ふわぁ……今日も平和な一日だったなあ。
お夕飯は何を作ろうかなあ。
そうだ、お米きらしてたんだっけ。
お姉ちゃんがいっぱい食べるから、食費もバカにならないよ。
そこの主婦臭い少年。
えっ……?
(猫が……しゃべった?)
男らしくなりたいか。
それは、なりたいけど……。
やはりな……。
な、なんなの?
強気な姉妹のせいで、女らしく育ってしまった男の子……。
まあぶっちゃけ草食系男子ってやつ。
だっ、だからなんなのさ!?
キミには魔法少女の素質がある。
魔法……少女ぉ?
説明しているヒマはない!
えっ、ちょっ……ちょっとちょっと! 待ってよ、困るよそういうの。
いかん……やつらが、くる……!
デーンデーン、デーン♪
パギョーッ!!
パギョギョギョギョ、プギョーッ!!
く、クマがーっ!
パギョギョン、パギョギョン、パギョギョンギョン!
いやぁーっ!! 誰か……誰か助けてぇーっ!
大変だ……女の子がクマに襲われている!
助けなくっちゃ……でも……。
(ボクなんかが行っても、どうせ役には立たないし……)
あれは魔界の獣、デビルベアーだ。
デビルベアー!? 魔界の獣……そんなのが相手じゃ、ますますボクなんか……。
そんなことはないっ!!
やつを倒せるのは、魔法少女に変身したキミだけなのだ!
だから、さっきから……わけがわからないよ。
説明しているヒマはないっ!
この電柱の影で変身するのだっ!
え……ちょっと! あぅ、ダメ……そんなっ──ぁ……。
ヤバダバドゥーッ!
キラーン☆彡
誕生、魔法少女サンダー☆タケル!!
え……何これ? 何が、どうなっているの……?
(ボク……なんで、女の子に……なっちゃってるの……)
さあ、その力でデビルベアーを倒すのだ!
え? え……ちょっと待ってよ! いきなりそんな無理だって!
パギョギョパギャー!!
ひょえーっ!!
ふぅ……たいへんな一日だったな。
よくやったな、タケル。
よくやったというか、ムリヤリやらされたというか……。
だがな、タケル。私が少々強引な手段をとったとはいえ、おまえが一人の少女の命を救ったことはたしかなことなのだ。
う、うん……。
その救われた少女の感謝の気持ちが、いずれおまえを男らしくする。
そうなんだ……でも、ボクが女の子になる必要はないんじゃないかな……。
理由はある。
魔法少年とかって、あんまり聞いたことないじゃろ。
ないね……たしかに。
そういうことじゃ。
それだけぇーっ!?
ただいまー!
あ。お姉ちゃんが帰ってきた。
お。タケルも帰ってたのか。
うん。お帰り、お姉ちゃん。
腹減った。なんか食わせろ。
はいはい。
うどんとかいいなー。お肉入れて、いっぱい。
食べ過ぎて太っても、知らないんだからあ。
お姉ちゃん……太ってる、かな?
そんなことないよー。でも、食べ過ぎには注意だよ。
そうだな。気をつけるよ。
こうして──。
魔法少女サンダー☆タケルの戦いが、火蓋を切って落とされた!!
戦え、タケル! 命のかぎり!
男らしくなるために!!
次回もかわいい女の子の姿になって、ドキドキしながら戦うのじゃ!!
本当に男らしくなれるの……かな?