知っての通り、君達は人間だ。
いや、待ってくれ。突然こんなことを言い出すのには、もちろんわけがある。
まあ、それはつまり、いったい僕が何者であるか、という問いだ。
そこで冒頭に繋がる。君達は人間だ。
そして、僕も君達と同じ成分で構成されている。
しかしここには、人間なんてものはおろか、タンパク質もアミノ酸もカルシウムも存在しない。
当然、人間がいなけりゃ人間なんて名称や概念は生まれないわけだが。しかし現に、僕は君達と同じ人間だ。
君達はこれをどう考える?
人間なんだから人間でいいだろと怪訝に思うか。
それとも、存在しない物に存在しない名称をつけるのはよくないと決めつけるか。
はたまた、じゃあゴブリンという名称をつけろと押しつけるか。
実に多様な選択肢があるが、それぞれ筋は通っている。さて、どれを選ぼうか。
ちなみに、僕は考えないからね。無駄だし。
…………。
さて、答えは出たかな。
考え始めると、やっぱりすっきりしておきたくなるよね。
え? 別にいい?
そういう面倒くさがりな人は、たぶん、人間だから人間でいいって意見だろうね。
即断即決主義の人は、名称をつければいいって意見かな。
それはよくない、で考えが止まっちゃった人は、もう少し深く考えることか、いっそのこと考えないことも必要だよ。
優柔不断は敵だからね。
さて、僕をあっと驚かせるような解答を、期待して待ってるよ。
何せ、ここにはなにもないからね。