“私たちの青春時代は…”

キーンコーンカーンコーン

…私はこのクラスにいてはいけない そう考えるようになったのはいつからだろうか

柏木くんみたいに勉強ができる わけでもないし

弥生みたいに明るく元気で 皆から好かれるわけでもない

このクラスで一番なにもできない のが私……

———私は、このクラスには不要な 存在なんだ…

ガラッ

は〜い、みんな! おはようございます

今日はと〜っても素敵なお知らせが あります

なんと! 中杉梓さんが、先日行われた 全国高校生ピアノコンクール 県予選大会で優勝しました〜!!

本当に、梓はピアノが上手だもんね! すごいよ!!おめでとー!!

おめでとう!!          すげーな中杉!    さすが梓!          おめでと〜

ありがとう皆! みんなのおかげだよ!

あ、あの、梓…おめでとう

うん、ありがとう奈々子!

先生も鼻が高いわ〜! 本当に中杉さんは普段から一生懸命 で、生徒会の仕事も頑張ってるし…

やっぱり梓はすごいな… 生徒会の仕事もしながら、ピアノの コンクールでまで優勝しちゃう……

…………それにひきかえ私は………

……………………

キーンコーンカーンコーン

起立!

ガヤガヤ       ざわ…ざわ…        きゃっきゃ!

きりーーーーーーつ!!!

姿勢、礼!

さようならー     さよーなら!       ありがとうございました

……さあ、帰ろうか…

奈々子!!

……?

今日なにか用事とかあるかな?

え、いや……特にはないけど…

よかった! 奈々子と話がしたかったんだ

話?

あのね、改めて……

私、ピアノの全国大会に出ることに なったんだ!

え……ええ、おめでとう

県予選大会は大変だったけど、とっても楽しかったわ いろいろな人の演奏も聴けたし

そこでね、南高校の岩城くんって いう人と仲良くなったんだけど……

……………………

彼すごいんだよ! 全国大会に出る為に、彼女が全面的に協力してくれてるんだって!

………………

もちろん彼も一緒に全国大会に行くことになったんだけど、彼女も一緒に大会についてくるらしいんだ!

彼を誰よりも支えてくれた彼女と一緒に全国大会に臨むんだってさ! そういうのって、素敵だと 思わない?

ねぇ…………

私にもそんな彼氏がいてくれたら いいんだけど、あいにく私には 彼氏なんて

そうなのよ……彼氏欲しいわ………

……………あ、あのさ……

いや、こちとら全国大会よ! 近々彼氏ができる可能性大 じゃない!? 待っててね先輩!!!

でも、とりあえず今はいいかな? あのねっ…………

…何よ………

え?

なんでそんな話を私にするの…!? 岩城くんなんて知らないし、そんなこと言われたってどうしたらいいかわかんないよ!!!

な、奈々子…!?

どうせ私にはそんなことできない わよ!! ピアノも弾けないし、何にもできない

梓とは住む世界が違うのよ!! 私にできることなんて何も ないのよ!!!!!!!!!!

え……? ちょ、ちょっと奈々子!?

……………………

やってしまった……

後悔しても遅いのはわかってる なんであんなことを言ってしまったのかよくわからない

……………

…………嫌われちゃったかな……

せっかく梓が私に話しかけてくれたのに、私はそれに怒りをぶつけてしまった…

本当に私は何にもできない……

なっ……奈々子!!!!!

……梓!?

奈々子、奈々子! ……………奈々子

なんで、梓が泣いてるのよ…?

奈々子………!! ごめんなさい

泣きながら私を優しく抱きしめた梓 は、とても暖かかった

………なんで…… 私、酷いこと言ったのに…

そんなことないよ! 酷いのは私の方だよ!!

奈々子の気持ちも考えずに、色々言いたいことを言いすぎた…ごめん

梓……

私ね、岩城くんと話して、岩城くんと彼女の関係ってとっても素敵だなって思ったの

それでね、奈々子にその話を聞いてもらいたかったんだ…

………梓

奈々子の気持ちも考えずに、私嫌なこと言ったよね……

………ち、違うよ 私が悪いの

私には何もできないからって、クラス に必要ないからってなにかできる梓 や岩城くんに八つ当たりして…… ごめんなさい………

…………

…ねえ、奈々子 あなたは自分のことを、何も できないって言ってたけどさ

私はそんなこと思ってないよ…

あの話ね、前フリが長く なっちゃったけど、本当に言いたい ことはまだ言えてないの

本当に言いたいこと……?

岩城くんは、自分を一番支えて くれた彼女を全国大会に連れて 行くんだって

私もね、私を一番支えてくれた人を 全国大会に招待したいって思ったの

………………………

奈々子、私と一緒に全国大会に来て くれない?

…………梓? なんで私が??

私がスランプで悩んでた時、失敗して落ち込んでた時、辛くて泣きそうな時………

そんなときには、いつも奈々子がそばにいてくれた

奈々子にはね、人に力を与えてくれる力があるよ

私だけじゃない、弥生や美咲、クラスの皆がそう思ってる。

奈々子は奈々子が思ってる以上に 皆の役に立ってるよ!

だからさ、もって自信を持って!

自信を……持つ………

あ、二人ともここにいたんだ! あのさ、梓の全国大会出場祝いで 皆でカラオケに行かないって話が出てるんだけどさ、行くよね!?

いこうよ、奈々子!

…うんっ!!

私は柏木くんみたいに勉強ができる賭けじゃないし、弥生みたいに明るいわけでもない

梓みたいにピアノが上手なわけでは ないけれど…………

誰かを支えることができるって とっても素敵なことだよね?

END

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Posted at 2012/10/07 02:00 Viewed 30 times

From Author

連載というか、ちょっとそういうのをやってみたいと思いました。なにごともチャレンジしてみよう

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