・・・きついわ
確かにゲームで負けたよ。罰ゲームやるって最初に皆で約束しあったよ。でもこれってさ、イジメじゃね?
でさ、罰ゲームって変顔だったじゃん。んで負けてみたら箱持ってこられて「入れ」って。そしてその中で変顔をやり続けろと。
でも変顔やめると何故か静電気が起きるんだよね。なんなの?どこで見てるの?
・・・ん?
・・・誰かが近づいてくる気配がする。嫌だ。こんな姿を見られるのは嫌だ。逃げよう・・・アアッ静電気がッ!!
ガラッ・・・テケテケテケテケ
さ、今日も1人で優雅に屋上でご飯た~べよっと♪
さっきあの娘たちがわたしのお弁当に何かしてたんだよね~、もしかしたら美味しいおかずでも入れてくれたのかなっ?
あっ!虫が入ってる!それも凄い派手な色合いのなんか毛がいっぱい生えてる虫!
あの娘たち、わたしが最近食虫にはまってる事を知ってくれてたんだ!嬉しい!
モグモグ・・・モグモグモグ・・・
・・・なんだあの娘は・・・
幸い俺の事はただの箱として認識してるようだ・・・しかし・・・
そんなことはもはや問題ではなくなった。虫が弁当に入ってる・・・間違いなくイジメだろう・・・いや・・それ以前に食虫とか・・・
なんか・・・アレだ・・・食虫は個人の趣向の問題だから口出しはできない・・・が
イジメに気付いていない・・・このままだとあの娘はいつか傷つくような目に合うだろう・・・
俺には妙な使命感が湧き上がっていた。あの娘を助けてあげたい。そう思っていた。しかし変顔は続けていた。
・・・よし・・・
「ちょっといい?」
ハムッ・・・モグモグ・・・グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ・・・ん・・・?
「箱が喋った・・・?」
「箱だが箱じゃない。訳あってここからは出られないが俺の話を聞いてくれ。」
・・・
「なあ、君はもしかして、毎日皆から仲間はずれにされたり持ち物を隠されたりしてないか?」
・・・(なんなのこの人。こんな姿で・・・もしかしていわゆるいじめられっ子ってやつ・・?可哀想に・・・)
(まあ、凄く不審だけど、無視するのはよくないよね・・・)
「なあ、どうなんだ?思い当たる事は無いか?」
「えっと・・・」
(きっとこの人はおしゃべりする相手がいないんだ。だったらわたしがおしゃべりしてあげないと・・・)
(なるべくおもしろおかしく・・・)
「そうですねっ!一週間に七日物はなくなります!」
「皆わたしに宝探しゲームをさせてくれてるんですよっ!!」
「たまに難易度がエクストリーム級になることがあって、校庭の池の中とかに配置されてるんですよ~」
「仲間はずれにされる事もありますね~。でもそれは皆がわたし関連の計画を練っているからなのです!」
「やっぱりサプライズを受ける側がその計画の場にいたらだめですもんねぇ~」
・・・
(なんだこれは。ド天然なのか?究極のプラス思考なのか?ドMなのか?)
(つかアレだろ?サプライズはサプライズでも負のサプライズだろ?)
とにかくこの娘は普通じゃない。それは食虫うんぬんのくだりで判り切っていたことだが。
「え・・・えっと・・・」
「ま・・・毎日楽しそうでいいね・・・」
(いやいやいや違う違う言うべき事はそんなことじゃない。だがならばどういうことを言うべきかがわからない)
「でしょお☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆)
「毎日たのしーです!!これが噂のリア充ってヤツですね!!今、人生の中で一番充実した時だと思ってます!!」
「なんかもー、青春バンザイってヤツですか?なんちってうぇへへへっ」
「あ・・・ああ・・・うん・・・」
「こんなところで箱に入ってる寂しいつまんないクズのような毎日を送ってる人にはわからないかもですけどねっ!!」
(なんか散々言われてるぞ・・・)
とんでもない。とんでもない娘だ。どうしよう。どうすればいい。このド天然プラス思考娘を。
これから如何なる方向へ持っていけばいいのか。何も判らない俺はただこの娘の言う事を黙って聞いていた・・・
後半へ続く