~タンドリメンの自宅~
そういえば、まだ名を名乗ってなかったな。
俺の名前はチキン・ガブリエルだ。 もちろん偽名だ。チキンと呼んでくれ。
は、はぁ・・・
かつて俺は、とある大企業の社長だった・・・
ほら、あのチョメチョメな芸能人がほにゃららしてる例のCMでおなじみの会社だ・・・
なるほどな。全くわからん。
まあ、とにかく俺は若きエリート社長としてウハウハな生活を送っていたわけなんだが・・・
ちょうど二日前、俺に三つの不幸な出来事が訪れたんだ・・・!!
まずはじめに、俺がちょっとコンビニに行ってる間に、ガス爆発で俺の会社のビルが爆発四散して・・・
次に俺の全資産が、会社内に潜んでいた一人の企業スパイに盗まれて・・・
え? なぜ盗まれてしまったんだ?
そのスパイは俺の愛人で・・・ついうっかり・・・銀行口座の暗証番号とか・・・いろいろ・・・
(馬鹿だろこいつ)
ダイナマイトボディな、超絶俺好みの女性だったんだ・・・まさか、根こそぎ盗られるとは・・・
そしてさらにさらに、俺の住む豪邸が・・・
突然爆発して・・・
わ、わかったわかった。仕方ないよな。物が爆発することはよくあることだ。
あ、ちなみにさっき言った「ダイナマイトボディ」っていうのは、「ガス爆発」と「突然爆発」をかけた、
高度な三重のギャグだ。
どうでもいい
で、そんな訳で今の俺は何も持っていない。金も名誉も住処もない・・・おらそんな男さ
だから、シャンプーが欲しい。
なんでだよッ!! なんでそうなるんだッ!!!!!
・・・金とか会社のこととか、今の俺には色々と取り戻さないといけない物が多すぎる。
それら全てを、一度に手に入れようとするのは、あまりにも無謀で不可能な行為だ。そうだろう?
だからまずは、身近で容易に手に入り、必要不可欠な物から手に入れようと思った訳だ。
・・・チキンさんよ。
残念だが・・・ここにシャンプーはないぞ。ここは風呂なしトイレなしキッチンなしの、低俗物件だ。
シャンプーなんていう高級な嗜好品など存在しない・・・
何だと!? 庶民はシャンプーを簡単に得ることが出来ないだと・・・?
そうなのさ。
かつては、裕福な生活を送っていたチキンさんには分からないだろうが・・・
俺たち庶民にとってシャンプーは、
金銀財宝が詰まった宝箱より遥かに価値が高い、至高の存在なんだ。
至高の・・・存在。
それにそもそも俺たちは、毎日風呂に入るなんてことはしない。月に数回だ。毎日入浴なんて贅沢すぎる行為なのさ。
そうか・・・知らなかった。近代技術が発達しても、人々の暮らしは「ひもじい」ままなのか・・・
そうだ。だからだ・・・チキンさん。
あんたのその依頼は、非常に困難で危険を伴う依頼なんだ・・・わかるだろう?
ああ、わかるさ・・・貴重なブツなんだろう?
もちろんだ。当然、それを狙うのは命がけの行為と言える・・・
だが、あんたは優秀なフリーエージェントだ。
・・・。
どんなに困難で危険を伴う依頼でも、命を落とすことなく完遂する恐るべき男・・・
それが「タンドリメン」。
そのお前が、この依頼を断るなんてことはないだろう?
・・・その通りだ。どんな依頼でも俺は引き受ける。そして、必ず完遂させる。
その依頼、引き受けたぜ・・・
だが、チキンさん。その代り報酬は・・・わかっているか?
おうよ。一緒にシャンプーを味わい、楽しもうじゃないか・・・
イエスイエス!!
To Be Continued...