さてと……そろそろ奴が来る時間だな。
奴って……常連さんですか?
まあ常連は常連なんだが……。
ちょっと困った奴でな。
あ、来たみたいですよ。
ガチャッ……。
よう、来てやったぞ。
うわっ! すっごいイケメン!
ほう……。
これはこれは、お初目にかかりまして。
メアド教えてください。
いきなりっ!?
言葉など、いらないだろ。もう心で通じ合っているのだから……。
うわ、確かにこの人は困った人ですね。
いらっしゃい。
お会計ちょうど1万円になります。ありがとうございましたぁー!
高っ!? ていうか何も頼んでないぞ!?
うっせえ! 迷惑料じゃ!
まあ待て。今日は普通にコーヒー1杯は飲まさしてくれ。
たくっ、素直に注文すりゃいいんじゃ。
あの店長。あの人は一体……。
ああー、まあ古い馴染みだ。
いちおう今は客として扱ってもいいが。
またなんかあったら、すぐに言えよ。
は、はあ……。
いやぁ、まさか本当に女の子が入るなんて思ってもみなかったな。
ええ、なんでも店長の顔を見ただけでバイトキャンセルの子が続出したみたいで。
まあ、この店名からあの顔に結びつくのはありえないからな。
ち、ちなみになんで、こんなミルキーハウスなんて名前なんですか?
ぶっちゃけあいつ趣味の深夜アニメから名前取った。
ええっ、そんな理由!?
て、ていうかあの顔でアニメ趣味とか……ますます。
そう言うな……俺もそれには同情している。
こらぁー誰が世間話していろつったぁ!
す、すいません!?
あ、君は悪くないよー。
お前だ、お前。
いや、ほんと理不尽すぎなんで勘弁してください。
まったく……ほらよ、いつものだ。
ありがたい。ここのコーヒーはなんだか言って好きだからな。
そういや、君にも俺のコーヒーを飲ましていなかったな。
サービスだ。いっしょに飲め。
あ、ありがとうございます!
て、すごい! 美味しい!?
そいつは良かった。研究に研究を重ねてからな。
まあ、こいつのコーヒー作るのはすごいからな。
あの……この味ならもっと普通な喫茶店として売り出した方が。
それはできん!
ど、どうしてですか? それなら店長みたいなおっさんでも普通に売れるはずじゃ。
俺はかわいい女の子がコーヒーを飲むところがみたいのさ。
あ、だめだ。この人。
あ、それは俺も同意な。
だめだ、この人たち。
さて、そろそろ俺はお邪魔するよ。
あ、ありがとうございましたー。
まあ困った事があるならなんでも言って。
もちろん恋の悩みでもね。
あ、しばらくは大丈夫なんでいいですー。
そ、そう。
かえれーかえれー。
ちっ、また来る。
ガチャ……。
へ、変な人でしたねー。
まあ悪い奴じゃないんだけどなー。
ほとんど、あいつしか客来ないし。
そ、それってまずくないですか!?
ははは!
ぶっちゃけピンチ。
す、すぐに路線変更しましょう!
いやだぁあああ! おなごのコーヒー飲むとこ見たいのぉお!
(やっぱやめようかな、ここのバイト)
続く。