時は現代、とあるところ。
住人の全てが女性で占められている、完全女性寮があったそうな。
敷地内には、一切の男子を踏み込ませない、禁忌の絶対聖域。
だが、そんなこの寮もある年、男性を迎えることになった。
乙女の楽園に男子1人。 ここに、世にも羨ましき「ハーレム荘」が誕生した。
・・・・・・。
すぅ・・・(息を吸い込む音)
ついにきたぜ、俺のハーレム!
やべぇよ!ハーレム荘!余すところなく女子のあまずっぱい香りしかしない!
よーしっ、ここにいる全ての女子を、俺のとりこにしてやるぜ!!
ハーレム王に、俺はな─────
いやぁ。まさかこの歳にもなって、こんなイイ思いができる場所があったなんてなぁ。
長生きはしてみるもんだな。
・・・・・・。
おっさん、誰だよ!?
あっ、もしかして管理人さんですか?
この平凡な俺めに、こんな素敵なお部屋を提供してくれて、感謝です!
・・・・・・。
・・・・・・お前こそ、誰だ?
ここは、私の部屋だ。
決して管理人ではない。
はぁ?だって、この「206号室」は俺の部屋なんだぜ?
なにをふざけだことを・・・・・・?この「206号室」こそ、私の部屋だ。
アホか!あんたみたいなおっさんが、この部屋の住人・・・ましてやこのハーレム寮に住めること自体ありえねーよ!
ほら、契約書だってあるんだぜ? (ぴらっ)
わたしだって、ホラここに。 (ぴらっ)
2人「・・・・・・。」
・・・・・・つまり何か?俺はこの部屋で、おっさんと衣食住を共にしなければならんということか?
ふざけんな!誰が悲しくておっさんの寝起きや風呂上りの姿なんて見なくちゃならないんだ!
わたしだって、ケツの青いガキの子守りをするような義理は持ち合わせておらんわ。
2人「・・・・・・。」
ガチャッ(玄関の開く音)
ふぅ。ついたついた。
ここが噂の「206号室」だね。
やっぱり、女子寮だけあって、部屋もキレイだなぁ。
・・・・・・?
・・・・・・。
・・・・・・。
おい、おっさん・・・・・・。
あぁ、これが長年夢にまで見た念願の・・・・・・。
2人「おんなのこかぁ」
いやぁ、初めて見たよ・・・・・・ホントにいたんだなぁ、女という名の生き物・・・・・・。
てっきり都市伝説だとばかり思っていたぜ・・・・・・。
・・・・・・あの、すみません。
ここって、「206号室」ですよね?
それ以前に、ここって女子寮ですよね?
ここは、僕の部屋だと伺っていたんですけれども・・・・・・。
この僕より先に、何故あなたがた男性が先に部屋に出入りしているんですか?
2人「・・・・・・。」
2人「ボクっ子キターーー!!」
お前、知らないのか?今日からこのハーレム荘は、男子の入寮を許可されたんだぜ?
まぁ、たった1部屋だけどな。
それゆえに、この部屋に住む価値がある!
2人「ハーレム荘、ばんざーい!!」
・・・そんなことはとっくに知ってますよ。
だから、新生活のために、はるばる遠いところからここへ越してきたんじゃないですか。
もう誰なんですか、あなたたちは? 早く出てってくださいよ!
出て行けって言われても・・・・・・この部屋が俺の部屋なんだけどなぁ?
なにを抜かす小僧。ここは元来わたしの部屋なのだ。子供は大好きなママンのところへ帰るのだ。
しかし、彼女だけはここに留まることを許可しよう。
もしもし警察ですか?たった今袴を着た男がいたいけな少女を部屋に連れ込んで良からぬことをしようとしてます!
貴様!通報はズルいぞ!おじさんも合法的に美少女たちとキャッキャウフフできる唯一の楽園を見つけたというのに!
その歳で刑務所暮らしは辛かろう・・・?
恵まれないこのおっさんめにどうかご慈悲を!!どうかその携帯さまをお納めに・・・・・・!
・・・・・・あのー、お取り込み中すいませんけど。
お二人とも、なにか勘違いをしているようなので、言っておきますね。
僕は、れっきとした「男」ですよ?
2人「・・・・・・。」
2人「な、ななななんだってー!!」
ごめんなさい!騙すつもりは毛頭なかったのですが。
僕こうゆう容姿なので、しょっちゅう女の子に間違われるんです。
そのせいで、周囲から浮いた存在になっちゃってしまって・・・・・・。
でも、ここでなら周りは女子ばかりだし、こんな自分でも自然に溶け込むことができるかなって思って。
そんな深い事情があったとは・・・・・・。
それに比べて俺たちといえば、なんて浅はかな考えでこの部屋に住むだなんて・・・・・・恥ずかしいなァ。
私を一緒に含めるなケダモノめが!
私は、この部屋に住みたいがために、実家に女房と子供を置いてくる犠牲を払うだけの覚悟があるのだ!
最低・・・・・・最低だこのオヤジ! King of the 最低ポルノ野郎だ!
えっと、結局僕たちって、同じ部屋に3人で住むことになるんでしょうか?
・・・・・・。
まぁ、いいんじゃね?別に同居人がいようが、ここがハーレムには変わりがなくて。
貴様も歓迎しよう。わがハーレムの一員に!
おっさん・・・・・・それじゃ意味変わっちゃうから。
カワイイは正義!
えっと、それじゃぁ・・・・・・。
こちらこそ、よろしくお願いしますね!
こうして、女子寮の一部屋を舞台に、男3人同士の、奇妙な同居生活が始まった・・・・・・。