もうすぐクリスマスだね! 私へのプレゼント、用意してくれた?
へへ、それは秘密だな
もう、教えてくれたって良いのにぃ~
……。
クリスマスはどこに行こうかしら?
僕は、一緒に居れればどこでもいいな!
もう、可愛いんだから~
……。
はぁ、どいつもこいつも……。クリスマスって言うのはそういう日じゃないだろ
子作り記念日じゃねぇんだよ。爆発しろよ!!
はぁ……彼女、欲しいな。サンタが夢を叶えてプレゼントをくれるっていうなら、俺に彼女くれよ。あぁ、もう、今日は寝よう……
ほら、起きて。起きないと遅刻しちゃうよ。もう、寝ぼすけなんだから。早く起きてよ
う~……起きるよ。起きるから、布団を剥がさないでよ……
そうでもしないと、起きないでしょう!
あぁ!! もう、わかったから。起きたから
やっと起きてくれた
……
うん、おはよう。よく眠れた?
あんた誰?
私?
そうだよ、不法侵入者確定なあんただよ
私は、あなたの……か、彼女……だよ
……はぁぁぁぁぁ?
何よ? 何か不服なの?
いや、ショートカットで眼鏡とか誰得だよとか思うところはあるけど、俺の彼女ってどこから沸いて出た!?
……色々と失礼な事言ってくれるじゃない……。ま、まぁいいわ
あなたが昨日寝る前に、彼女が欲しいってサンタさんに頼んだから、私がやってきたんじゃない
……何言ってんの? 大丈夫? やばい人? 警察呼んだほうが良い?
私はいたって普通よ!!
はぁ……。それでサンタからのプレゼントだって言うのは分かったけどさ、クリスマスにはまだ早いんじゃないの?
それは、サンタパワーのお試しみたいな?
……何だ夢か
もう、また寝ようとしない!! 早くしないと、学校に間に合わないでしょう!!
ほら、ご飯は出来てるよ。早く食べて出かけましょう
……なんか、完璧だな
それじゃあお母様、行ってきます
まさか、うちの子にこんなに良く出来た彼女が居たなんて……
何、涙ぐんでるんだよ
行ってらっしゃい
母さんまで懐柔して……
それは、彼氏のお母さんだもん……仲良くしたいなって思うわよ
な……!!
ちょ、ちょっと!! 彼氏って言葉だけで、そんなに驚かないでよ。わ、私だって緊張しちゃうじゃない
……うん、学校に行こう。早く行こう。現実に戻ろう
あ、ま、待って!
ん?
手、繋いでも、いい?
え……
ほら、私たち付き合ってるんだし……その、ダメかな?
……
あ、ご、ごめんね。困らせるつもりじゃなくて。そうだよね、まだ早いよね……うん。あはは、ほら、急がないと学校遅れちゃうよ
ほら
え?
手、繋ぐんだろ
……うん
これ、恥ずかしいな
そ、そうだね……
それじゃあ学校、頑張ってね
あれ、お前は?
私はほら、プレゼントだから……。学籍とかさ、ね?
あ、うん。そっか。うん、頑張ってくるよ
じゃあね
…………。
あ~、やっと学校が終わった
あ、お~い!!
ん?
えへへ、待ってたよ!
待ってたって……この寒い中、校門前で?
うん。何時に終わるか聞きそびれちゃったから、お昼頃から待ってたんだ。くちゅ……
くしゃみ、大丈夫か?
うん。ほら、帰ろう?
その前にほら、手貸せよ
え?
冷え切って寒いだろうから、手を繋げば、少しは暖かくなるかなって
……うん♪
――数週間後――
ふあ、今日ももうこんな時間か
うん。二人で居ると、時間の流れが速いね
明日のクリスマスデート、楽しみだな
うん。そうだね
プレゼント、期待してて良いぞ
うん……。ねぇ?
うん? なんだ?
神様って、居ると思う?
何だよ、急に
うん、ちょっとね
そりゃ、いるんじゃないか? こんな素敵なプレゼントをくれたんだし
そっか。うん、ありがとう。じゃあ、神様って本当に優しいのかな?
優しいんじゃないのか? 神様ってくらいだし
うん。でもね、神様っていうのは、傍観主義者なんじゃないかなって。出来るだけ、関わろうとしないで見ているだけ
だから、いつでも救ってくれるわけじゃない。希望を与えるのだって、その希望が失われた時の絶望が見たいだけかもしれない
もう、いいよ。そんな話はさ。居ようが居まいが、どっちでもいいよ。それでも、俺達は関係なく生きていくんだし
……うん、そうだね。ねぇ、キス……しない?
……や、それは……。ほら、明日のクリスマスプレゼントに取っておくよ
そっか……。うん、明日は楽しみにしててね!
あぁ。じゃあ、今日はもう寝るか
うん、お休み
お休み
…………。
ふわぁぁぁぁ。よく寝た
……って、こんな時間!? ちょっと、なんで起してくれなかったんだよ!!
あれ、おい。どこに行ったんだ。……あれ、これは……手紙?
大好きなあなたへ
今日はちゃんと起きれた? 私が居なくても、朝はちゃんと起きないとダメだよ。
今日のデートね、本当に楽しみにしてたんだ。楽しみで、ずっと、楽しみで、一日中あなたと居られる事を想像するだけで嬉しくなってたんだよ?
あなたは分かってなかったみたいだけどさ。
お弁当を作って、寝ぼすけなあなたを起して、ご飯を食べて、手を繋いで出かけるの。
何処か遠くには行けなくても、あなたが近くにいるだけで幸せになれる。そんな事をずっと考えてたんだ。
でも、ごめんね。本当は無理なのに、デートの約束なんてしちゃって。
最初に言った通りにね、私はお試しなんだ。
いつかあなたに出来る彼女との日常のお試し。代用品なんだよ。だから、お試し期間が終わったから、帰らないといけないの。
神様は居るかも知れないけど、優しくないんだ。
あなたみたいに、優しくは無いんだよ。
今日あなたにあげるはずだったプレゼント、あなたが寝てる間に勝手にあげちゃった。ごめんね。
わたしからも、サンタさんにプレゼントを頼んでおくね。
どうか、早くあなたに優しくて可愛い彼女が出来ますように。私の事なんて忘れちゃうくらいの、素敵な彼女が出来ますように。
短い間だったけど私、ちゃんと彼女出来てたかな?
私は楽しかったよ。
それじゃあね、元気でね。
遠くであなたの幸せを願う彼女より
なんだよ、これ……冗談なんだよな。なぁ、隠れてないで出てこいよ。嘘だって言ってくれよ!!
俺はお前が居てくれればそれでいいんだよ……
他のプレゼントなんか要らないんだよ……お前と学校に行って、ずっと側に居てくれて、それで……それが幸せだったんだよ!!
お試しなんかじゃなくて、お前が良いんだよ……!!
――それから数ヶ月――
いや、彼女がさ~……
ほら、席に着け
今日は転校生を紹介する。まぁ、三学期しかなくて短い付き合いになるかも知れないが、仲良くしてやれ。ほら、入ってきなさい
はい
三学期からって、中途半端だな。何、問題児とか?
あ……
えへへ、お願い叶っちゃったね。これからは、一緒に学校に通えるね!
おしまい