皆さんは、『からあげくん』という都市伝説をご存知だろうか?
数年前、コンビニに『からあげくん』を買いに来た姉弟がいました。
やっと『からあげくん』を買える歳になったよ!
早く食べたいなぁ!
楽しみー!
ニァッジュースニナシャース(210円になります)
釣りはいらねーよ(キリッ
210円払ったんだから、お釣りなんて来ないよお姉ちゃん。
アリッ アリッ(ありがとうございましたー)
お姉ちゃん、僕もう待ちきれないよー!
ダーメ! 先にお姉ちゃんが食べるのー。
えー、早く食べたいよー。
お姉ちゃんのお金で買ったんだから、弟は我慢しなさい。
じゃあ、人生初の『からあげくん』!
いただきます!!
モギュ… モギュ…
ど…、どんな味がするの?
……ッ!
何これ~~!? すっごく美味しい!
初めてだよぉ、こんな美味しいもの食べたの。
そんなに美味しいの?! 僕にも一口ッ!
まだダメよ☆ もう1コお姉ちゃんが食べるの。
5コあるんだから、弟には2コ食べさせてあげるわ。
うん。
2コ目~~。
モギュ… モギュ…
口の中でとろける~ゥ。
こんな美味しい食べ物にありつけるなんて、生きてて良かったァ~!
お姉ちゃん、僕もそろそろ…
モギュ… モギュ…
はぁ… 幸せ…❤
あッ!
うぅ…
どうしたの、お姉ちゃん。
姉は無言で、からあげくんのカップを弟に渡す。
さぁ、お姉ちゃん絶賛の『からあげくん』とご対面…
……。
お姉ちゃん。
からあげくんが一つもないんだけど。
ごめんね、弟。
さっき3コ目と見せかけて、3ついっぺんに食べちゃった…。
……グズッ。ひどいや、お姉ちゃん。
凄く楽しみにしてたのに…。
ま…、また買ってあげるからさッ! そんな落ち込まないで!
僕は今食べたいのッ!!
さっきのコンビニで『からあげくん』買ってくるから、身分証貸してよ!
弟は姉の財布から免許証を抜き取ると、コンビニへと走っていった。
お姉ちゃんの豚ーー!!
弟が一人でコンビニにッ!?
こんな真夜中に一人コンビニだなんて、危なすぎる!!
弟ーーッ!!
弟は、コンビニに向かう途中の横断歩道で、車にはねられ亡くなった。
あの時、弟に『からあげくん』を恵んであげれば、こんなことには…。
姉は、弟を追うように投身自殺を図った。
事故現場には、今でも『からあげくん』の盛り合わせが供えられている。
ホットスナックが恋しくなるこの季節。
夜道で、『からあげくん』を買い食いする際は、気をつけていただきたい。
どこからともなく、女のすすり泣く声が聞こえ、…そしてこう囁かれるだろう。
カラアゲクン… ヒトツ… ドウゾ…。