ねえ、委員長。 ここの問題、わかる?
わかるよ。
教えてよ。
教えない。
ケチー!
そのくらい、自分で解けよ。
それじゃあ、 あそこの席に座っていたのは誰?
……なんだ。 いきなりだな。
誰か座ってたよね。
さあな。 座っていたんじゃないか。
覚えてないの?
自分はどうなんだよ。
知らないから聞いてるんだよ。
なんで知らないんだよ。 まさか、忘れたとか?
そのまさかなんだよね。
アハハ。 忘れっぽいにもほどがあるだろ。
だから聞いてるんだよ。
教えてやるよ。
知ってるんだ……!
今から300年前に、 この教室があった場所でな……。
300年前って、この学校…… 建てられてなかったと思うけど……。
バレるの早いなあ。
もう! からかわないでよねー。
ハハハ。 ごめんよ。
すごい気にしてるみたいだからさ。
つい……からかってみたくなってね。
ん~…… 本当のところ、どうなんだろうなあ。
はー。 考えてても、わかるわけないか。
やだ……もうこんな時間。
早く帰ろ、っと。
バイバイ、後ろの席の人。
カバン……に荷物を入れて、っと。 あー、今日は宿題あるんだっけ。
机に入れっぱなしのノートも 持って帰らないとなあ。
あれ……。
『あなた誰なの?』
────ひッ!
やだ……なに、これ……。
なんで、私の机に……。
し、知らないよ……。
知らない。知らない──
私はあなたのことなんか、 ──何も知らない。
……知らないんだから!