卒業オメデトー!!
おめっと~!
んじゃ帰るか。
味気ねえなあ、おい。
男二人ではしゃいでいても、むなしいだけだろ。
なんか部活でもやっておけばよかったなあ・・・。
そうすりゃ今頃は、後輩の女の子に囲まれてたりとかさ。
第2ボタンくださ~い、ってか?
それそれ! それだよ、それ。
やっぱり先輩として、残していくものがさ・・・。
・・・あぶないっ!!
えっ?
伏せろっ!!
バキャッ────!!
オレの上履きがぁ~っ!!
どうせもう使わん!! ほっとけ!
走るぞ!!
お、おいっ・・・そっちはグラウンド・・・。
ここなら隠れる場所もない。
そろそろ姿を見せたらどうだ?
ククク・・・。
なかなかやるじゃないか・・・セ、ン、パ、イ。
だけど、ここまでだよ。
私たちからは逃げられないわよ!
まわりは囲ませてもらったよ。
抵抗は無駄だわ・・・。
もっとも・・・痛い目を見たけりゃ、話は別だがな!
な、なんなんだ!? この子たちは・・・?
こいつらの正体は・・・後輩さ!
おまえ、いつのまに・・・。
こんなにたくさんの女の子の後輩ができてたんだよ!
そうじゃない。
こいつらは、オレたちの制服のボタンが狙いなのさ。
本命の卒業生から第2ボタンをもらえなかった後輩たちが・・・。
ありもしない思い出を捏造するために、適当な素材を求めているのさ!
ありもしない思い出・・・だと!
そうさ。
この女の子たちは、オレたちからボタンを奪って・・・。
『卒業したアコガレの先輩から、第2ボタンをもらったの~』とか言うわけなのさ!
それ、何の意味が・・・?
話は終わったかい、先輩方。
そろそろボタンを渡してもらおうかしらね。
1、2、3・・・ふふ、ちょうどいい数があるじゃないの。
根こそぎもらっていくとするかね。
覚悟はいいかい、先輩?
かかれっ────!!
く、くるっ・・・!?
ここはオレに任せて・・・オマエは逃げるんだ!
ナニ言ってやがる。
オレたち、親友だろ。
でも、交代しないから。
オレに任せろっての!
やだ。
こんなに大勢の女の子にもみくちゃにされるなら、ボタンぐらい惜しくねーよ!
どうせ明日からは、この制服を着ることもないしな。
オレも同感だ。
だから、オマエは帰れ。
フザケんなー!
「今だ!! 捕まえろ!」 「逃がすなっ・・・!」 「このボタンもらったー!」
あらあら、今年もにぎやかね。
やってますねえ、あいつら。
ボタンなんか、ほしければいくらでもあげるのにね。
落し物で集まったボタンなら、職員室に来ればいくらでもあるのになー。