うちの爺ちゃんが────。
ギャルゲーにハマった。
ふぉーっ!! この照れた表情がたまらんのぅ。
爺ちゃん。 ゲームなんだから、ほどほどにな。
あんまり度が過ぎると、年寄りの冷や水って言われちゃうよ。
そんな心配をするようになってから、数日後────。
・・・たいへんなんじゃ! たいへんなんじゃ!
誰だよ・・・朝っぱらから。
たいへんなんじゃよ!
誰・・・キミ?
おまえのお爺ちゃんじゃよ。
ゲームばっかりしておったら、こんな姿になってしもうた。
どういう・・・こと?
いや~。 まるで若返ったような気分じゃのう。
ちょうど攻略中だった、美古理ちゃんと同じ姿になってしまうなんて・・・長生きはするもんじゃわい。
爺ちゃん・・・これ、普通ありえない事態だから・・・。
攻略してもいいんじゃよ。
やめて・・・!! お願いだから、孫に攻略させないで!
つまらんのー。
二次元の美少女ぐらい落とせないとは、ふがいない孫じゃ!
今は三次元だろうが!
爺ちゃんは、ギャルゲーをしているうちにのう・・・。
あのポータブルの端末の中に入りたい、入りたい・・・と何度も願っておったんじゃ。
そうしたら!
願い通りに、この姿になれたんじゃよ。
それ願い通りじゃないから!
ないから・・・はやく病院に行って、治してもらおうね。
病院なんぞで、ワシの美古理ちゃんに対する熱い情熱は消したりできないのじゃ!
きっと今頃、婆ちゃんが草葉の陰で泣いているぞ・・・。
やっぱり病院でもダメじゃったの~。
まったく想像どおりじゃわい。 よかったよかった。
よくないよ・・・。
これから・・・どうするつもりなのさ、爺ちゃん?
うむ。 それなんじゃがの。
もう一度、願ってみようと思う。
願いって、元の姿に戻れるように?
違う違う。 そうじゃなくてな・・・。
ゲームの中に入れるように、じゃよ。
ちょっ・・・やめてよ、爺ちゃん!
爺ちゃんがいなくなったら・・・。
そう言ってくれるのは・・・孫のおまえだけじゃよ。
爺ちゃん、攻略されちゃったかな。
やめい!
それから・・・。
出てこなくていいから!
萎えるからマジやめて!! お願いだから!
爺ちゃんは、すっかりゲーム世界の住人になってしまった。
いろんなギャルゲーのヒロインになって、楽しんでいるらしい。
もしかしたら・・・。
みんなが遊んでいるギャルゲーにも、ワシが出ておるかもしれんの~。