Ep.04 今では、大好物です。
ぐぅるりゅるりゅるる~ゥ・・・。
うへぇ~・・・、腹減ったぜ~・・・。
今日は、両親がともに家を不在。
そんなこんなで、今夜は家には俺ひとり。
たまには自炊でもしてみろって言うけどよ、俺にそんな器用なことできるわけないンダな・・・。
諦めて今晩はカップ麺で凌ごうと思ったけど、あいにくストックは0。
仕方ないので、コンビニに出掛けようと身支度を整え、玄関まで向かった矢先。
ピンポーン
はい、どちらさま・・・。
やっほー、熊猫くん。
・・・あれ、これからどこかお出かけ?
なんだ、ユキコかよ・・・。いったい何の用?
つれないねぇ。今日、熊猫くん家、両親2人ともいないって聞いたから、お料理作りに来てあげたのに。
マジかよ、グットタイミングじゃん!上がれ、上がれ!
んで?何作ってくれんの?
ふっふっふ・・・、よくぞ聞いてくれました・・・。
今晩は、ユキコ特製カレーを振舞っちゃいますよ~!
・・・・・・。
別にタメて勿体ぶる程の献立でもないし、ましてやユキコの持参してきたカレーの材料を見て、がっくり。
・・・玉ねぎ無しのカレーなんて、聞いたことねェよ・・・。
だって・・・、苦手なんだもん。
玉ねぎっつったら、カレーの美味しさを左右するマストアイテムだぞ?
俺は、玉ねぎ無しのカレーなんて、ぜったい認めないンダからな。
というわけで、ユキコには悪いが、冷蔵庫にちょうどあった玉ねぎを追加して、いざカレー作り。
うっ・・・うっ・・・、熊猫くん、ひどいよぅ・・・。
具材の皮を剥いている間、隣で涙をボロボロこぼしていたユキコ。
自分で苦手だと言っていた玉ねぎを、涙しては目を擦り、それでも懸命に包丁で刻んでいた。
ゴーグルつければいいのに・・・。
それを先に言ってよー、もーっ!
途中いろいろトラブルもあったが、2人でなんとか試行錯誤、苦節を経て、どうにか完成。
あーっ、旨ぇー!やっぱり、自分で汗水流して作ったカレーは最高だわー!
・・・・・・。
ユキコは、なかなかカレーに手を付けようとしなかった。
おい、食べないのか?
玉ネギが・・・いっぱい・・・。
せめて・・・ミジンコとかアオミドロみたいに、直視で見えないくらいにまでもっとミクロに刻んでいれば・・・。
食事の最中に、なんてことを言い出すンダお前は・・・。
いいから、ほれ。ガッとくらいやがれ。
・・・・・・。(ぱくっ)
モグ・・・モグ・・・。
・・・ごっくん。
どうだい?
・・・玉ねぎって、こんなに美味しかったっけ?
やったじゃん、克服できたじゃないか。
・・・うん!
今回のことがきっかけで、俺は今までまるで興味のなかった料理に目覚めてしまった。
そして、それからしばらくしたある日・・・。
今度は、俺がユキコの家を訪れていた。
どうしたの、熊猫くん?
・・・って、その買い物袋は?
俺の手に提げられたエコバックの中には、大量の玉ねぎが詰められていた。
玉ねぎだくだくパスタってのを考案したンダけど、一緒に作らないか?
・・・・・・。
・・・ぜったい、イヤ。
続く