3年2組の舞台「シンデレラ」は、幾度もの怒濤の展開を繰り広げて、いよいよ佳境へと差し迫ってきた。
そんな中、行方不明だった委員長も無事に帰ってきた。
これで事態は全て収拾し、無事に演劇を進められるとクラスの誰もが思っていた。
・・・・・・。
・・・「シンデレラ」がとうとう戻ってきよったか・・・。
だが、しかし、この舞台のコンセプトは「シンデレラの居ないシンデレラの物語」・・・。
そう簡単に元の世界に戻れるとお思いかな?「シンデレラ」さん・・・?
フフフ・・・・・・
ポツ・・・
ザァーーーーーッ
うわっ、雨だ!
それも酷い土砂降りだ!!
ご来場の皆さん、ひとまず校舎の中へと避難してください!!
バタバタバタ・・・
まさか、急に降ってくるなんて。 近頃の天気予報はアテにならないな。
こんなことだったら、最初から素直に体育館で演劇やるべきだったね?
いやいやぁ、グラウンドでする劇なんてオツなもんやと思うとったんやけど、
申し訳ないッ!自分のせいで劇を中断させることになってしもうて・・・!
別にいいじゃないか。僕らもある意味新鮮だったし、
なにより、お客さんがあれだけ盛り上がってくれたのは、緑川くんのおかげもあるよ。
せやんなァー?やっぱボクって気配り上手ーッ
調子乗んなや緑川
みんなーっ、おそらく一時的なスコールだと思うから、
雨が上がったら、急いでセットをグランドに戻すよ!
あれ?体育館使えないんですか?どうせならこのまま、体育館に移動した方が再演も早いだろうし・・・。
・・・それがなんかね、今の時間だと体育館は別のクラスの出し物やってるみたいなのよ。
マジですか。ついてないですね。
そんなことないわ。だって私達の元に、あの演劇部期待のホープ・天才脚本家の委員長が戻ってきたのよ!
とにもかくにも、これで舞台は大成功間違いなし───
ねぇ、委員長見てない?
委員長?そのあたりにいないの?
観客席の人たちも一緒に校舎へ避難してきたから、その騒ぎではぐれちゃったのかもね。
あっ、雨止んだみたいね。
よっーしゃーッ、皆ーっ!力を合わせてこの舞台を今世紀最高のものに仕上げんでー!
目指せトニー賞!!
調子乗んなや緑川
~間もなく舞台「シンデレラ」の第七幕を開始します~
・・・レジスタンスはもはや僕1人。壊滅したも同然。
たったひとりで世界を救うなんて、俺にはできっこない・・・ッ。
ロバート・・・。
君はその見かけどおり紅茶を淹れるのが得意だったね・・・。
け●おんフェアで俺たちが午後ティーを大量に購入してきた時の君の背中はひとしお寂しそうだったね・・・。
アイザーワ・・・。
君は俺をまるで実の弟のように可愛がってくれたけど、
本当は、俺の方が10歳先輩だってことを自覚してたのかな?
熱したヤカンを額に乗せてもまるで起きないくらい鈍い君のことだ・・・。
俺の密やかな好意にすら、気付いて貰えなかったに違いない・・・。
ヘンリエッタ・・・。
一晩の過ちとはいえ、君の乙女心を弄んでしまったことを許してくれ・・・。
チョモランマ・・・。
委員長がいない、だとォ!?
あの女、また土壇場で逃げやがったってのかよ!?
今はスギータの過去の回想シーン突入でなんとか持ちこたえてるところだけど・・・。
そんなんで大丈夫なの?
安心しなさい。とある海賊アニメだってある時期回想シーンばかり挿入して物語が先に進まなかったわ。
てかあの女、マジで他人に迷惑かけんのが好きらしいな!イイ性格してるぜ!
いえ、今回の委員長の失踪・・・、おそらく自分の意志によるものではないわ。
ということは、委員長はいったい・・・?
・・・どうやら、このまま無事大団円で終わらせてくれそうにないらしいわ。
・・・そうよねぇ、「招かれざる客」さん?
あぁシルベスター・・・、僕は君に・・・
今カッコ付けてる時に入ってくんじゃねーっ!
ねぇ、私の出番まだァ!?
・・・・・・。
再び委員長が失踪!果してシンデレラはどうなる!?
次回!忍海先生による「リレー小説・シンデレラ」、こうご期待!