アリス 「ハァ…」
侍 「どうした溜息なんかついて」
アリス 「それにしてもわからない…」
侍 「何がだ?」
アリス 「神隠し事件について、どうして記者が一年ごとに代わる代わるになっているのか…」
アリス 「しかも記者それぞれに接点がまるでない…」
侍 「確かにな…偶然見つけたとか、気になったからとかって言ってたな」
あれから嬢ちゃんは一人で全ての記者との接触を試みたが、結局会えたのは最初に会った記者と谷沢という記者だけだった
妙なことに全員そろいもそろって失踪ときている…
アリス 「ネットでブログかなんかで調べても接点は無し」
侍 「おまけに本人たちは失踪」
アリス 「なにかあるのは間違いない…」
侍 「だな…ちょいとヤバそうな山だな」
アリス 「…」
侍 「なんだ??」
アリス 「今の言い方… なんかドラマの刑事みたいだった」
侍 「割とこういう言い方は生前もつかってたんだがな」
アリス 「そういえばずっと気になってた」
侍 「?」
アリス 「侍さんはどんな暮らしをしてたの?」
侍 「そうだなぁ…嬢ちゃんがしてるような暮らしじゃねぇのは確かだな」
アリス 「生計はどうやって立ててたの?」
侍 「う~んいろいろ試してはいたんだけどなぁ…どれもろくに続かなくてな」
侍 「ほとんどは賭博と…」
アリス 「それ生計ちゃう」
侍 「しかたねぇだろ…俺はこの腰差し一本と腕で生きてきたんだから」
アリス 「………それって」
侍 「…………」
…殺しだ…
それからは静かだった… 嬢ちゃんはそれ以上追及はしてこなかった
俺がどんな生き方をしてきたのかは きっとわかっていたはずだ
それでも 実際にその一言を聞くと やはり驚いていたのだろうか…
少し寂しそうな顔で… 部屋に入って行った……
ちゅんちゅん
アリス 「ふわぁ…」
侍 「えらいデカイあくびだな」
アリス 「乙女にはいろいろあるから」
昨日のテンションとはまるで別人かと思うほど今日はいつも通りだ
まぁ 正直その方が俺としては ありがたいんだが
近所のおばちゃん 「見た見た?今日の新聞記事」
ケーキ屋の姉ちゃん 「川島グループの都市開発ですよねぇ」
近所のおばちゃん 「森林地帯を一気に伐採して 都市作るってねぇ」
近所のおばちゃん 「あの辺一帯は事件があって以来 不気味だからこっちとしてはありがたいんだけどねぇ」
侍 (事件…?)
アリス (少し様子を見てみよう)
ケーキ屋の姉ちゃん 「事件ってなにかありましたっけ?」
近所のおばちゃん 「ほら、ちょくちょく新聞にのってるじゃない」
近所のおばちゃん 「神隠し事件」
近所のおばちゃん 「あれ、あたしが思うに10年前の殺人事件が合ってからなんだと思うのよねぇ」
アリス (殺人事件…?)
近所のおばちゃん 「たしか同時期に起こったからねぇ」
ケーキ屋の姉ちゃん 「殺人事件~?そんな物騒なことあったっけ??」
近所のおばちゃん 「ほらあったじゃない。身元不明の焼死体事件」
アリス (……)
近所のおばちゃん 「あれ結局誰が死んだのか分からないんだよねぇ」
近所のおばちゃん 「当時の川島グループ社長が神隠しの最初の犠牲者になるし」
近所のおばちゃん 「皮肉なことにその会社の社長が神隠しにあった場所を今の会社が潰そうとするなんてねぇ」
ケーキ屋の姉ちゃん 「よくわかんないよおばちゃん、てかその当時アタシ生まれてないよ~」
近所のおばちゃん 「鯖読み、無茶にもほどがあるでしょーが」
ケーキ屋の姉ちゃん 「なんだとぅ~」
あはははははは
アリス (……)
侍 「……どう思うよ?」
アリス 「どう…って?」
侍 「どう考えても今の話と神隠し… あやしすぎるだろ」
アリス 「一慨に否定はできないけど、根拠がない…」
侍 「川島グループってどんな会社なんだ?」
アリス 「この地域の都市開発に貢献した会社だって聞いてるよ…」
アリス 「当時から都市開発には積極的で ここ数年でかなり大きくなったみたい」
侍 「へぇ」
アリス 「……興味なさそうだね」
侍 「割とどうでもよかった」
アリス 「……」
ちゃららららん
きーんこーんかーん
ガラガラ
アリス 「たーのもー」
春香 「お、来たわね」
アリス 「ぶちょーちゃおー 楓は?」
春香 「なんか遅れてくるみたいだよ~」
春香 「今日も委員会の代わりだってさー」
アリス 「………実はデート……」
春香 「な、、なんですと…!?」
アリス 「……かもしれない」
ガラガラ
楓 「んなわけあるか――――!!」
アリス 「ちょっとした冗談だよ」
楓 「あ、あんたのは冗談になってないわよ」
アリス (ん?…)
春香 「デートだとぉ!!!どこの馬の骨や!? おかあさんは許しませんよぉお!!」
楓 「だから違うって言ってるじゃない!!」
ガラガラ
中津 「あのぅ…」
アリス (ああ………なるほど…動揺してたのはそういうわけか…)
楓 「な、中津くん!? 外で待っててくれれば…」
中津 「いやぁ…中からどなり声が聞こえてきたので…」
楓 「あぅ……」
春香 「こここここ…」
アリス 「コケコッコ―、鶏の真似?」
春香 「ちがうわよーー!!!この男の子は何!?楓の男か!?」
アリス 「それは良い得て妙」
楓 「ちちちちち違うわよ!!!馬鹿!!!」
楓 「えっと 中津君は委員会で一緒なだけで 別にそういうのじゃないから!!」
中津 「ええ、楓さんの言うとおりですよ 私は同じ委員会所属の中津レイです」
春香 「あ、どうも」
楓 「あんた馴染むの早すぎるわよ…」
春香 「いやぁメガネの男の子~。眼福眼福」
楓 「中津君を変な目で見たら許さないわよ」
春香 「やっぱりお前の男かああああ!!!!!!」
楓 「ち、違うっていってるでしょーが!!!」
中津 「あはははは…」
アリス 「で、いつから楓の男になったの?」
中津 「からかわないでください…アリス」
アリス 「ここにきたのだから、何か用でもある…?」
中津 「いえ、楓さんから地域調査をしているとうかがったもので」
中津 「どういった調査を行っているのか気になりまして」
アリス 「大したことをしているわけじゃないよ」
中津 ひそひそ「神隠しについて…調査しているんですよね?」
アリス 「おぅ、なぜそれを」
中津 「やっぱりですか…あなたの考えそうな事を言っただけですよ」
中津 「ホントに あなたは危険な橋を渡るのがお好きですね」
アリス 「来るところまできちゃったし、 いまさら引けない」
中津 「はぁ…仕方ありませんね…私も力になりましょう」
二人 「「え?」」