テーマは『悟り』・・・。
『悟り』か・・・。
う~ん・・・。
小豆龍は十一月末に運営さんがトップページの作品を公募していることを知った。
参加しようとは全く考えてもいなかったが十二月四日の午前六時つい魔が差して新規作成のボタンを押す。
それから10分ほど、パソコンの前でテーマ『悟り』について考えているのであった。
全くのノープランな見切り発車。「あ、ひげ剃らなくちゃ」と筋肉サムライを見ながら思いだす始末。
しかしその雑多な脳裏に、とあるひらめきが降りたってきたのは、その瞬間だった!
あっ!
要項に50ページ以内って書いてあるけど、ここの文章が長すぎて続いた場合もカウントされるのかな?
至極どうでもいいひらめきは、彼の雑多な脳裏を更に散らかしてゴミ屋敷にした。
ふっ。
ちょっとモデルケースになって運営さんに怒られてみようかなあ。
はいっスタート!
そもそも「悟り」とは何か。仏教用語としての「悟り」日常生活で使う言葉としての「悟り」妖怪の名前としての「悟り」と同じ「悟り」でも意義が異なるのは言語学の観点では基本中の基本でありどのような意義で扱うかは常識の範囲内で作者に委ねられているがこの常識というのが厄介でそも世の中にはグレーゾーンと言うものが存在しきっと今回も運営さんをこのグレーゾーンの魔が襲うことは想像するに難くなく中にはこうしてわざと
あっ・・・。
書いた文が、消えた・・・。
なるほど。4ページ分の文量を超えると強制的に白紙に戻されるのか。
これで1ページに50ページ分の文章をぶちこむというイタズラは不可能となったわけか。
先手を打つとは、やるじゃないか運営さん!
まあ、それでもこのまま、50ページぎりぎりまでダラダラとやっていれば・・・
「うそっ、もしかして・・・50ページ以上書ける!?」作戦の真偽の程が試されるであろう!
ちょうどここで半分だしね。
よぉし、おじさん、頑張って「悟り」をテーマにあと24ページで落ちまでつけちゃうぞぉ!
<ドンドン!
ひぃっ!
<朝っぱらからウルセーぞ! 静かにしろ!
(な、なんだよ・・・あんただって午前四時にテレビを目覚まし代わりにして起きてるじゃないか!)
(すっごく、すっごくうるさくて迷惑なんだからね! 今日こそ言ってやる、言ってやるんだ!)
(漢(オトコ)小豆龍の爆誕する日が今日だ! お隣さんを爆誕ついでの爆風で消し炭にしてやるぜ!)
うぉおおおおおおおおおお(超小声)
ダッ
ガチャ
バタンッ
<おや、こんな朝っぱらから誰だ?
<だ、誰だ! 誰だ貴様! 警察呼ぶぞ!
<・・・あの、午前四時のテレビうるさいんで止めてくれませんか?
<なにわけのわからないことを言っているんだ! 呼んだぞ、もう呼んだからな! 豚箱で後悔しやがれ!
ピーポーピーポーピーポー
<警察だ! 大人しくしろ!
<え・・・ガチ・・・?
<家宅侵入罪で現行犯逮捕。午前六時二十八分。あなたには弁護士を呼ぶ権利と黙秘権があり・・・
<いや、あの、ちょ、タンマ、あの、ほんと、違うんですって、わたしうそ言わない、ほんとしかいわない。
<言い訳は署で聞こう。また、あなたにはキミP運営さん侮辱罪の嫌疑がかけられている。覚悟するんだな。
<なぜばれたし。
小豆龍は落ちをつけられなかった悔しさと両手首に鉄の冷たさを感じながら、絶対の強者とは誰なのかを、これからの人生と引き換えに悟ることとなった。これから彼を待つのは豚箱での灰色の人生なのか、それとも弁護士によって数年後に娑婆へと戻り、前科者として送る暗い人生なのか。
それが分かるのは、こうしてページ数を稼ぎ、さらに1ページ内の文章量も増やして運営の様子をうかがう徹夜テンションの現実で実在する小豆龍だけであった運営さんごめんなさい。
さあ、君もキミPに登録して表現者となろう! I WANT YOU FOR キミP!