ 意を決しことの深刻さを会社に報告するも取り合ってくれない。
とにかく社長にこのことを伝えなければならない
9月10日 曇り 気温31℃ 体のだるさを感じるようになった・・・ これ以上の作業は危険と判断し会社から休暇をもらうことにした。
9月22日 曇り 気温27℃ ・・・・・・・・・を・・・ すま・・・・・・い・・・・・・
楓 「え?ちょっと今の何??」
アリス 「わかんない・・・そうやって書いてあったから」
アリス 「これ以降は書いてないみたい・・・・・・ん?」
楓 「どうしたの?」
アリス 「続きがあった・・・」
10月2日 雨 気温22℃ 事は深刻だ・・・。まさかここまで事態が進んでいるとは予想外であった。なぜ報告が遅れたのかはわからないが
事態を収集しなければならない。 私一人だけだが・・・ これを見ている者がいるのであれば あの場所に行ってくれ・・・
アリス 「ここで途切れてる・・・・・・」
楓 「10月2日・・・・・・」
侍 「事故が起こったのもちょうど10月だったな」
楓 「これを書き記したあとに起こったのか・・・それとも事故の最中に書かれたものなのか・・・」
侍 「いずれにしろここで何があったかだけははっきりしたな」
アリス 「会社が何かを隠蔽していたという事実・・・」
楓 「・・・アリス・・・これは私たちが思っていた以上に深刻よ」
アリス 「うん・・・・・・ちょっとこれは私たちの手では負えないかも」
楓 「どうするの・・・・・・?」
アリス 「とにかくこの資料は保管しなきゃいけない気が・・・・・・する」
楓 「・・・・・・10年前の出来事」
アリス 「・・・・・・」
楓 「アリス・・・?どうかした?」
アリス 「・・・・・・10年前に焼死体が発見されたって事件」
アリス 「それに10年前から始まった神隠し・・・」
楓 「ちょっと待って・・・焼死体って・・・」
アリス 「近所のおばちゃんが話してたから探して見つけた記事に載ってたの」
楓 「私は発電所の火災事故って記事をもとに来たのだけど・・・」
アリス 「あら偶然」
楓 「ただ・・・この発電所自体川島グループっていうところが作ったらしいのだけど」
アリス 「うん・・・私もそれは聞いたことある。けどその川島グループの当時の社長さんは失踪してる・・・」
楓 「失踪・・・!?ってもしかして・・・」
アリス 「うん・・・・・・多分それが一番最初の神隠しだと思う」
楓 「そんな・・・・・・」
様々な情報を得た私たちだけど 結局その後は廃墟からは何も見つからなかった・・・
一様に帰路へ着き 情報整理をすることにした