前回のあらすじ
高校三年の夏、受験勉強に嫌気が差した徹は夏休み中にも関わらず学校へやってきた。
屋上でサボっていた徹に声を掛ける友人の光流。 二人が会話に花を咲かせていると、突然女子生徒が怒鳴りつけてきたが…
次のページから本編だよ。 1を読んでない人は、読むと内容わかって楽しいよ!あらすじヘタでごめんね!
光流 「なんで俺だけ敬称略されてんの!?」
声を掛けてきた彼女は優木真穂(ゆうきまほ)。 この双葉高校の3年で前生徒会長である。ちなみに桐谷とは俺の名字だ。
真穂 「やかましいわねぇ…わかったわよ。一条くん???」
光流 「疑問系になってるよね!?俺ってばそんなに存在が不確かなの!!?」
真穂 「比較的、わりと♪」
光流 「がーん…濃いキャラしてると思ったのに…」
二人の会話を聞いててわかるように、彼女はSっ気がある。 しかし、それも彼女が気を許している証拠だ。
初対面・目上の人にはしっかりと敬語。生徒会長モードだと威厳を持たせる為、高圧的。親しい人にはくだけた、どこか意地悪な口調。
それが彼女なりの住み分けらしい。 しかし………
徹 (本当に変わらないな、真穂は)
真穂 「ん?桐谷くん、頬が緩んでるよ?どしたの?」
徹 「い、いや…何でもない」
真穂 「?…そう」
徹 「ところで、真___」
真穂 「ッ!!」
徹 「…じゃなくて、優木さんはどうしてここに?」
真穂 「ふぅ…」
真穂 「なんでって、今日は生徒会役員集会の日よ?配られた夏休みカレンダーに書いてあったでしょ」
徹 (そんなもの、普通細かく見ないよ…)
真穂 「私は現役じゃないけど、会長職の引き継ぎがあるからね。そんなに手間が掛かる仕事じゃないんだけど」
真穂 「ついでに「新しい役員に是非、喝を入れて下さい!」って現会長に頼まれちゃって」
徹 「なるほどね。それはご苦労様」
徹 「俺と光流は、そうとは知らずここで待ち合わせしてたんだ。その後、どこかへ遊びに行こうかなと思ってさ」
徹 「そうだよな、光流」
光流 「あーそーですねー。その通りですトオル様」
徹 「いや…棒読みにも程があるだろう」
徹 「という事なんで、俺らはそろそろお暇するよ。優木さんも引き継ぎ頑張ってね」
真穂 「そっかぁ……………」
徹 「ほら、行こうぜ光流」
光流 「俺〜、まだ日向ぼっこしてたいなぁ〜っ。今なら光合成できそうだしぃ〜」
徹 『光流ッ!空気読め!早く行かないと面倒臭い事になるぞ!』
光流 『…なんで小声なの〜?つか、めんどくさい事って何〜っ?』
徹 『考えてもみろ。俺らが「やることやらずにだらけてまーす。勉強サボってまーす」なんて言ったりしたら…』
光流 『…したらぁ〜?』
徹 『優木さんは必ず「暇なら勉強しろ!」と言って会長モードに変わる。するとどうだ。なんて事ない日常の1日を過ごす筈だった俺らの時間は地獄の猛特訓に早変わり!遊びに行くでもなんでも理由付けてこの場から早く立ち去らねばいけないんだ!』
徹 『それともあれか?お前はマゾの方ですか?精神的な苦しみにも喜んじゃう変態さんなんですか?そーかそーかそーですか。その変態脳髄の持ち主としては相応しい性癖だな。この腐れ饅頭!おっとこれでは失礼だな、饅頭に!だがしかし、お前より下の存在が見つからない。これでは罵倒のしようがないな。役に立てなくて申し訳無いなアメーバ』
徹 『まぁ?そんなトンデモ変態紳士(笑)さんが友達でも俺は気にしない。心が広いだろ?勿論、みつ___じゃなくて変態さんも俺の事友達だと思ってるよね?そうだろ?だから友情を大切にする為にも自分からここに残るつもりなんだよな?俺は…俺は感動した!!自分の欲望を叶えつつも友人を助けるその心意気!俺はその想いに答えなくちゃならない。 じゃ、そういう事で』
光流 「…ま、待った!行くって!行くから!」
徹 「あ?どっちなんだかハッキリしろよ」
光流 「うぅ…冷たいなぁ。トオルっち、なんだか黒いよ…」
徹 (今はとにかくこの場を離れる! そうしないと…)
真穂 「……………ちょっと待った」
徹&光流 「ひっ!」
真穂 「…ねぇ、二人とも。これから遊びに行くのよね?」
徹&光流 「そ、その予定ですが…」
徹 (あぁ…終わったな)
光流 (笑顔なのが余計コエーよ〜)
真穂 「私も…一緒に行って良い?」
…………
徹&光流 「………へ?」
真穂 「実は引き継ぎの仕事ってのも、もう終わったのよね。やること無くなったから外の空気吸おうと思って来たら、ちょうどアンタらがいたわけだし」
真穂 「それに、たまには勉強以外の事して息抜きしないとやってられないしね」
真穂 「うんっ、決まり! よーし!どこ行こっか?」
徹 「ま、待て!」
真穂 「?」
徹 「いやほら…だから…そ、そう!忘れてるだけで、やり残した仕事とかきっとあるぞ!」
徹 「それに、優木さんがいるから生徒会の人達もやる気が出るわけで」
徹 「いや〜、優木さんは本当に頼りにされてるからね!!」
真穂 「う〜ん…やり残した仕事は無い筈だけど…あぁ、そっか」
真穂 「少し待ってて!すぐ戻るから!」
そう言うと、真帆はどこかへ走っていった。
徹 「よ、よし。光流、今のうちに行くぞ!」
光流 「お、おっけぇ〜!」
俺達は足早に屋上から校舎へと入っていった。
タッタッタッタッタッタッ
徹 「はぁ…はぁ…」
光流 「あと…少しで…外に出られ______」
真穂の声 「お前らぁ!!! 私は出かけるが、しっかり仕事をこなせよ!!!いいな!!!!!!」
複数の男女の声 「「「ハイ!!!会長、行ってらっしゃいませ!!!!」」」
徹&光流 「・・・」
凄まじく大きな声が廊下に響き渡った。窓ガラスが音の振動に震え、ガタガタ揺れている。
と、二つ先の教室から真穂が出てきた。
真穂 「うん?なんだ、迎えに来ていたのか。それでは仕事も済ませたし、改めて…行こっか♪」
忘れていた仕事は、どうやら【喝を入れる】だったらしい。 正直、声量に驚いて足がすくみました。
徹 「い、いや〜っ。ほ、ホントに頼りにされてるね〜、優木さんは」
真穂 「どうしたの?声が震えてるよ?唇も引きつってるし…」
徹 (嫌な汗も出てきたな。逃げ切れていたとしても、後でどんな目にあったことか…)
真穂 「まぁいいや。じゃあ街に行こ。 私はついて行くからエスコートお願いね」
こうして、当初の予定と違って 女王様+下僕2人で街へと出掛けていった。
後ろを振り向くと、生徒会役員の全てが廊下に出て、正確に90度だろう位置に頭を垂れていた。
徹 (どんだけ敬われてるんだよ…)
続く…