この物語は、昔話「桃太郎」に出てきた桃太郎、犬、猿、きじ、鬼の末裔が、
現代の高校に偶然集結した、奇跡の記録である。
バカももはどこ行ったのよ!!
犬の末裔・カトリーヌが怒鳴り散らす。
これだけ探してもいないってことは、先に帰ってしまわれたんじゃないですか?
少しオドオドしているのは、きじの末裔・雪路。
もしかして今頃、鬼に捕まってるんじゃない~? なんてね♪
笑いを含んだ言い方をしたのは、猿の末裔・真猿。
まさか~、桃太郎の末裔であるバカももが鬼に捕まってたとしたら、笑いものだよね~。
でも…、あの先輩ならやりかねないかも…。
……!
……!
3人は顔を見合わせる。
バカもも~ッ!!
もも~~ッ!!
ももはるさ~~んッ!!
俺の名前は桃春。皆信じてくれないけど、実は桃太郎の末裔なんだ!
そんな俺は今、
とある教室に監禁されている。
ンンン~ッ、ンンンッ!
目が覚めたかい?
ンンッ!?(誰だ?!)
僕だよ。
ンンンッ、ンンンッ!(鬼咲先輩ッ!)
手荒な真似をして済まない。決してキミに危害を加えるつもりはないんだ。
そういうと鬼咲は、桃春の口に貼られたガムテープをはがす。
プハァ!
はぁっ、はぁっ…。鬼咲先輩、何でこんなことを…ッ?
こうするしか方法が見つからなかったんだ。もも君と二人きりでお話する機会を設けるには。
普通に言ってくれれば、いつでも話に付き合いますって。
そうか…、それはすまなかった。
ついでに手と足の拘束も解いていただけると有難いのですが…。
それはできない。
なんでぇ?
それは、キミが私の話を聞いたら逃げ出してしまうからだ。
よっぽどの事がない限り、逃げませんよ。
そ、そうか…。
では単刀直入に言う。
き、キミが好きなんだ。
なーんだ、そんな事
はっ?! 今なんて?!
女の私に二度も言わせるのかい? 本当に君は意地の悪い勇者だな。
今度は聞き逃さないでくれたまえ。僕は、もも君のことを好きになってしまったんだ。
……マジですか? 鬼咲先輩。
笑っちゃうだろう? 鬼の末裔である僕が、桃太郎の末裔を好きになってしまうなんて話。
な、何でですか? 何をきっかけに俺のこと好きになっちゃったんですか?
あ、あんなことをしておいて忘れたとは言わせないよ、もも君!
あ、あんなこと?
君たち『ももいろタロット部』が、僕たち『山賊部』の部室にやってきて、
鬼退治と称し、部室を奪略していったあの事件を忘れたというのかい!?
あー、そんな事もありましたね。
でもアレは俺全然悪くないッス。俺はやめとけって言ったのに、あの3人が暴走して…。
…って、それで部室を追われた鬼咲先輩が俺のことを好きになった理由が未だ不明なんですが。
…本当に覚えてないの?
俺、先輩に何かしました?
…色々、やったじゃない。
あー、ごめんなさい。あの時3人を止めようと必死になってたら、抵抗されて突き飛ばされて、どっかに頭ぶつけたんですよね。
…で、そこからの記憶が全くなくて、気づいたら保健室で。
じゃあ、無意識の内に僕を…、ってことなんだね。
ホントに俺、先輩に何をしたんですか? 内容によっては謝りますケド。
もも君から、きび団子をいただいたのだよ。
き、きび団子? きび団子って、あのきび団子ですか?
そう、きび団子。…いや、正確には『きび棒』と呼んだ方が良いのかな?
きび棒って何ですか? 何の隠語なんですか。
それを貰ってからというもの、僕はキミの言いなりになりたいと常日頃から思うようになり、
その度に…、身体が火照ってくるんだ。
はぁっ?!
私の鬼門は…、もも君によって破られてしまったんだ。
チョイチョイチョイ! 話が全く見えないんですけど。
こ、ここまで言わせてもわからないのかい、キミは?
つまり、キミの下腹部にあるその『きび棒』が、僕の下腹部の『鬼門』を貫い…
うわあああッ!! もういいですッ! 充分わかりましたッ!
…って俺、鬼咲先輩になんてことを…!?
謝って済む問題じゃないだろうけど、ごめんなさい! 俺、鬼咲先輩の言う事なら何でも聞きます!
もも君、立場が逆だよ。
言う事を聞くのは僕の方なのさ。君からきび棒をいただいている訳だしね。
僕はあの事件で君に襲われた時、『きび棒』の虜になってしまったんだ。
そして、それは今でも…
うわっ!
鬼咲に押し倒される桃春。
カチャカチャ
鬼咲せんぱ…ッ、や、やめてくだ…ッ!
君がイケないんだよ。僕なんかに『きび棒』の味を覚えさせてしまったものだから。
こ、こんなのってあんまりだよ…!(バタバタ)
あぁっ! そんなにジタバタしないでくれたまえ!
ゴンッ!
だ、大丈夫かい? もも君。 今、凄い音がしたケド…。
…もも君?
きゃああッ! (ビリリッ!)
よぉ、久しぶりだな。鬼の娘よ。
この乱暴さ…。あぁ、身体の奥が疼く…。これは、あの時の…。
そんなにこの"きび棒"が欲しけりゃ、たくさんやるぜ? だから俺の性処理のお供になりな。
ほ…、欲しいッ! 僕、何でも言う事聞くから、桃くんの"きび棒"…、いっぱい欲しい!
ホント、お前は俺の最高の肉便鬼だよ。アイツらとは大違いだ。
あの3人より、僕の方が役に立つのかい? 嬉しい…。 好きだよ、桃くん。
じゃあ、さっそく鬼退治といきますか。
鬼は豆が弱いんだよな♪
桃春と鬼咲先輩の密事が行われているとは知らず、3人の女子たちは未だ桃春を捜索している。
そんな時に現れた、一人の男。
ったく、村を襲うのも疲れるぜ……。
この男の正体は…? 続く