ねえねえ、放課後どっか寄ってく?
ごめん、今日は他に寄る所があるから……。
ピキーン! ははーん、デートだね。
え!? そ、そんなんじゃないわよ。
いやいやー、照れない照れない。ネタはあがってるよ! お嬢さん。
いい加減やめないと、そろそろ私怒るわよ。
だって……美咲が心配なんだもん。
私の美咲があられもない姿で、あーんな事や、こーんな事までされちゃったら困るもん。
はいストップ! 変な妄想世界に行かず、帰って来なさーい。
テヘッ♪
よしよし、無事に帰って来たわね。じゃ、また明日ね♪
うん、またね。
はぁ……いつ見ても地球は綺麗よね。
私はここで生まれ育ったけど、昔の人は皆、あの星に住んでいたらしいの……。 今はもう誰も住んでいない、あの星にね。
いつか……本物の空と海を見てみたいわね。映像ではなく……ね。
ヤー、ミサキデハナイデスカ。ドウシマシタ?
あら、ミスターグレイ。おひさしぶりです。
彼はミスターグレイ。本名もあるけど、人類の声帯機能では発音が難しいから、通名で呼ばれているの。人類の救世主として、彼はこの星では英雄なのよ。
ミサキ? ダレトハナシテルノ?
あ、何でもないわ。気にしないでね♪
チキュウジンノコウドウハ、イツモワカラナイコトバカリデス。
(それはお互い様だけどね……)
デ、ナニシテタノ?
私達の故郷、地球を見に来てたの。
ミサキモ、チキュウニカエリタイデスカ?
もちろんよ。でも今は無理だから、時々ここに来て、地球を見ているの。
ソウダッタノデスカ……。
ドウヤラオジャマダッタカモシレマセンネ。ワタシハコレデシツレイシマス。
あ、全然大丈夫なのに。……気を遣ってくれてありがとう、ミスターグレイ。
ジャ、マタネ。ミサキ。
うん、またね。今度はゆっくりお話しましょうね。
……そろそろ私も帰ろうかな。夜間はゲートも閉まっちゃうしね。
え? あそこの空気はどうなっていたかですって?
ミスターグレイの協力で、この月にも人工的に空気が作られたの。循環型の人工河川も作られたけど、さすがに海は作られなかったわね。
空はホログラフで、太陽も人工的に作られているけど、巨大な照明に近いわね。
さあ、そろそろ家に着くわ。この世界も嫌いじゃないけど……やっぱり自然な世界に憧れるわね。
じゃ、またね♪