“スパイシー・タンドリメン [2]”

~タンドリメンの自宅~

そういえば、まだ名を名乗ってなかったな。

俺の名前はチキン・ガブリエルだ。 もちろん偽名だ。チキンと呼んでくれ。

は、はぁ・・・

かつて俺は、とある大企業の社長だった・・・

ほら、あのチョメチョメな芸能人がほにゃららしてる例のCMでおなじみの会社だ・・・

なるほどな。全くわからん。

まあ、とにかく俺は若きエリート社長としてウハウハな生活を送っていたわけなんだが・・・

ちょうど二日前、俺に三つの不幸な出来事が訪れたんだ・・・!!

まずはじめに、俺がちょっとコンビニに行ってる間に、ガス爆発で俺の会社のビルが爆発四散して・・・

次に俺の全資産が、会社内に潜んでいた一人の企業スパイに盗まれて・・・

え? なぜ盗まれてしまったんだ?

そのスパイは俺の愛人で・・・ついうっかり・・・銀行口座の暗証番号とか・・・いろいろ・・・

(馬鹿だろこいつ)

ダイナマイトボディな、超絶俺好みの女性だったんだ・・・まさか、根こそぎ盗られるとは・・・

そしてさらにさらに、俺の住む豪邸が・・・

突然爆発して・・・

わ、わかったわかった。仕方ないよな。物が爆発することはよくあることだ。

あ、ちなみにさっき言った「ダイナマイトボディ」っていうのは、「ガス爆発」と「突然爆発」をかけた、

高度な三重のギャグだ。

どうでもいい

で、そんな訳で今の俺は何も持っていない。金も名誉も住処もない・・・おらそんな男さ

だから、シャンプーが欲しい。

なんでだよッ!! なんでそうなるんだッ!!!!!

・・・金とか会社のこととか、今の俺には色々と取り戻さないといけない物が多すぎる。

それら全てを、一度に手に入れようとするのは、あまりにも無謀で不可能な行為だ。そうだろう?

だからまずは、身近で容易に手に入り、必要不可欠な物から手に入れようと思った訳だ。

・・・チキンさんよ。

残念だが・・・ここにシャンプーはないぞ。ここは風呂なしトイレなしキッチンなしの、低俗物件だ。

シャンプーなんていう高級な嗜好品など存在しない・・・

何だと!? 庶民はシャンプーを簡単に得ることが出来ないだと・・・?

そうなのさ。

かつては、裕福な生活を送っていたチキンさんには分からないだろうが・・・

俺たち庶民にとってシャンプーは、

金銀財宝が詰まった宝箱より遥かに価値が高い、至高の存在なんだ。

至高の・・・存在。

それにそもそも俺たちは、毎日風呂に入るなんてことはしない。月に数回だ。毎日入浴なんて贅沢すぎる行為なのさ。

そうか・・・知らなかった。近代技術が発達しても、人々の暮らしは「ひもじい」ままなのか・・・

そうだ。だからだ・・・チキンさん。

あんたのその依頼は、非常に困難で危険を伴う依頼なんだ・・・わかるだろう?

ああ、わかるさ・・・貴重なブツなんだろう?

もちろんだ。当然、それを狙うのは命がけの行為と言える・・・

だが、あんたは優秀なフリーエージェントだ。

・・・。

どんなに困難で危険を伴う依頼でも、命を落とすことなく完遂する恐るべき男・・・

それが「タンドリメン」。

そのお前が、この依頼を断るなんてことはないだろう?

・・・その通りだ。どんな依頼でも俺は引き受ける。そして、必ず完遂させる。

その依頼、引き受けたぜ・・・

だが、チキンさん。その代り報酬は・・・わかっているか?

おうよ。一緒にシャンプーを味わい、楽しもうじゃないか・・・

イエスイエス!!

To Be Continued...

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Posted at 2013/09/09 11:34 Viewed 3 times

From Author

この物語はフィクションです。この世界でのシャンプーはダイヤの原石並みに価値が高いです。狂ってます。

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