────ゥオォラぁッ!! このクソガキがぁ!
ったく・・・ナメたマネしてくれたもんだな。
くっ・・・。
オレの稼ぎに手をつけて、無事に済むとでも思ったのか。
ガキが・・・ずいぶん高い授業料を払うことになっちまったな。
クソッ・・・あと、ちょっとだったのに・・・。
おい。 このガキを連れていけ。
さっさとブツのありかを吐かせろ。
へい。 手短に済ませます。
さわるな!! ・・・放せよっ!
やれやれだ・・・。
あんなガキが、オレらの上前をハネようとするなんてよ・・・。
────ひどい時代になったもんだ。
ママぁ~!
どうしたの? そんなに走ると、あぶないわよ。
あのね! ママに、これあげる!
まあ・・・。
キレイな花ね。 どこに咲いていたの?
あのね、あっちの・・・。
おい・・・。
あのガキはどうした?
それが・・・まだ。
アイツ・・・なかなか、しぶといんですよ。
さっさとブツの隠し場所を吐かせろ。
へい。 もうちょっと痛めつければ、ペラペラ話し出しますよ。
やめて・・・!
お願いです・・・!! お願いですからっ・・・。
その子にだけは手を出さないで!
ママっ・・・!
やめろ!!
ボクのママに、ひどいことするな!
連れてこい。
へい。
どうだ・・・ボウズ。 気分のほうは?
う、うぅ・・・。
殺すなら、殺せ・・・。 何も・・・しゃべらないぞ・・・。
あの金は誰に渡したんだ? さっさと話せばラクになれるぞ。
ひとつだけ・・・教えてくれ。
質問できる立場だと思っているのか。
今日は何日で・・・今は、何時だ。
チッ・・・。
5月12日の午後8時だ。
そうか・・・。
母さんの手術は、終わっているはずだ・・・な。
・・・アニキ。 こいつ、くたばっちまいましたぜ。
最後まで口を割らずに、死んじまいやがって・・・クソッ!
そのくらいにしといてやれ。
命懸けで親孝行したんだ。 見ろよ、満足そうな顔してやがる。
その顔を見ていると────。
なぜだか、オレをかばって死んでいった母親のことを思い出した。