（か、関わりたくない）
（でも、中二病キャラは演技でやったのかも！）
（そうだとしたら、何か話しかけないとまずいよね……でも私からだとちょっと話しにくいなぁ）
よう、転校生。さっきのあいさつは滑ちまったな！
（ナイス、もう一つ隣のバカ男）
滑る……？
まさか、先ほど俺が言ったダークスレイヤーというのを信じていないと？
えっ……？
残念だったな。全て、真実だよ。 この学校の支配者になるというものな。
いや、だからそういうキャラはいまいち寒いというか……。
寒い？ それはそうだ、俺の髪を見て分かるように氷属性っぽいだろ？ そのせいだ。
……。
（ほ、本物だっーー！）
（ど、どうしよう。バカ男の気力が無くなっちゃったし……）
（うわ、なんか見てる）
やぁ、隣になったのも何かの運命だ。 よろしくね。
えっ！？
（な、なんだ。中二病だけど、ホントは良い人そうだ）
うん、よろしくね！
やはり運命からは逃れられないわけか。 魔女よ……。
（ぜ、前言撤回！）
あら、もう隣と仲良くなったの？ 優理さん、相野くんを色々と案内してあげてね！
ちょ、ちょっと待ってぇええ！？
さて、僕には魔女の力が必要なんでね。 付いてきてもらおうか……。
（な、何……？ 確かにネトゲで殺戮の魔女とか呼ばれてるけど）
ちょっと待ったぁあああ！
うちの優理をどうするつもり！？
葵！
ただの道案内をお願いしただけさ……。
み、道案内？
そう、俺が倒すべき相手。 魔王のね……。
ま、魔王？
つまりだ。この学校を現在支配している奴の元へと案内しろということだ。
えーっと……ということは校長先生の所まで行けばいいの？
あっ、いや……そこまでの人はちょっと相手できないので……。
（実は気が小さいな、こいつ！？）
この世界の言葉で、確か生徒会長というものが学校に存在するだろ？
まあ、いるけど……。
その場所へ、案内しろ。 魔女のしもべ。
しもべって……まあいいけど。 お願いします……は？
ふっ、これは命令だぞ？
お願いします……は？
すいません、お願いします。
（やっぱ、超気が弱いわ、こいつ！）
別に優理は来なくても大丈夫だったのに。
色々、心配だからよ。 （主にあの中二病のことが）
それにあの生徒会長の所でしょ？
校長先生の方がまだマシだったのかもしれないのにねー。
……誰が来ようと、俺のブリザードセイバーで斬る。
そ、そう。がんばってね。
生徒会長ー！
おう、葵か！
あんたが、この学校の魔王か。
魔王かー。なんか、それ良いなー。
残念だが、魔王は今日で終わりだ。 この学校はこの俺、ダークスレイヤー響鬼が支配させてもらう。
ははは、おもしろい冗談だな。 響くんか、君は生徒会に入りたいのか？
だから、言ってるだろ？ 俺がお前の代わりに魔王になると。
……。
やばい……生徒会長怒ってる。
葵！ 逃げよう！
響くん。私がこの学校の生徒会長になるとき、汗と涙を出してようやく勝ち取ったものだと知ってるか？
まあ、だいたいの学校はそうだろうな。 だからこそ、あんたを倒せば楽に魔王になれる……。
響くん。一つだけ覚えておきたまえ。
私は冗談が嫌いなんだ……。
ま、待て！ ブリザードセイバーのＭＰが足りなくて、こちらはまだ武器がっ！
知るかっ！
うわ、なんか鈍い音が聞こえた。
会長、空手黒帯持ちだしなぁ……。
続く……。
