はい、帰りのHRは終わりです。
寄り道してもいいけど、遅くならない内に帰るのよー。
先生さいならー!
優理ーかえろー!
あっ……。
う、うん!
(昼休みから放課後になっても、あいつ帰ってこなかった!?)
そういえば、あの中二病。帰って来なかったけど……。
お弁当を置いたままよ。
そういえば、あのとき……。
今日はハンバーグが入ってる。
あいつ、お弁当のハンバーグを楽しみにしてたわ。
まったく、しょうがないなー。
どこに行ったか知らないけど、届けてやりますか。
たぶん、先生に聞けば知っているんじゃないかな。
先生っ!
はい、なんですか?
あの中二病……相野くんはどこに行ったんですか?
彼の居場所は……。
先生にも分からないわ。
えっ……?
生徒会長さんに彼の性格を改めらせるのを任せてしまったから……。
ということは生徒会室に行けば……。
あっ、そうそう。
出なかった授業に関しては補修をしてくれるそうだから、彼に会ったら伝えてね。
相野くん、悲惨ね……。
生徒会長に捕まったんだ……。
と、とりあえず生徒会室ね!
……。
生徒会室まで着いたけど……。
……。
女の子が泣きながら、書類の山抱えているわね。
しかも、当の本人はおらず。 生徒会長までもいないのか。
(たぶん、あれが昨日ネトゲで言ってた副会長だ……)
と、とりあえず話だけでも聞こう!
そ、そうね!
(ドアを引く音……)
し、失礼しまーす!
あっ……。
な、なんでしょうかー?
生徒会長なら、すでに帰りましたよー!
仕事を全て私に置いて……。
ひ、悲惨ですね……。
(思ってたより、かわいそうだ!)
あ、あのそれじゃ、相野くんはいますか? 彼にお弁当を届けに来たんですけど。
あっ、彼なら!
この部屋のどこかにいるはずです!
えっ?
ど、どういうことですか?
実はちょっと、書類に目を通している隙に――。
こう、シュっと!
いなくなりました。
しゅ、瞬間移動?
ただドアの戸を開ける音は聞こえなかったので、この部屋にいると思います。
確かに私たちがさっき入ってきた時も音が聞こえましたもんね。
まあ、おおよその検討はついているんですけどね!
(この人、知ってて私たちに聞いてるの?)
まあ、彼もそろそろ限界でしょう!
な、なんでですか?
話を聞けば、彼はまだお昼ご飯も食べてないとか。
ああ、なるほど……。
グゥウウウ……。
なっ、なに今の音!?
お腹の鳴る音……?
もう、優理ったら……食いしん坊なんだから。
(私じゃないっつうの)
グゥウウウ……。
今、ロッカーの中から聞こえた!
そろそろ出て来たら、どうです?
……。
俺の透明魔法インビジブルを見破るとは……。
貴様、魔眼の持ち主か!
ふっ、バレてはしょうがないですね!
って、そんなわけあるかーい。
くっ、俺の身体も限界が近づいているようだ……。
ノリツッコミ反応してよ……。
さて喜びなさい、相野くん。女子がお弁当を届けに来てくれたよ!
ちょっ、その言い方だとまるで私が作って持ってきたみたいじゃないですか!
私が作って持っていくとしたら、優理だけです。
(その反応はどう返答していいか、迷うわ)
ふっ、どうやらまだ死ねないようだな。
(そして、こいつは素直によろこべんのか)
ほらっ、せいぜい感謝しなさいよ。
……。
あっ、ありがとう。
なんか逆に調子が狂うわね。
おっ、相野くん。フラグが立ったみたいだよ。
はっ、ありえないんですけど?
……。
(び、微妙に残念がってるわね)
とりあえず生徒会長帰ったし、君はもう帰っていいよ。
魔王の手下にしては話が分かるな!
(まあ私も気持ち分からんでもないし)
こ、ここでお弁当食べられたら仕事の集中できないでしょ! 邪魔なのよ!
邪魔……そこまで言わなくても……。
ああ、ごめんごめん! ここは飲食禁止なだけだから! 邪魔じゃないから!
(めんどくさいなーこいつ!)
(そういえば、私もこいつに聞くことがあったんだ)
(でも、今は他に人もいるし話づらいわね)
魔女よ。
(と、思ったら逆に話しかけられた)
ちょっと話があるので時間を作ってもらいたい。
は、話?
ちょっと、また何か優理に!
葵!
私は大丈夫だから。
そ、そう?
(中二病的発言なら、ここで良いのに。わざわざ時間を作ってと言ってきた)
(こりゃ、何かあるわね)
続く……。