ねえ、本当に大丈夫なの?
大丈夫大丈夫! 幽霊なんて出るわけないだろ!
最近、町外れの神社に幽霊が出る という噂を耳にした
その姿は女の子だったり老人だったりといろんな話があるが とにかく早朝に神社に行くと出る そうだ
おーい幽霊! 出てこいよ!!
ちょ、お前やめろよ!! 本当に出てきたらどうするんだよ!
なんだよ哲史、ビビってんのか?? 大丈夫だよ!怖くねえって
そうそう! 怖いと思うから怖いんだよ!! なぁ?
だよな〜!!
!!??
う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?? 出たぁぁぁぁ!! おい、哲史!逃げるぞ!!
………………
さ、哲史!??
…………気絶してるし
アハハハハハハ!!!
…………う〜ん……んっ…
ハッ!?
昭和一桁ってマジかよ! 俺のじいちゃんより年上じゃんか!
ハハハ、そうか! 若い爺さんだな!!
ちょっと、なにやってんだよ健!
あ、おはよう哲史! 今俺、清さんと話してたんだよ! ヤベーぞマジで!!
いや、そいつどう見たって幽霊 じゃないか!? なにやってんだよお前!!
いやなー、確かにコイツ幽霊らしいんだけどな…………
かくかくしかじか
なるほど、清さんは人捜しの為に 幽霊になったのか…
ああ……
……どうしても一目会いたいんだ 幸子を残して、私は死んでしまった から………
………なあ、哲史 ここで会ったのも何かの縁だと 思わねえ? 協力してやろうぜ!!
そうだね、成仏もできずにこの辺を彷徨い続けるのもどうかと思うし 力を貸すよ!
二人とも…………
…ありがとう!!!
………とは言ったものの…
全然わからん!!
おーい、幸子さーん! いませんか?っと……
そんなとこにいるわけないだろ!
だよなー
すまない……こんな事を頼んで しまって
いやいや大丈夫! 俺に任せとけって!!
清さんが捜しているのは幸子さんと いう女性で、生きていた頃の恋人 らしい
「この街にいるのは確かだ」 俺たちはその言葉を信じて、ただ がむしゃらに幸子さんを捜した…
そしてとうとう、町外れまできて しまった…
……にしてもいないよな、こんなに見つからないとは思ってなかったし 本当にこの街にいるのかよ?
タッタッタッタッ
ドンッ
おっと!!
ご、ごめんなさいお兄さん 大丈夫ですか?
あ、大丈夫大丈夫! お嬢ちゃんこそ大丈夫?
はい、私は何ともないのです
よしよし、偉いぞー
いたいた、健こんなところに! ……その子は?
ああ、ちょっとぶつかっちゃってな
全く、そそっかしいな健は!
……………!!
……さ……………幸子……?
…………幸子? あの、私の名前は清美といいます
!! 清さんが見えるの!?
見える……? 清さんは面白い格好をしていますね
幸子では……ないのか…??
はい、私は幸子さんではありません
………そう、か
…………あの…
清美? どこにいるんだい清美ー??
おばあちゃん!
おやおや、ここにいたのかい清美 捜したよ
皆さんが清美の相手をしてくれていたんですか?
ありがとうございます
いや、あの…俺たちは
あのね、おばあちゃん そこの黒い着物の人が幸子さんを 捜しているんだって
黒い着物の人……?
はて、私には見えないねぇ
………そんな…
……………………
………お兄さん
?
私のおばあちゃんは、幸子って名前 なんです
そ、それって……!?
もしかして清さんが捜してる幸子 さん!?
おばあちゃん言ってたよね、私の 清美って名前は清さんっていう黒い 着物の人が由来だって
…清さん?黒い着物……? 清さんがそこにいるのかい清美? あの清さんが?
………………………幸子……さん? ………幸子さんなんですか…?
ああ、清さん、私にはあなたを見る事はできないわ… でも、幽霊にになってまで私に 会いにきてくれたのね…?
清さん、私はとても幸せよ 夫がいて娘がいて、清美がいる それに、清さんだって会いにきて くれたんだから…
だから、安心してちょうだい
幸子さん………
…………幸せになってくれたんだな
………清美…ちゃん?
はい
幸子さんを…… おばあちゃんを大切にするんだぞ!
………はい!
こうして、俺たちと幽霊の人捜しは 終わった…
幸せそうな幸子さんを愛おしそうに見つめながら、清さんは俺たちの前から姿を消した
……逝っちゃったなー
…そうだね
でもよかったじゃないか、幸子さんに会う事ができたんだから
……そうだな!
しっかし、苦労したぜ! もう幽霊はこりごりだな
そうだね! でもまあ、清さんは成仏したんだし
もう関わる事も……………
…………………
…………………
で、出たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??
END