開始早々悪いがちょこっと状況を整理してみようと思う。
はい……?
お前がこの稲荷神社に祭られている稲荷神で……
そうですよわたし、かみさまなんですよ!!
(うわぁ、バカっぽい……)
それで、俺は普通は見えるはずのないお前のことが見えていると……
そうです! そうなんですっ!! ふしぎですよねっ!!
でっ、見えるついでにお前が最近稲荷神として成人したお前を妻取れと?
じゃすとどぅーいっと!!
……新手の宗教乙!!
あっ、どこいくんですか~!? ちゅまをおいていくきですか~!!
いや、無理、つか信じられるわけないだろっ!! つか俺まだ学生だし、親のすねバリバリかじりまくってるし!!
えっと……もーまんたい?
(ダメだ、こいつまったく状況を理解してねぇ)
だいたいな……初対面でいきなり結婚とかないだろ普通……
(しょたいめんじゃないのに……)
いや、拗ねても駄目だから……つか周りからお前見えないんじゃ俺空気に向かってこれ俺の嫁とか言ってる痛い人じゃん
それのなにがもんだいで?
……15+30は?
えっと…………たくさん?
(あっ、やっぱり頭の回転が追いついてないな……)
と、とにかく、他を当たってくれ 俺はもう帰る
あっ、はい わかりました……かえるんですね?
なんか妙に物分かりがいいな……まぁ、わかってくれたならそれでいいや
それじゃ、達者で暮らせよ?
???
よしっ、後ろ確認よし、前確認よし、あいつの気配ゼロ……
ただいま~!!
……を……しく……がいし……ね…… い……え…ちらこ……かあ…ま……
なんだ? お客でも来ているのか?
母さんただい……ま…
あっ、おかえり、おそかったわね
あっ、おかえりなさ~い!!!!
なっ、なっなっ!! なんでお前がここにっ!?
お前……自分の妻になんてことを……結婚する前からもう倦怠期?
なぜか親公認っ!?
だいたい、狐娘ちゃんはお前の許嫁だろうに……
(くっ、さすがは神さま……ゴッドパワーか何かで母さんの記憶を書き変えたに違いない……)
おい狐娘っ!! でいいのか? まぁいいや……ちょっと俺の部屋に来いっ!!
さっそく、こづくり? こづくりするんですか!?
あぁ~もうめんどくせ~、それでいいから早く来いっ!!
い~や~おかされる~♪
絶対そんな楽しそうな被害者いないだろうな……
それじゃ、いきましょう♪
おいこらっ! 押すなっ!!
……いったかな……? はぁ、あの子は狐娘ちゃんのことすっかり忘れてるね……まぁ無理もないか……
しんぷるいずべすとっ!!!
意味不明なことをぬかしながら服を脱ごうとするなっ!!
めっさ「なんだよこいつ乗り悪いな……」的な顔されましたよ……こいつに……
でっ、なんでお前はここにいる? 他を当たれって言ったよな?
えっ? ダメだったの? 的な顔すんなやっ!! ダメに決まってるだろっ!!
でも、わ、わたし……
はぁ、お願いだからその顔はよしてくれないか……地味に良心が痛む……
めいわく……でした? わたしがちゅまじゃだめ……ですか?
あぁ、もう……わかったよっ ただし、俺がお前のことを本気で好きになったらの話だからなっ!?
はいっ!!
「ドキッ!」(はっ? まてよ俺、こいつはあれだぞいきなり結婚しようとか言ってくる常識知らずだぞ、なにときめいてるんだ?)
(でも……正直……か、かわいいよな……ていうか、この笑顔は反則だろ!?)
それじゃ、さっそくこづくりしましょう!!
前言撤回、やっぱりお前出ていけっ!!
こづくりだめですか?
ダメに決まってるだろっ!!
えっ、すきなあいてをめろめろにするにはこづくりがいちばんだって……じんじゃにおちてたほんに……
いやいやいや、いろいろ過程すっ飛ばしてるから、普通は結婚してから子作りするもんなのっ!!
しょうげきてきしんじじつっ!!
(はぁ、この先やっていけるのか……俺?)
こうして、俺と狐娘の半一方通行な恋愛?が始まった……のか?