前回のあらすじ
平凡な学生、秋原大和に許嫁が出来たと告げる母親。
その相手は幼馴染の桜庭美羽だった。
幼い頃の約束を果たす為にこの話を受け入れた美羽。 本当にこれで良いのかと困惑する大和。
ちょっと騒がしかった朝を迎えた大和は 学校へと向かう事にした。
Future Bride 第二話「その名は木原正樹」
はぁ……。
どうしたの大和? 溜息なんかついちゃって……。
(正直この話に乗り気じゃないって言ったら……怒って泣くだろうな)
いや、何でもないさ。
ふーん、……良かった。
良かったって何がだ? 俺の奢りでプリンを食べられる事か?
それもあるけど……一番良かった事は 大和と結婚出来るって事かな!
…………。
(幸せそうな面しやがって…… 言える訳が無い、この話はやっぱり 無しにしようって……言える訳が無い)
フフン、結婚したら最初は巨大プリンを 大和と一緒に食べる!
そして、大和に「はい、あーん」って してもらうんだ!
おいおい…… 今度プリン奢ってやる時に それくらいやってやるぞ?
え!?ほ、本当に!?
お前の中の俺はどんな性格をしているんだ……。
意地悪な悪人メガネ。
悪人メガネって何だ!! 意地悪なのは……まあ多少は当たっているが。 ってかその顔止めろ!
エヘヘ!嘘だよ!
ちょっと意地悪だけど本当は とても優しくてカッコいい私の大好きな 大和だよ!!
(ク……!何だこの可愛すぎる生物は! いくらなんでもここまでダイレクトに 愛情表現してくるとは……!!)
あーきはらくーん!!
ん……?
あーそびーましょ!!
何だ、木原か。
何だよー、そこは「はーい!」って返す所だろー! 空気読めー!
あいにく、俺は空気を読む気は無いんでな。
ってか朝から元気だなお前は……。
おうよ! 俺はいつだって全力で生きる男だぜ!
毎日全力少年と言えばこの俺! 木原正樹とはまさに俺の事!! 覚えてくれよ!!
喧しい!! 結構声響くんだから無闇に大声出すな! 近所迷惑になるぞ。
ショボーン。
おはよ!木原くん!!
お!桜庭ちゃんじゃないか!! おはよう!!今日も可愛いな!!
そんな事無いよー。
どっかの根暗メガネとは大違いだぜ! まさに君は女神だ!!
おい、頭空っぽボーイ。 そのまま蜂蜜塗りたくって木に吊るしてやろうか。
じ、冗談だって!! そんな怖い顔すんな!! ってか何だその地味に嫌な仕返しは!!
蜂蜜……プリンにかけたら美味しいかな……。
止めろ、考えただけで吐き気がする。 ……甘すぎてな。
蜂蜜プリンイエーイ!!
蜂蜜プリンイエーイ!!
……そっとしておくか。
第二話 「その名は木原正樹」 END