紫が幻想戯作を始めてから一週間が経った。
じゃあ、授業終了です。 学級委員長。号令を。
起立。礼。
ありがとうございました。
ふぅ。やっと、授業終わったぁ!
先週も同じ言葉を聞いたわ。
最後の授業覚えている?
数学でしょ♪
………………
そうね。
えへへ♪
アナタが、午前中まで頑張って起きていいることは分かったわ。
そう?
さて、私は帰って勉強しなきゃ。
………………
何よ?
一緒にいたくないの?
私は一緒にいたいよ。
紫ちゃんは、私といるのイヤ?
そんなことないわよ。
アカネといるといつも楽しいわ。
えへへ、じゃあ、また一緒に行こう♪
い、一緒に?
どこに行くつもりよ!
へへへ、カードショップ 「ミナセ」に!
店長ーッ!? どこにいるッスか!?
………………
いないよ~ 店長はいないよ~
いるじゃないッスか!
業者からモノが届いてますよ!
え~後にしてよ。
私、眠いんだから。
さっきまで寝てたッスよね!
さっきはさっき。今は今。
ほら、じっとしてたら瞼がゆっくりとぉ……
………………
起きるッス!!
ッ!?
………………
……ぐぅ~
寝るな!!
はいはい、起きますよ。
ちゃんと仕事してくださいよ!
桃ちゃんも、コスプレばかりしてないで、店の制服着てよね。
それはそれ。これはこれッス。
店長が着てもいいって言ったッスよ。
ああ、少しくらいならね。
まさか、毎日だとは思ってなかったよ。
桃ちゃん、可愛い!!!
えへへ♪
まぁ、お客さん入っているからいいかぁ~
じゃあ、ちょっと入ってきたもの見てくるね。
いってらっしゃ~い♪
カランコロン……
お帰りなさいませ! ご主人様!
………………
なんだ、メスかよ。
アカネ、誰この人?
バイトの「桃ちゃん」さんだよ。
「桃」さん?
違う違う。「桃ちゃん」さん。
………………
うん、もういい。
この店、本当にまともにやっていけてるの?
失礼なこと言う客ッスね。
失礼なこというバイトよね。
キーッ! むかつく!?
あら、嬉しい。
あんた、性格悪いって言われないッスか!
褒めてるの?
貶しているッスよ!
桃ちゃん、可愛い!!
えへへ♪ ありがとう♪
関わりたくないタイプだわ。
アカネ、今日もやるの?
うん、今日も幻想戯作やろう!
!?
幻想戯作!!!
おい! そこの性悪女!
………………
それにしても、アカネ。
どうせ対戦するならここじゃなくてもいいのに。
ちょっと、何で無視するッスか!
………………
そこのロングの黒髪!
何よ。
アナタも幻想戯作をやるのよね!
私と勝負するッス!
アナタ仕事中でしょ。
にゃんと!?
んー……
おーい、グレイ~
きゅ?
私が対戦している間、働いて。
きゅ!?
ちょ、なんで、僕が……
いいから。やるッスよ。
は、はい。
これで、問題なし!
問題なし!
じゃないわよ! アナタ、バカなの!
いや、バカね。
ふふふ、そんなこと言っていられるのも今の内ッスよ。
ギッタンギッタンにしてやるッスからね。
えっ、なに、私とやること決まってるの!?
わー、今度は桃ちゃんさんと対戦ですか。
桃ちゃんさんも強いよ~
桃ちゃんと紫ちゃんの対戦か。
これは見物だね。
私のデッキは炎デッキ!
私を中心として、群を統率するッス!
自分のデッキの紹介ってするものなの?
いや、しなくてもいいよ。
じゃあ、言わない。
私が先攻ね。
そこは、公平にじゃんけんとかダイスで決めるところッスよ!
どっちでもいいでしょ。
どうせ、私が勝つんだから。
なにおー!!
じゃんけん中………
はい、じゃあ、私が先攻ね。
ムキー!!!
「金に宿る岩妖精」を配置して、ターン終了。
じゃあ、私のターンッス。
「傷ついた片翼の天使」と……
「盾を構える天使」を配置。
そして、「傷ついた片翼の天使」で攻撃意思を示すッス。
才気持ちね。
「金に宿る岩妖精」を守備意思を示すわ。
相打ちね。
相打ちッスね。
これで、桃ちゃんのターン終了ッス。
私のターンね。
「小賢しいバルグ・ベン」と「呪われデュラハンのキリリコ」を配置。
「情報の乖離」があって、呼び出したすぐ後は攻撃できないので、私のターンは終了。
うーん、炎属性と金属性か。
相性的にはどっちが有利なの?
これは金属性が圧倒的に有利だね。
ベン一家……
「小賢しいバルグ・ベン」と「狡賢いベルナ・ベン」には、相手の種族を変えるスキルを持っているんだ。
炎属性は天使の集団。
天使は、天使限定だが仲間の力を上げられるスキルを持っている。
ベン一家が種族を変えてしまうと、折角スキルでパワーアップしたのに意味がないということ?
うん。そうだね。
ただ、逆に言うと、そこを対処してしまえば、怖くはない。
なんたって、カードが出そろえば、最高の攻撃力と体力を誇る炎属性だ。
金属性は攻撃力も体力も低いから、軍団を揃えられてしまうと、歯が立たなくなっちゃうからね。
なるほど~
じゃあ、ゲームはベン一家がどうなるかってところに注目なんだね!
そうだね。
私のターンッス。
「リランドウの番人」を配置ッス。
で、攻撃しなくてターン終了ッス。
じゃあ、私のターン。
(ここは呼び出さないでコストを貯めましょう)
「呪われデュラハンのキリリコ」で攻撃意思を示すわ。
なんで、「小賢しいバルグ・ベン」は攻撃に参加しなかったの?
もし、この状態で「リランドウの番人」が守備意思を示すとどうなる?
お互いが攻撃力20で体力20だから……
相打ちだね。
うん。
そこで、「盾を構える天使」だ。
このカードは、同じ場にいる天使の体力を10プラスするスキルを持っている。
あっ! じゃあ、紫ちゃんが一方的に負けちゃう!
となるところなんだが!
ここで、紫ちゃんが「小賢しいバルグ・ベン」のスキルで「リランドウの天使」の種別を変えるとどうなる?
えーーと、体力が上がったけど、種別が変わるから、体力が上がったことがなかったことに……
相打ちになる?
そうだね。
だから、桃ちゃんは相打ちかライフダメージを受けるしかないんだ。
(もっとも、桃がライフダメージを受けるのは、仕方がなくではないんだが……)
ライフダメージにするッス。
当然よね。
本性現したッスね!
これで、私のターンは終了!
桃ちゃんのターンッス!
「剣を掲げる天使」を配置。
そして、シンの増長を配置ッス!
あら、攻めないの?
攻めないッスよ。
私のターンね。
「古書の魔物」を配置。
そして、さっきと同じく、「呪われデュラハンのキリリコ」で攻撃意思を示すわ。
どうするの?
守備意思を示さないっす。
じゃあ、ライフダメージね。
あら、手も足も出ないんじゃないの?
私のターンッス。
「剣を掲げる天使」を配置……
そして、もう一枚配置ッス!
最後に、「シンの貯蓄」を貼り付けて終了ッス。
弱いカードばかりね。
確かに、一枚一枚は弱いっす。
ただ、集まると怖いっすよ。
桃ちゃんのファンたちみたい!
桃ちゃん、可愛い!!
当然ッス!
(何もしてこないというより、何もできな見たいね……)
(もしくは、するとしても時間がかかりそう……)
(なら、念の為、もう一枚……)
「狡賢いベルナ・ベン」を配置。
……厄介ッスね。
当然!
「シンの回収」を使って……
「呪われデュラハンのキリリコ」と「古書の悪魔」が攻撃意思を示すわ!
さぁ、どうする?
守備しな~い♪
何もしないまま終わるつもり?
っと、その前に、エイドカードの一炊の夢ね♪
私のターンを……
何もしないまま終了ッス!
あらあら、私のターンね。
(強いカードを一枚か。中堅どころを二枚か……)
(相手が動けない今、数を展開した方がよさそうね。)
「古書の悪魔」と「嫌われデュラハンのサララコ」を配置!
「呪われデュラハンのキリリコ」と「古書の悪魔」が攻撃意思を示すわ!
守備しませ~ん。
また!?
もう、ライフが半分以上減っているじゃない!
私のターンっす。
「ネハシム・セラフィム」を配置っす
!?
そして、「デュナミスの軍隊長」を配置っす!
また、「シンの増長」を貼ってターン終了ッス。
次に炎属性の神髄を見せてあげるっす!
私のターン……
(今の天使のスキルを合わせると攻撃力プラス50……)
(全ライフが250でその内、100のダメージを与えられるの!?)
(絶対防がなきゃ……)
(でも……私にはまだベン一家がいる。)
(天使の修正を無視すれば、何とか……)
「小賢しいバルグ・ベン」をもう一枚配置して、ターン終了。
どうしたッスか? 攻撃しないッスか?
くっ……
(ネハシム・セラフィムが強すぎて手が出せない……)
さて、私のターンっす。
先ずは、「シンの回収」ッスね。
「ランス・オブ・ロンギヌス」をセラフィムにつけて攻撃意思を表示!
っと、ついでに、エイドカードの「のた打ち回る火の鼠」を使用して、「小賢しいバルグ・ベン」を一枚破壊するッス。
どうするッス?
(まだ、修正を受けていない状況。)
(ロンギヌスを装着して、攻撃力90。)
(ライフダメージは絶対ダメ!)
(ベン一家は絶対無理だから、未だしている中で一番弱いカード)
呪われデュラハンのキリリコで守備意思を示すわ。
じゃあ、一方的に破壊ね♪
残念ながら。ロンギヌスはここで破壊されちゃうのです。
でも、最後にロンギヌスの力で、誰か対象に40点のダメージが与えられるッス!
当然、ベン一家ね。
うっ……
さて、私のターンは終了。
私のターン。
(このまま、強化されたセラフィムと軍隊長が攻撃し続けたら、私は勝てない...…)
(唯一の希望はまだベン一家が一枚残っていること……)
(これが破壊されたら絶対に勝てない ……)
(ここはコストを貯めるのが正解のはず!)
ターン終了よ!
桃ちゃんのターン♪ 桃ちゃんのターン♪
「踊る火鼠」を配置!
キープ!
エイドカードの「戒厳令」を使用!
それは出させないわ!
ちぇっ
さっきまで押せ押せムードだったのに、ちょっとは金属性らしい動きになったじゃないッスか。
でも、もう遅いッス。
エイドカードの「のた打ち回る火の鼠」を使用!
場にいる最後のベン一家を破壊!
(最後の希望が……)
(破壊された……)
負けました……
えっ!?
まぁ、確かにどうしようもないか~
桃ちゃんの勝ち♪
………………
また……負けちゃった……
次回予告 紫、ゲームを止める!?
これだけやって勝てなかったら諦めるしかないよね!