まったく、お前はロクな奴連れてこんな。
すいません。この子、今日転校してきたばっかりだったので……。
MPが……MPが足りてれば……。
(なんか戦意喪失してるわね)
それより優理!
なんですか、生徒会長。
今日の夜も付き合ってくれる?
(めんどくさいなー)
もちろんです! いいですよ。
わーい!
か、会長のキャラがいつもと違う。
優理、何の話?
えっ、まあ……うん。
ちょっとした家庭教師みたいなもんだ。
なんだ優理に勉強教えていたんですか。 もう、そんなの私に言ってくれればいいのにー。
(私が教えてもらっているんだがな……)
……。
なんだ、まだ用か。
いつか俺はあんたを越える。
その時までせいぜい待っておくんだな。
喧嘩ならいつでも買うよ。
あっ、その……暴力はいけないと思います。
(やっぱ気が小さいはこいつ!)
放課後……。
それじゃあ、お先にー!
本当、誰よりも早く帰るわよね。優理って。
ちょっと聞きたいことがある。
なに? まだなんか用があるの?
あの優理という魔女のことを詳しく教えてほしい。
あんた優理をどうするつもり!?
まあ待ってくれ。
あの魔女は魔王となんらかの契約を結んでいるようだ。
け、契約?
危険だと思わないのか? あの暴力女……もとい魔王が魔女のところに出向く可能性があるんだぞ。
で、でも生徒会長に限ってそんな危険なことは……。
ふふ、これで今日も邪魔をするものはいないな。
せ、生徒会長……今日は勉強を教えてもらうだけの話じゃ?
もちろん教えるさ……。
保険体育をな……?
ありえる……。
魔女の命があぶない……。 早くあの子の家へと案内するんだ。
ええ、分かったわ!
(ふっ、別に魔女がどうなろうと知らん)
(あの子は魔王のなんらかの弱点を知っているかのように思えた)
(その弱点さえ知れば、魔王を倒すなど容易い……)
優理宅――。
さて、ログインしてと……。
会長はもういるのかしら。
優理ー!
もうログインしてたんですか、会長。 生徒会の仕事があったんじゃないですか?
それがな、放課後になって教頭に仕事を押し付けられたんだけどな。
全部、副会長に任せてきた。
(鬼や……)
それじゃあ、今日もご教授の方よろしく頼む。
任せてください。
(初心者と組むと、レベルが上がらないんだよなー)
(でも知り合いの頼みは断れないし、仕方ないか)
今日はここらでレベル上げか。
私が回復しますんで、会長はどんどんとモンスターを倒しちゃってください。
うむ、任せたぞ。
カエルスライムが現れた。
む、敵か。
先手必勝! くらえ、ファイアーパンチ!
ケ、ケロー!
カエルスライムを倒した。
よしっ!
やりましたね! さすがは会長!
優理の回復があったお陰だよー。
(やっぱ回復役は退屈だわ)
よし、次来い!
(母)優理ー、あんたにお客さんよー!
えっ、こんな時に!?
やっほう、優理ー。来ちゃった!
あ、葵?
あれ、会長は一緒じゃないんだ?
(や、やば。モニター見られないようにしないと)
(ネトゲオタクってあまり知られたくないしね……)
でも、優理が無事でよかったよー。
な、何の話?
ふっ、どうやら間に合ったようだな。
(な、なんでこんなところに中二病が!?)
ん……?
(やば……ネトゲの画面見られた)
へぇ……。
と、とりあえず下でお茶でもしない? せっかく来たんだから。
おっ、いいねー。
悪いが、俺にはやることが出来たので帰らせてもらうよ。
そ、そう……。
かえれーかえれー。
別にそこまで言わなくても……。
(気が小さいってもんじゃないわ、こいつ)
(そういえば、なんか忘れているような……)
優理! そろそろ回復を頼む!
……。
ゆ、優理?
……。
ちょ、やば……体力がもう!
あぁあああ!
(まっ、いっか!)
続く……。