聞いて聞いて! 昨日ついに私、人生初のチューをしました!
お相手はなんとなんとォ…、第二高のサッカー部FW・滝川クン☆
パンパカパーン! おめでとう! ヒューヒュー!!
………。
………。
………。
あれれェ? 皆ノリ悪いゾォ? どうしてダァ? 何でダァ? ダァ?
もしかして、私が先に初チュー済ませちゃったから、僻んでるのネェ?
そ、そ、そんなこと…、ないでございますよ?
急に敬語になったのが怪しいナァ?
わ、わ、私たち、…もう女子高生だよ?! チューなんて、チューだけに中学生の時に経験済みでチュウ
語尾がピカ●ュウになった。怪しぃナァ?
も…もう、皆経験済みってことでいいじゃんかッ!
それより、美味しいスイーツ店見つけたのッ、今度食べに行こ?
はぐらしかしタァ。さてはやっぱり皆…、
まだ唇処女だなッ?!
!
!!
!!!
うっそォ! 信じられない!
皆、華の女子高生だよね?
キスの一つもしたことないとか、もはや絶滅危惧種って感じィ?!
いや、絶滅希望種って所かな。早く死んでくれない? なんかここ一帯処女臭いんだよねェ?
(どうする…私、一応キス的な事はしたことあるけど…、アレを人に話すのはちょっと…)
(でも、ここまでケチョンケチョンに貶されたら…)
(黙ってる訳にもいかないしッ…!)
私は…、キスしたことあるよ。
場所は、海がすごくキレイな浜辺で…。
うんうん、いいね! アリサちゃん、ロマンティックだね!
キス友(※キスしたことある友達)と、こういう話して盛り上がりたかったんだよね!
もう…、心臓止まっちゃって…、
わかるわかる! 私も心臓止まりそうになっちゃって!
(言えない…)
(まさか、海で溺れて人工呼吸された時の話だなんて、絶対言えない…)
ずばり、どんな味がした?
…し、しお味かな?
(海水の味だけど)
ポテチのうすしお味でも直前に食べてたのかな?
でさっ、でさっ! アリサちゃんの初チューの相手はどんな人なの?
え…、え~っと…、
漁師のおじさん…?
え? おじさんッ?!
もしかして、アリサちゃん。加齢臭漂う親父みたいなのがタイプなの?
そ…、そうよ! 私はガッチリしてて、逞しくて、適度にハゲてて、雄を感じさせる親父がタイプなの!
最近のひょろっとした女々しい男子高校生なんか、こっちから願い下げよ!
じゃあ親父と援交もしてるんだ!
そ…そうなのよ! 好きなタイプの人と一緒にいれて、更にお金まで貰えるって最高じゃない!
見かけによらず、遊んでるんだねぇ…。
(まずい…、後半辺り誇張しすぎて、引き返せない所まで来てしまったわ…)
じゃあ、次! ネネちゃんね!
わ…、私は…、
色白のハーフ顔の人としたわッ!
マジで! イケメンイケメン!?
そうねぇ、すっごくイケメンよ。
なかなか手を出してくれないから、しびれ切らしちゃって、私からキスしちゃったわ。
いわゆる草食系男子って奴?
すっごーい! ネネちゃん、自分からいっちゃったんだァ!
ちなみに…、どこでキスしたの?
放課後の、誰もいない美術室よ。
放課後の誰もいない学校の○○って所が、シチュエーション的に、もうたまらないね! 青春だね!
(言えない…)
(まさか、美術室の彫刻像を相手に、キスの練習をしてただなんて言えない…)
…で、キスの時、どんな味がした?
彫刻像の唇に味がある訳…、まぁせいぜい石膏の味ぐらいかしな…、
せっ…? 「せっ」何味?
(しまっ…!? つい心の声が…ッ!)
え…、え~…、えっと…。
もしかして、「せっけん」の味じゃないかしら?
「せっけん」…? ナイスパス!
そうなのよ! 彼、私がキスする前に「しゃぼん玉」やってたのよ!
彼、見た目はイケメンハーフ顔だけど、おもちゃとかで遊ぶ子供っぽい所があるから。
「お前もこのしゃぼん玉みたいに、いつか屋根より高く飛んでいってしまうんじゃないか…」って言ってたから
「私はいなくなったりしない、ずっとあなたのそばにいるわ」って言ってキスしてあげたの!
ラブラブだねぇ…、聞いててこっちが恥ずかしくなったよ…。
(何でユイちゃん、私を助けたりなんか…)
ふふっ☆(ウィンク)
(まさかユイちゃんも、私と同類…!?)
皆、素敵なキス談をお持ちのようで。
じゃあ最後は、ユイちゃんだね!
はい、喜んで!
(ネネちゃん、私が言葉に詰まったらフォローお願いね☆)
(なるほど…、さっき私を助けたのは、こういうことだったのね)
ユイちゃんは、どんな人とキスしたの?
きれいに食べてくれる人ですよ! 彼、見た目の割りに大食いなんだ。
しかも外国生まれで、性能も良いから、ネットで見かけた時は、欲しくて欲しくて溜まらなかったんだよ。
(ネットで知り合った高スペックの外国人てこと?)
実は今、彼と同居してるんです!
同居ッ!? 女子高生なのに早すぎない?! 凄いねッ!
(そっか、ネットが馴れ初めで結婚する人もいるぐらいだもんねー)
もう長い間、一緒にいるってことかな?
まさかそんなぁ。まだ買って1年も経ってないよー。
買って1年…?
あっ、しまっ…!
(言えない…、
(ネットで買った外国産の掃除機に、唇吸われただなんて、口が裂けても言えない…!)
「買って」じゃなくて「飼って」ってことよ。
ユイちゃんの彼氏、働こうとしないヒモ男だから。
(ありがとう! ネネちゃん!)
(ナイス、キラーパス!)
(お互い様よッ!)
働かないし、しかも大飯食らいってサイテーのヒモ黒人だね!
…他人が何と言おうと、それでも私は彼のことを愛しているんです。
彼は毎晩、私に凄い吸引力のチューをしてくれるんですから。
吸引力のあるチュー…? もしかして、「ベロチュー」?!
(ベロチューって何かわからないけど)…、そう! そのベロチューとやらをしてくれます!
き…、気持ちいいのかな? 普通のチューより。
意識が飛びそうになりました!
お母さんが私を見つけた時、かなりヤバイ顔になってたと言ってました!
母親の目の前で、サイテーヒモ黒人とベロチュー!!?
何かもう色々と凄いわ、ユイちゃん。
それより、あなたの初チューの話を聞きたいわ。
人工呼吸とか、無機物とキスとか、掃除機に吸われたとかはカウントしないことよ!
二人(バレてた~!)
二人(…ていうか、アリサちゃんのアレ、人工呼吸だったんだ…)
ええ~、私ィ? 恥ずかしいよォ?!
さっき初チューしたって、大声で発表してたじゃない。何を今更…。
もしかして、アナタ! その瀧川クンと、夢の中でチューしたってオチじゃないでしょうね!?
ひどいッ! ちゃんと現実でしたよー!!
じゃあ、もったいぶらないで、ちゃんと聞かせて下さいよ。
さぞ、素敵なチュー話なんでしょうね?
うぅ…、仕方ない…。
私の初チューはね…、
まさか彼女が、瀧川くんのストーカーで、独自で調べ上げた住所を頼りに、家に忍び込んで、
夜這いをかけて、寝ている彼に無理やりチューした話を聞かされるだなんて、
ここにいる誰が想像できただろうか…。
もう、とにかくあの時のキスは凄かったんだから…ッ!
彼ってツンデレなんだよ。私が舌を入れたら、思いっきり噛んだりして、口中血まみれになったよッ。
これぞまさしく、ディープキスを超える、ブラッド(Blood)キスだね!
それで、「お前何してんだよッ!」って怒鳴られて、突き飛ばされちゃって…ッ。
ホント、恥ずかしがり屋さんなんだから、もうッ!
3人「…引くわぁ。」
私の初チューの味は…、
鉄の味がしたッ!