こんにちは、ちゅうがく先輩! 文芸部編集科、担当のコハ子です。原稿取りに来ました!
いかにも私は文芸部作家科、先輩のちゅうがく。原稿は出来ておるぞ
ありがとうございます!どれどれ…
あれ…
ちょっとちゅうがく先輩! これ、この前もらったプロットと全然ちがうじゃないですか!
あの超展開プロットを編集会議で説明するの、大変だったんですよ!
それなのに、のっけから違う展開になってるし…
まあまあ。
感想は最後まで読んでから。それが編集科の不文律であろう?
ま、まあそれはそうですけど……
(どれどれ……)
(……ふむふむ……ふむ?)
……!
気がついたかの? プロットより、おもしろくなっておろう?
は、はい……!
あの読んだだけでめまい・頭痛・さむけ・生理でもないのに生理痛その他諸々の苦痛に苛まれたほどクソつまらなかったプロットよりは、
マシに…!
あぁん?
い、いえ。良くなってます!
なんといいますか、さすがです。作家科の先輩の底力を見た気がしました
そうであろうそうであろう
作家は作品を書いてる途中にも、いろいろと新しいナイスアイデアを思いつくのだ
それによりプロットとズレたからといって、むやみに怒ってはならぬ
面白くなっていれば、それで全てよし。それが我らラベ女(私立ラノベ女学院)生徒のルールだぞ
おっしゃる通りです……!やっぱり、ちゅうがく先輩はいつも正しい……!そこにシビれる、あこがれる!
でもボツです!
……!
プロットよりいくらかマシになった事は認めましょう。でも、それは0点が30点になったレベル!
目指せ100点!かきなおし!
はい……
編集科はたとえ後輩でも、作家科の生徒に命令できるのです! 面白い作品を、読者科の皆さんにお届けするために!
心得てますよね!?
はい……
(ゾクゾクッ)
…………
(ちゅうがく先輩……私、知ってますよ)
(私も編集科の端くれですもん。原稿を読んだら、ちゃんと分かりました)
(さっき、涼しい顔をして渡してくれたけど……先輩はこれ、一生懸命に書いたんですね、たぶん徹夜で)
(だからこの原稿、ずいぶん良くなってました。ホントは60点ぐらいです。ファイト!)
(あと、知ってますよ)
(後輩の女子に叱られれば叱られるほど喜んで、作家力を倍増させる、その奇特な体質のことも…)
(先輩が100点の原稿を上げてくるの、いつも私にこう言われてからなんだもんなあ)
……先輩?
気持ち良さそうにするのも……じゃない、落ち込むのも、そのぐらいにしてください
ん、あ。
ああ。さっそく改稿に取りかかるぞ!
………くすっ
私はコハ子の頼れる先輩だからな!
では明日の放課後、ここで待ってます!
ぬおおおお待ってろよ!おぬしら編集科みんなが座りしょんべん漏らしてバカになっちゃうぐらい面白い原稿にしてみせようぞ!
そ、そこまで面白くなくても……