僕は、いつも家に居る。
いわゆるニートだ。
外見はフツメン・・・いや、イケメンと言えるレヴェルかもしれない。
しかし、俺にはこのゴミ屑のような社会に出る価値を見出せなかった。
しかし、その”価値”となりえるものを発見した。
もえかたんに会うことだ。
もえかたんはネットアイドルをやっていて、俺はネットでもえかたんに出合った。
もえかたんは俺の理想の人間だった。頭の悪い、世の中の人間とは全く違う生き物だった。
俺はもえかたんに、交際を申し込むことを決めていた。
今日の正午にもえかたんと会う約束をしている。
一世一代の大事な日。心していくぞ。
家から一歩出たとき、久しぶりの外の光景に俺は眩暈を覚えた。
行くか・・・
俺のもえかたんに告白しよう大作戦は今、始まった。
はあ・・・都心だ・・・
何年かぶりに外に出た上に都会にでるなんて、俺にはちょっとハードルが高かった。
電車を3度間違えてしまった。しかし、もえかたんに会って恋人にするためにはこんな苦労はたやすい。
待ち合わせは・・・喫茶店だったな。
俺は待ち合わせ場所である喫茶店へ向かった。
待ち合わせ場所に着いた。扉を開くのがものすごくためらわれる。
しかし、もえかたんに会わなければ外に出た意味が無い。意を決して喫茶店の中へ入った。
いらっしゃいませー
入った瞬間、もえかたんが目に入った。あまりの美少女っぷりに俺は失神しそうになったが、そこは抑える。
「・・・?注文ですか?」
もえかたんがメニューを持ってきてくれる。俺はメニューともえかたんを交互に見た。
「じゃあ、もえかたんのオススメをもらおうかな!」
「あっ・・・ハイ・・・」
「じゃあオムライスひとつー」
もえかたんのちょっぴり困った顔は、ものすごく可愛かった。
「それじゃあ、またなにかありましたらお呼び下さい」
そういって、もえかたんがどこかへ行ってしまいそうだったので俺はもえかたんの腕を掴んだ。
「な、なんですか?」
もえかたんが俺のほうを向いてくれた。告白のチャンスだ。
「俺はもえかたんをネットでみつけて、もう俺の恋人はもえかたんしかいないって思った」
「もえかたんがいたからこの最悪な社会の中でも生きようと思えたし、これまで生きてこれた」
「もえかたんほどの女性なら、俺の恋人になる資格がある」
「どうだ、俺の恋人になってみないか?幸せにする。必ずだ」
「・・・フゥ」
もえかたんはため息をついて、言葉を紡ぎだした。
「勘違い男は何人もあしらってきましたが、貴方ほど自分のことを過大評価をしている人間は見たことがありません。」
もえかたんの口から、信じられない言葉が出て行く。
「ふざけんなですよ。こちらはアイドルなんです。あんたなんかと付き合うわけがないってわからないんですか?このニート野郎が」
「社会のゴミでしかないんですよ。貴方が嫌っている社会の底辺なんですよ。そこのところ、分かってますか?」
もえかたんは淡々と話す。
違う・・・こんなの・・・もえかたんじゃない。
「お前、もえかたんじゃないな」
俺がトリックを見破ると、もえかたんはしゅんとした顔をした。ほら、思ったとおりだ。
「そこまで頭が弱いんですか・・・かわいそうに。」
もはや、俺にはこの偽もえかたんの声は聞こえていなかった。
俺は決めた。
本物のもえかたんを探し出すと。
そして、俺の恋人にすると。
とりあえず、俺は情報を集める為にまた家に篭った。
いつか、もえかたんに本物のもえかたんに会えるその日まで。
あでゅー☆






