『特に何もない、そんな世界で。4』

キーンコーンカーンコーン。

学校中にアナウンスが流れる。

『みなさん、20時となります。最終下校時刻なので速やかに学校から出てください』

・・・・生徒会室・・・・

おや、もう最終下校時間かぁ・・・。

じゃ、今日はもうお開きッスね。

ああそうだな。

ところで、どうだったね、この紅茶。

はい!とっても美味しくて、掃除した疲れも吹っ飛んだッス!

フフ、喜んでくれて何よりだ。

(と言うか、体育倉庫をまさかほとんど一人で片付けてしまうとは・・・)

(あそこ、30kgぐらいある備品も少なくないのに、よくやる。)

?どうしたんッスか、先輩。私の顔に何かついてるッスか?

ああ、いや、なんでもない。

では帰るか。我が後輩!

はいッス!

それでは、我が後輩。ここで残念だがお別れだ。

あ、はいッス!また明日ッスね!

ああ、そうだな。また明日だな!

(ま、私は帰ればすぐに君の家に行くのだがな。)

じゃ、お疲れさまッス!

うむ、お疲れだ!

タッタタタ・・・

ふぅ~・・・

(今日も一日良い日で良かったッス)

(また、明日もこんな日になるように、頑張らないといけないッスね♪)

~♪

しばらく、商店街を鼻歌まじりに陽気に歩く。

すると、商店街の裏路地に入る人影を見つけた。

(?・・・あの人は確か・・・)

そこに居たのは、昼間、学校の裏校門に倒れていた女子生徒だった。

女子生徒は昼間と変わらず、フラフラとした千鳥足で裏路地へ入っていく。

(あの人、昼間と変わらないじゃないッスか!やっぱり、ちゃんと手当しないと!)

ダッ!

と、女子生徒を追いかけ裏路地に入る。

裏路地は、この街からは完全な死角になるのか、薄暗い月明かりと商店街からの光は届かなくなっていた。

しばらく、女子生徒の後を追いかけるも、いつしか見失い、商店街の外れに出てしまった。

あれ・・・どこ行ったんッスかね・・・・。

キョロキョロとあたりを見渡すが、虫の鳴き声とカエルの不気味な音色と、闇に沈んだ住宅街しかない。

(あ・・・そう言えば、ここは怖い噂話がいっぱいあるって噂の、場所じゃないッスか!)

(うー、怖いのは苦ってッスけど、あの人を探さないと。)

街灯が点々と照らす歩道を歩きながら、どこかに倒れたり、ふらふらと歩いてないか探す。

しかし、いくら探せど探せど見つからず。ふと見たケータイの液晶画面が22時をさそうとしていた。

・・・その時だった。

あ・・・あの人だッ!!

探していた女子生徒を見つける。

ッ!!

確かに、そこには女子生徒が居た。同じ制服で、後ろ姿も確かに昼間見たものと同じだった。

しかし、

血まみれで、倒れている以外は、だった。

あっ・・・あ、あぁぁ。

見ていることしか出来たかった。

それは、至極当たり前の事だ。

今まで生きていた人が、今、目の前で倒れ血だまりを作っている。

ピクピクと体を痙攣させながら、低い唸り声をあげる。まるで地獄の亡者のように。

あぅ・・・あ、生きて、るの・・・?

返事は低い唸り声しか聞こえない。

しかし、その唸り声も消えてしまった。

こんな状態の人間が生きていれるわけはない。

今できるでけの治療を施し、救急車を呼んでも、出血多量で着く前に死んでしまう。

もう、どうしようもない。

どうしようもないのだ。

生きている・・・まだ、生きてる・・・。

虫の息の女子生徒へ手を伸ばす。

生きてる・・・死なないで・・・死なないで。

だんだん冷たくなっていく女子生徒に怯えながらも近づく。

死んではいけないの・・・。

そう言って、氷のように冷たい肌へ手が触れた。

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公開日 2012/04/17 21:27 再生回数 17

作者からのコメント

とりあえず、夜って事でここは一つ。   ※このお話はシリーズとなっています。なので1から見ることをオススメします。

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