前回のあらすじなのじゃ!
好いた女の前で失態をおかし、嫌われてしもうた主人公。
生き恥を晒す前にいっそ……と入水しようとした所を、我らが夜狐稲荷権現・ヤコに止められる。
生きててサーセン、生まれてきてサーセン!
何を申す!わしが広い心と無償の愛で貴様を助けてやろうぞ!
ヤコの力で過去に戻った主人公は失敗を挽回し、好いた女と幸せになったのであった。
めでたし、めでたし――
……じゃねーよ! 全然めでたくねーんだよ、ヤコ!
なんじゃ貴様。よもや失敗したのではあるまいな?
お、俺のせいじゃねーよ!あの森崎って女が泣くから、優梨が同情して……
……ヤコ。もう一回、時間を戻してくれねーかな?
あーあ、腹が減ったのう……
なっ!?まだ食い足りねーのかよ!
この部屋には、双六も貝合わせの蛤もない。わしは退屈で死ぬかもしれぬ。死ねば妖力は使えぬのう……
……食いものと、暇つぶしの道具があれば、時間を戻してくれるんだな?
ほらよ、俺の秘蔵のポテチとクッキー。あとタブレット型のパソコン、取説も置いとくから読んで使えよ。
うむ、大儀である!
いいかげんにしろよ、ヤコ。カツアゲしといて大儀もクソも……
カケマクモ・カシコキイナリノオオガミノオオマエニ・カシコミカシコミモマヲサク!
説教ぐらい最後まで聞けよ!
……んぱいのコトが好きです!
これからも好きでいていいですか? ダメです?ダメですか?
……えーっと。森崎、サン?
私の名前、知っていてくれたんですか! 嬉しいです!すごく、感激です!
(よし、ここまでは前回もやった!) 俺、好きな奴がいるから、あんたとはつきあえない。分かってくれるな?
どうしても、絶対ダメですか? だったらせめて……
思い出に……私と、キスしてくれませんか?
無理。ろくに知りもしない奴とキスしたくねーし……
それは……私の魅力がないって事ですか……?
な、泣くなよ!笑え、笑えって。な?
先輩がキスしてくれたら、泣きません。
私、ファーストキスは初恋の人とするって決めてたんです。本気なんです、先輩のことが好きなんです!
お願い……ほんのすこしだけ、先輩の唇を私に貸して下さい……!
しつこいな……いい加減にしろよ!
だから泣くなって!あーもー……
ガラッ!
ひゃっ!?
優梨、聞いてるんだろ。俺が断ってるのに、あいつがめちゃくちゃしつこくて――
な、何で出てくるのよ! 告白されてる最中なんでしょ?
そんなのどうだっていいんだ。俺は優梨にカン違いされたくなくて……
……「どうだっていい」?
またこのパターンかよ……
ほうほう、しかりしかり……
「たぶれっと」の、この「ほーむぼたん」を押す、と……
ドタタタタ……バタン!
ヤコ!もう一回だ。もう一回戻してくれ!
うむ、仕様のない奴だのう。
カケマクモ・カシコキイナリノオオガミノオオマエニ・カシコミカシコミモマヲサク!
ポンッ!
おお、これが「ようつべ」というものか。すごいの、こんな小さな板の上で人間が動いておる……!
ドタタタタ……バタン!
ヤコ、頼む!次こそは絶対……!
カケマクモ・カシコキイナリノオオガミノオオマエニ・カシコミカシコミモマヲサク!
ポンッ!
「石仏に封印されてた妖狐だけど何か質問ある?」と……VIPにスレッドを立てるのは緊張するのう……
むむむ、クソスレなどと煽りを入れおって……「>>7にどんな神罰を下す?安価>>50」と。
ドタタタタ……バタン!
あとちょっとなんだ!ヤコ、もう一回!
あー、カシコミカシコミモマヲサク!
ポンッ!
ほうほう、これはこれは……
ドタタタタ……バァン!
おお、帰ってきおったか。 見ろ、「織田信子の切望」なるアニメがちょー面白いぞ!
俺のいない間にバ○ダイチャンネルの契約してんじゃねーよ!
なあ、また時間を戻してくれ、ヤコ。頼む!
そうだ、今度は違う時間がいい!クソ邪魔な森崎の告白がはじまる前、今日の朝まで時間を戻してくれ!
さようか。ならば、それで仕舞いにするぞ。妖力もそろそろ減ってきたしの。
シマイって、これで終わりってコトか?次が駄目でも、時間を戻せないってコトか?
そんな事いわずにさ、優梨とうまくいくまでつきあってくれよ。また何か奢るからさ!
ヤコはスゲー力のある妖狐なんだろ?お前なら、邪魔が入らないようにできるんだろ?
ふむ、森崎という女が邪魔なのだな?連れて参れ。お前の思う通りにしてやろう。
蛙に変えてくれようか?金魚に変えてくれようか?魂を抜き、口答えのできぬ木偶にしてしまおうかの?
い、いや……そこまでするほど、あいつが悪いってわけじゃねーし……
ま、何をしても無駄じゃろうの。存外、貴様と優梨との仲の亀裂には、根深いものがあるようじゃ。
幾度繰り返そうとも、さだめであれば変えられぬからの。
さだめ?俺が優梨に嫌われるコトが、運命だっていうのかよ? 誰がそんなコト決めたんだよ!
さだめとは、己が引き寄せるもの。幾多の年月、幾重にも積み重ねた行いが、その先の道をつくるのじゃ。
……俺のせいだって言いたいのか?俺のやってきたコトのせいで、優梨に嫌われるっていうのか?
さての。どうするのじゃ?告白された時に戻るか?それより前が良いのか?
それとも、生まれる前まで遡り、まっさらなところから人生をやり直してみるか?
………………クソッ!
俺は決めたぞ。 ヤコ、時間を戻してくれ。お前の力を借りるのは、これが最後だ!
俺が悪いなら、どこまで戻ったってムダだろ?なら先に進むしかねーよな!
優梨を怒らせた最初のところ。俺とヤコが会った、あの時に戻してくれ!
承知!
ポンッ!
……びっくりしました。連絡があるなんて、思いませんでした。
あ、ああ。メアドもらったからさ…… あんたに話をしなきゃと思って。
なんつっていいのか分かんねーけど……俺の事、好きになってくれてありがとう。
……え?
俺はあんたとはつきあえない。俺には好きな奴がいるんだ。
……それ、さっきも聞きました。
わ、悪い!あんたを傷つけたいわけじゃなくて、逆で――
さっき告白してくれた時、俺スゲー不誠実だったから、あんたに謝んなきゃって思ったんだ。
それ以外にも、うまくいかない事があって……それをあんたのせいにしてた。スマン。
そのために……わざわざもう一回振るために呼び出したんですか?
迷惑だったよな?本当、ごめん!何なら、俺を殴ってくれていいから!
……先輩って、ミョーなところでお人よしですよね。フッた女の事なんて、気にしてくれなくていいのに!
「うまくいかない事」って、優梨さんとの事ですよね?
は?何で知ってんの?
私、先輩が優梨さんの事を好きなの、知ってました!だから邪魔してやろうって思いました!
へ?
私が告白するところに、優梨さんを呼んだんです!不安だから、付き添ってほしいってお願いして!
優梨さんは優しいから、私が振られた後に先輩とつきあったりしないだろうと思って!
その隙に私がつけこむ計画でした!
……それ、俺に話してもいいワケ?
よくないに決まってるじゃないですか!全部先輩のせいです!私、私――
私、先輩のコトがキライですから! 先輩なんか、勝手に幸せになればいいじゃないですか!
バタバタバタ……
……そっか。サンキュ!
うるさいです!だいっきらい!
バタバタバタ……
……さて、俺も覚悟決めっか! ケータイ、ケータイ、と。
………………もしもし? うん……さっき会って、俺がいい加減だからって謝ってさ……うん。
待て、切るなって!俺が悪かったから!……は?何で優梨が謝るんだよ?
ごめん、あんたに怒ったのは、完全にやつあたりだった。あたしに怒る権利なんかないのに……
すごく、ショックだったの……それであたし、気付いたの。
俺、優梨に言わなきゃいけないことがあるんだ。
あのね!あたしも、言わなきゃいけないことがあるの!
俺、入学式のときから、優梨のコト――
あたし、初めてあった時から、あなたのこと――
うまく言えないんだけど――
恥ずかしくて、言葉にできなくて――
顔を見てると、それだけでいい気がして――
でも伝えたくて――
「ずっと………………」
END
END?
……イアク、サイアク、サイアク、サイアク、サイアク、サイアク、サイ
ベコッ!
痛っ!なんでこんなところにポリバケツ?もう、ポリバケツでいいから、私の話を聞いて!
……私、中学の時から好きな先輩がいたの。その人の事を追いかけて同じ高校に行ったの。
でも先輩には好きな人がいて……私、その人との仲を邪魔しようと思って、いじわるしたの……
こんなことなら告白なんてしなきゃ良かった。余計なことしなきゃよかった、言わなきゃよかった……!
ベコッ!
きゃ!ポリバケツの中から女の子が……!?
あの忌々しいポリバケツに落下して数時間――わしの封印を解いたのは貴様か?
LOOP?