お昼だぜ~。 今日のお弁当、メインデッシュは鳥そぼろだよ~。
ほれほれ、美味そうでしょう。 ほぅれほれ~。
ガキじゃねぇんだから、弁当ぐらいではしゃぐなよ。
で~? 例の物は? 例の物は確保できたん?
・・・・ほらよ。
やり~、あざ~っす♪ ほい、おべんと~。
ん~♪ なんで購買部の焼きそばパンって美味しいんだろうね~♪
俺としては、そんなのよりもこっちの弁当の方が美味いけどな。流石はお前の母さんの弁当だ。
この弁当よりも惣菜パンの方が好きだなんて、お前も贅沢っつーか、貴族的っつーか?
だって~、こういうのほとんど食べたことなかったし。お出かけする時とかも、お母さんウチが頼んでもないのにいつもお弁当作っちゃうし。
あれはお弁当ジャンキーだね、ズバリ。お弁当が作りたくて作りたくてしょうがないって顔だよ。
顔?
あ、そのだし巻き卵食べるの?
食べちゃなんかまずいのか?
ううん、別に。
(じぃ~・・・)
何故そんなに俺を見る?
ううん、別に。
(じぃ~・・・)
・・・そんなに見つめられると、恥ずかしいんだけど。
Oh! Shyboy!
うっせばか。(ぱくっ)
・・・・・・。
んぐんぐ・・・んぐ?
ど、どうしたん!? やっぱり、殻とか入っちゃってた!?
・・・・いや、いつもより、ちょっと固いなぁって。
あ、・・・・そう、そっちか。
なんだぁ~、心配しちゃって損しちゃったよ~。なははは。
それに・・・・なんか、焦げてる?
へ、へぇ~。
お前の母さんらしくないなぁ、いつもだったらこんな焦げありえないのに。
・・・・・・。
・・・・まぁでも、
でも?
・・・・不味くは、ないかな。 うん、これはこれで中々。
そ、そうなんだ! へ、へへぇ~。 良かったじゃん!
何でお前が嬉しそうなんだよ。
べっ別に~、お母さんの作ったお弁当が、穢されなくてよかったなぁ~って、思ってただけだもん!
・・・・ふぅ~ん。
ふぃ~、ごっそーさん。
米粒一粒たりとも残さないとか、あんたはお百姓さんか!
弁当箱でお茶飲む男子高校生を見たいのであれば見せてやらんでもないが。
ご遠慮させていただきたく存じ申し上げまつる候。
それ合ってんの?
知らねっすわ。
『あははははははは!』
そんじゃぁそろそろ、クラス戻るわ。
おう。 ・・・・あ、そうだ、おい!
ん?
殻は無かったから、安心しろよ。
・・・・なんでウチに言うん?
さぁ、なんとなく?
・・・・変な奴!
お前もな!
~終劇~