【○○○】 「う~……ここどこなの?」
【○○○】 「もう1時間以上も同じところ歩いてるよ……」
私、市崎 菜奈(いちさき なな)は、友達の家を探して、こうして迷っている。
地図を頼りに来たけど、方向音痴な私にとって、それは無いも同然だった。
【菜奈】 「素直に駅まで向かえに来てもらえばよかったな……」
【○○○】 「お主、困っているのかね?」
【菜奈】 「だ、誰?」
【山ノ神】 「わしはこの山を統べる主、山ノ神くまー」
【菜奈】 「か……か……」
【山ノ神】 「神くまー」
【菜奈】 「カワイイ~~~~~~~~~」
【山ノ神】 「そんな反応!?」
【山ノ神】 「まぁいいクマ……お主何か困っているくま?」
【山ノ神】 「私が何でも叶えてやるくまー」
【菜奈】 「な、何でも!?」
【山ノ神】 「何でもくまー」
【菜奈】 「じゃあ、じゃあ、今私道に迷ってて……友達のい……」
【菜奈】 (ちょっと待て……何でも叶うなら、友達の家に連れてってください!)
【菜奈】 (なーんてチャチなお願いよりは……)
【山ノ神】 「道に迷ってるくま? じゃあ目的地に連れて行ってあげるくまー」
【菜奈】 「ち、違うんです! 道に……そう!人生の道に迷っていて……」
【山ノ神】 「重い話くま……楽なお願いがいいくま……」
【菜奈】 「わーこいつー♪ くま鍋にするぞー♪」
【山ノ神】 「くま!?」
【菜奈】 「えっと……人生の進むべき道に迷ってしまって……」
【山ノ神】 (急に戻るくま……)
【菜奈】 「私って昔からサバサバしてる性格だから……」
【菜奈】 「もっと女の子らしくなりたいなーって……」
【山ノ神】 「来世に期待するくま」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
【山ノ神】 「……でどうして欲しいくま?」
【菜奈】 「だから……せめて……」
【山ノ神】 「モジモジすんなくま。キモイくま」
【菜奈】 「………………………………………………」
【山ノ神】 「くまぁぁぁっぁぁぁぁあっー!」
………………………………………………
【菜奈】 「ど、どうしたんですか!? 神様! こんなボコボコに……一体誰が……」
【山ノ神】 「すみません……もうチャチャ入れないので、願いを言って下さい」
【菜奈】 「えっと……だから、せめて……」
【菜奈】 「見た目をかわいくして欲しいなって……!」
【山ノ神】 「何だくま。それだけくま? だったら、もっとスッと言えくま」
【菜奈】 「お願いします♪ 神様♪」
【山ノ神】 「わ、分かったくま! だからその拳を下ろすくま!!」
【山ノ神】 「えっと……なんだっけ? 黄昏よりも暗きモノ…… 血の流れよりも赤きモノ……」
【菜奈】 「な、何かすごそう……」
【山ノ神】 「全ての愚かなるものに、我と汝が力もて……」
【山ノ神】 「等しく滅びを与えんことを!」
【山ノ神】 「くまぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
【菜奈】 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
【菜奈】 「あ、あれ? 変わった??」
【山ノ神】 「かわいい女の子と言えばツインテールくま」
【山ノ神】 「ツインテールが至高のアーティコーくまー」
【菜奈】 「鏡がないから、よく分からないけど……かわいくなった……の??」
【山ノ神】 「あざといくま。でもツインテールだから許せるくま。」
【菜奈】 「もーあざといって、ひーどーいー! 菜奈、怒っちゃうぞ!」
【山ノ神】 「私はとんでものないものを生んでしまったくま……」
【山ノ神】 「じゃ、じゃあ私はもう行くくま。ツインテールを大事にするくまー」
【菜奈】 「ありがとう! 神様!!」
【菜奈】 「神様……変なヤツだったけど、本物みたいだったわね」
【菜奈】 「で、で、で、鏡どこにあるかなー??」
【○○○】 「お~~~~~~い!!」
【菜奈】 「この声は……悠美(ゆみ)ちゃん??」
【菜奈】 「よかった……探しに来てくれたんだ」
【菜奈】 「悠美ちゃ~ん!ココだよ~~!!」
【悠美】 「あ、やっぱり菜奈だったかー探した……ぞ……?」
【悠美】 「えぇぇっぇぇっぇぇぇぇぇ~~~ ~~!?」
【菜奈】 「ど、どうしたの!?」
【悠美】 「菜奈気づいてない?? ほらこれ! 鏡! 鏡!!」
【菜奈】 「………………………………………へ?」
【菜奈】 「何よコレ~~~~っ!!!??」
【悠美】 「……この場所は……もしかして、菜奈、くまっぽい何かに会わなかった?」
【菜奈】 「……うん」
【悠美】 「何かお願い事した?」
【菜奈】 「…………うん」
【悠美】 「………………………………………………」
【菜奈】 「………………………………………………」
【悠美】 「……私も昔したんだ……お願い」
【菜奈】 「えっ……」
【悠美】 「……うん」
世の中にツインテールが溢れるのも近いかもしれない……ガンバレ山ノ神!負けるな山ノ神!