優奈ちゃーん。
はいはーい!呼ばれて参上!! 天才少女・優奈とは私の事!!
わー!優奈ちゃんカッコいいー!!
フフフ……で、何か困り事でもあるのかな?
えーとね……この問題が分からないの……。
その問題の答えは「2√3」だよ。 この答えを導くにはこの計算式を使って……。
優奈ちゃんすごーい! ありがとー!!
フフフ……この程度ならいつでも私を呼ぶといい!
優奈さん? ちょっと聞きたい事があるんだけど。
あいよー、何を聞きたいんだい ?
先生から頼まれた資料の作成ってどこにあるか知ってる?
あーその資料なら先生の机の上にあるはずだよ。
そうなの?じゃあ確認してみるね。 ありがとう、優奈さん。
なんのなんの。 いつでも呼びたまえ!
おーい優奈ー。
はいはーい!
ちょっと優奈ー!
今行くからちょっと待っててー!
おーい!
はいよー!
……あー……疲れた……。
全く……クラス委員も楽じゃないよ……なまじ優等生過ぎるのも問題なのかな……。
何一人で黄昏てるんだ?
っ!誰!?
私だ。
お前か。
暇を持て余した神々のお遊び。
って何やらせるんだ!!
またまたー!君もノリノリだった癖にー!!
く……否定できない……!
それにしてもどうしたのー? 私に何か用でもあるの?
いやいや……お前が放課後に屋上に来いって言ってきたんだろうが。
あれれー?そうだったっけ? ごめんごめん、すっかり忘れてた。
はぁ……まあいつもの事だからいいけどさ。 今日もあれだろ?あれをするんだろ?
フフフ……分かってきたじゃないかワトソン君……。
誰がワトソンだ、余計な事は言わなくていいから早く……。
えい。
あー……生き返るー……。
一日最低一回の気力補給……だったか?これって俺がやる意味あるのか?
そりゃそうでしょ、こんな美少女に抱き付いて貰えるなんて幸せでしょ?
誰が美少女だ誰が。 本当に俺なんかで効果があるのか?
……迷惑……だった?
急にしおらしくなるな……。 別に迷惑なんて思ってないさ、抱き付かれるのは嬉しいしな。
あ、あの……痛い……痛いから力を緩めてくれ。
断る!!その要求は受け入れる事が出来ない!!
いやそこまで!? そこまで駄目なのか!?
だってやっと君に抱き付く事が出来たんだもん、力なんて緩められないよ。
何を言っているんだお前は。
いやね、今日も皆私の事を頼ってきてさ、朝からずっとあっちこっち走り回ってた訳。
お前頭良いしな、それに加えて見過ごす事が出来ない性格……お前便利屋みたいに思われていないか?
フフフ……そうかもね。 呼べばやって来る天才美少女だしね。
天才美少女っておいおい……。
ホント……皆私に頼り過ぎだよね……。 自惚れとかそういうのじゃなくて。
まあ事実だしな、やっぱりお前便利屋に見られてるっぽいな。
私は……皆の解決者って訳じゃないのにね。 いつから皆は自分で考える事を止めたんだろうね?
人間は一度楽な事を覚えるとそこから抜け出せなくなるのさ、自分から好んで苦行なんて普通はしないだろ?
うーん……その苦行を乗り越えた達成感が気持ち良いんだけどなぁ……。 それに自分だって成長出来るでしょ?
付け足すと答えをすぐに知りたがるのさ、自分で調べて分からなかったら時間が無駄になるだろ?それなら知ってる奴に聞いた方が手っ取り早いって判断するんだろう。
アハハ……やっぱり君は冷静にツッコミを入れてくるね……。 私ってパソコン?それとも人間?
何を言ってるんだお前は……。 どう見たって人間だろ。
……アリガト、君だけだよそうやって言ってくれるの。
だってお前に遠慮する間柄でもないしな、今更敬語とか使っても気持ち悪いだけだろ。
あー……君に敬語使われたら私……泣いちゃうかもなぁ……。 皆私の顔色を伺って話して来る……様に見えるし。
何と言うかね……君みたいに遠慮なく言ってくれる人が居ないんだよねぇ……。私だってちょっと頭が良いのを除けばただの学生だし……。
贅沢な悩みだな、俺だけじゃ不満か?
うーん……抱き付く相手は君だけでいいかな。でも私も世間話とかしてみたいんだよね……質問に答えるとかそういうんじゃなくて。
お前……まさか俺を抱き枕か何かと勘違いしてないか?
え?あ、い、いや……そういう訳じゃないけど……。何と言うか……抱き付いてる期間が長くて……。
教えてやろう、それは思い込みだ。 長い間俺に抱き付いて愚痴を言って終わる……、それはいつかは慣れて脳が勝手に判断してしまう……お前は俺を「愚痴を言える抱き枕」と認識している様なもんだ。
ち、違う!そんな事思ってない! 君は抱き枕じゃなく私の……私の……。
ゲームセット。 そんな事思ってないなんてこの俺でも分かるさ。
え!?あ、……うぅ……もしかして私……担がれた?
全身全霊で担がれたな。 本当に俺にだけはすぐに流されるなお前。
……フ……フフフ……今度君の弁当に練り辛子とマヨネーズを入れてセルフ辛子マヨネーズを作ってやる……。
何その地味な嫌がらせ!! 飯と放課後ぐらいは付き合ってやるからそれで許せ。
……やっぱり君は優しいね。
おいおい、急に何を言い出すんだ?
……おい、そんなに力込めると……胸が当たるぞ。
当ててるに決まってるでしょ。 どう?私の胸は。
聞くな!! それは聞いてはいけない!!
えー?ぜひとも君には感想を言ってもらいたいんだけどなー。
ぐ……さっきの仕返しのつもりか……?
さーてね! んじゃ、今日は帰ろうか!!
ん?今日はもういいのか? ……ああ、下校時刻か。
そうそう、もう学校閉まっちゃうからね。 ……えーとさ、君が良ければなんだけど……。
何だ?……何を言うかは予想がつくけどな。
……帰った後も続きをして欲しいんだけど……駄目?
今日はいつにも増して甘えん坊だな……いいよ、帰っても続きをしてやる。
フフフ……流石はわが助手だ、私のして欲しい事を既に想定して行動している……。
ええ、これもお嬢様の為ですから。
……ってだから何を言わせるんだお前は!!
アハハ!やっぱ君はいいね!! うん!!私の目に狂いは無かった!!
はぁ……帰るぞ。
うん!
君は私の事を全て分かってるみたいに振舞ってるけど……実はまだ分かってないのがある、それは君に対しての感情。でもいいの、この感情はいつか自分で君に伝えるから……それまで待っててね……!