『妹とSFモノ。第一話』

ーーこれはわたしの、地球での、お兄ちゃんたちとの楽しいひと時をつづったお話ですーー

あれが、この太陽系で唯一知的生命が存在する惑星、「地球」だ。

今回、我々「銀河連邦惑星調査船団」の目的は、あの星の調査をする事である。

諸君ら調査員は、地球に降り立ち、各地のコミュニティーに潜入し、知的生命体の生態を探るのだ。

調査期間は、銀河宇宙時間にして、一週間。その期間に、できうる限りのデータを収集してきてほしい。

諸君らの健闘を祈る。

調査員ナンバー773はいるか?

はい、調査員ナンバー773です、隊長。

おまえは、今回の任務がはじめてだったな?

はい、そうであります。

お前には、地球の極東に位置する島国へ降りてもらう。

なれない事が多いかもしれんが、期待しているぞ、ナンバー773。

ありがとうございます、隊長。

では、行ってこい。

はい!

空間転移システム作動。

座標指定、空間転移開始。カウントダウン3・2・1……

はあ……。

なんでぼくには、妹がいないんだろう?

アニメやギャルゲーに出てくるような「お兄ちゃん大好き!!」って言ってくれる、かわいい妹がほしい!!

まったく! 父さんも母さんもなにやってるんだ! まじめに子作りしろよ!!

あーあ。妹がほしいなあ。空から突然、妹が降ってこないかなあ?

一人っ子って、さみしいなあ。

ん?

ごごごごごご……

ぎゅわーん!!

あいったたたたぁっ!

転移座標間違えたあっ!

あ、でもちゃんと転移してる。ここ、地球?

な、な、なんだお前は!!

うん? これが地球人?

そうか。ここは、地球人のコミュニティーなんだ。

と、突然現れて、い、一体何なんだ!!

混乱してるようね。こういうときは、教習のテキスト通りにっと。

わたしは、ナンバー773。「銀河連邦惑星調査船団」の調査員です。今回任務により、この地球に降り立ちました。

なにワケのわからんこと言ってるんだ!

うーん、こーゆーこと言っても通じないか。じゃあ、あれを使うしかない。

この「記憶改変マシン」で、えいっ!

ずばばばばっ!!

うっ!

……ナ・ン・バー7・7・3。

7・7・3……、ナナ、ナナ、サン……。

ナ、ナ、ミ……。

ナナミ? あ、そうか! 地球語では、わたしの名前は、「ナナミ」って変換されるんだ。

ナナミ……、ぼくの……いもうと……。

いもうと? なるほど、「記憶改変マシン」で、わたしはそういうふうに設定されるんだね。

ぼくの……妹……。

そ、そうだよっ! お兄ちゃん!

妹……。

ぼくの妹……。

なにやってんだよ、ナナミ。ぼくの部屋に来て。

ん? なんだその格好。コスプレか?

あ、えーと、これはその……。

変なやつだな。

(一応、記憶改変は成功したみたいね)

コンコン。

どうした、さわがしい。

しずかにしないとダメでしょう?

あ、父さん、母さん。

うん? 地球人の大人?

ん? 誰だ、この子は?

こらっ! ちゃんと説明しなさい!

ええっと、これは……。

この地球人の大人たちも記憶改変が必要ね。

「記憶改変マシン」作動!!

ずばばばばっ!!

ナナミ……。

わたしたちの……娘。

そ、そうだよっ! お父さん! お母さん!

どうしたんだ、ナナミ。

なに? コスプレ? お母さんも混ぜてほしいなあ。

(やった! 地球人のコミュニティーに、潜入成功だ!)

ーーこうして、わたしの、地球での調査がはじまりました……ーー

第二話へつづく

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公開日 2012/10/19 20:28 再生回数 24

作者からのコメント

今までふざけた物ばかり作っていたので、たまにはマジメな物を作ろうと思い立ち、連載作品を始めました。全6話完結予定です。よろしければ、お付き合いください。

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