昨日映画見に行ってきたんだけどさぁ。一人で。
サラっと悲しいこと言うなぁ……。なんて返せばいいのよ……。
でね、それ昨日公開の映画でさ、超満員だったの。
ふんふん。
どうしても観たい映画だったから気合で一番見やすい中央の席を取ったの!一人で。
だからその語尾反応に困るって……。どうしてほしいのよ……。
……それで、映画はどうだったの?
それがね、あんまし覚えてないの……。
え?
ああいう時って、不思議とトイレが近くなっちゃうじゃない?
あぁ、なるほど……トイレを我慢することに集中しすぎちゃったんだ。
そうなのぉ。ど真ん中の席だから出るに出れなくて……。
もう後半なんて「んな茶番はいいからさっさと終われよ」って思っちゃってたなぁ……。
け、結構口悪いね……。
そこであたしは考えたの。映画を見てる最中にトイレに簡単に行くにはどうすればいいか。
うん。
まず映画館にトイレが近い人のための専用シアターを設置するの。
思い切ったことするね……。
それはもちろん個人のプライベートな問題だから全室個室!
トイレに行きたくなったら一時停止で止められるし! ねえどうこれ! すごくない!?
……いや、うん。なんていうか……家で見ろって感じかな。
この会話がきっかけで十年後、映画館業界に革命が起きるとは誰も予想していなかった――。
ねえよ。変なモノローグ入れるなよ。