とある辺境の村に… ****(アスタリスク) という名の勇者がおりました。
ある日の事…… 勇者****は王様に呼ばれ 城へ招かれました。
王様 「よくぞ来た勇者よ。 何故わしがそなたを呼んだか 分かるか?」
**** 「そりゃ…俺が勇者だからだろ?」
王様 「そうじゃ」
王様 「お主は選ばれし者。 そこでお主に頼みがある」
王様 「魔王を倒し、 世界を救うのじゃ!」
**** 「お安い御用だぜ! 全パラメータMAXの俺に 敵はいないZE!」
**** 「俺TUEEEEEEEッ!!」
王様 (こやつのステータス……)
ピッ。
**** Lv.1 [勇者] HP:9999 MP:9999 攻撃力:9999 防御力:9999 素早さ:9999 運:9999
王様 (うわぁ……これってチー……)
**** 「王様!どうかしたか!?」
王様 「……いや、何でも無い」
王様 「ではこれを持っていくが良い。 旅の助けとなるだろう」
****は錆びた剣と50円を貰った
**** 「……王様?」
王様 「何じゃ?」
**** 「これで魔王を倒して来い… って言う気か?」
王様 (なんかつい最近… 同じような事を言った者が おった気がするが……)
王様 「それが勇者の基本的な 初期装備じゃよ」
王様 「うちの城は資金的な余裕が無い。 強い装備が欲しいなら自分で…」
**** 「悪いけど俺、 錆びた剣も50円もいらないッ!」
王様 「えっ」
**** 「何故なら俺ッ! もう伝説の剣も持ってるし、 所持金もMAXだしッ!!」
**** 「俺TUEEEEEEEEEッ!」
王様 (それやっぱりチー……)
**** 「今ならッ、魔王も楽勝だし、 暗黒王も闇の帝王も 楽勝だぜッ!」
**** 「ヒャッハー!俺マジ最強!!」
王様 (駄目だこいつ… 早くどうにかしないと……)
**** 「それじゃ、行ってくるぜ! 魔王なんて1ターンで 倒してきてやるよ!!」
**** 「じゃあな~、王様!!」
王様 「………」
王様 「……」
王様 「ちょっと電話かけるか…」
ピ、ポ、パ。
トゥルルルル……
トゥットゥルルル……
ガチャ。
GOD 「もしもし?私が神だ……」
王様 「もしもし、わしじゃよ。 わしわし、わしキング」
GOD 「おっ、王様久しぶり~。 元気してる?」
王様 「わしは元気じゃ。 んで、少し頼みたい事が あるんじゃが……」
GOD 「えっ、何々?」
王様 「実はうちにチート勇者が 来てのう……」
王様 「ゲームバランス的にやばいから どうにかしたいのじゃが…」
GOD 「チート勇者~? ああ、最近話題の****か。 困るよねぇ、ああいうの」
GOD 「自分の力で強くなったわけでも ないのに俺TUEEッ! とか言ってるやつでしょ?」
GOD 「最近ああいう勇者増えてるよね。 うちとしても困ったもんなのよ。 ついこの前だって…ぶつぶつ」
王様 「…で、どうにかならんかのう?」
GOD 「私の部下のプロっちゃんに お願いすれば何とかなるかも。 あの子中々やり手だし」
GOD 「あとは…そうだなぁ」
GOD 「教会に問い合わせて ****が全滅したら そのまま放置って指示出しとく」
王様 「すまんな…色々無理言って」
GOD 「良いって良いって。 機会があったら今度飲みにでも 行こうよ。某竜王大陸に」
王様 「それじゃ、またの」
GOD 「はいは~い、またね~」
ピッ……。
………
……
…
その頃の****(アスタリスク)。
**** 「よっしゃ~!! ついにやって来たぜ魔王城!」
**** 「さっさと倒してエンディングだ! 長かったぜ~!」
**** 「お!あれが中ボスだな! よ~し、さっさと倒して 魔王の間に突入だ~!」
中ボスがあらわれた!
****の攻撃! 中ボスに0のダメージ!
中ボスは様子を見ている……。
**** 「あ、あれ……? おかしいな…。 俺の攻撃が効いてない……?」
****の攻撃! 中ボスに1のダメージ!
中ボスはドヤ顔をしている…。
**** 「くそっ!何でだ!? 今までのボスはオーバーキルで 楽勝だったのに!!」
中ボスは詠唱を始めた……。
**** 「呪文か! でも呪文なんて俺には効かねえ! 俺はTUEEんだからな!」
中ボスはザラなんとかを唱えた!!
**** 「へっ…そんな呪文が 俺に効くかぁッ!!」
**** 「ぐふっ!」
****は全滅してしまった……。
……
…
**** (へっ…でも教会に 送り返されるだけだろっ!)
**** (全回復してもう1回行けば良い… 今度は即死防止の装備で 行けば良いんだからなッ!)
**** (しっかしなんか復活遅せーな…。 目の前が真っ暗だぜ……)
**** (いつになったら 俺は復活出来るんだ?)
どこからともなく声が聞こえる…。
??? 「勇者****よ…。 あなたは死にました…」
**** (それは分かってるよ。 だから早く復活させてくれよッ)
??? 「それは無理です…」
**** (はあ?何でだよ。 俺は勇者だぞ!!)
??? 「あなたは私達の世界における 最大の禁魔術…“チート”を 使いました……」
??? 「初めから全パラメータMAXなど という面白味の無い行為を 私は許してはおけません……」
**** (そんなの俺の勝手だろ! 大体お前は誰だよ! 俺の冒険を邪魔しやがって!)
??? 「私は……この世界」
プログラム 「正確に言えば、 この世界の全てを構築している プログラムです」
**** (なん…だと…?)
プログラム 「あなたは私を怒らせた……。 故に私はこれを消去します」
**** (そ、それは……!?)
プログラム 「これはあなたの冒険の全てが 入っている書物……」
プログラム 「すなわち、冒険の書です」
プログラム 「これを消せば冒険はもちろん… 全パラメータ、全所持アイテム… 全てが消えます」
プログラム 「もちろん****(アスタリスク) あなたも消えます」
プログラム 「あなたには罰として……」
プログラム 「うっかりセーブデータを 上書きしてしまいRPGを最初か らやり直す時の絶望を与えます」
**** 「う、うわぁぁぁッ!! や、やめろぉおおおッ!!」
プログラム 「えい」
**** 「あっ」
冒険の書1は消えました。
………
……
…
トナリノ村 ~酒場~
魔法使い 「………という夢を見たのよ」
賢者 「へえ~…それはそれは」
魔法使い 「ところで昨日毒の沼で倒れてた 人の様子はどうなの?」
賢者 「ええ、よくお休みになってます」
魔法使い 「全く…何であんな場所で 倒れてたのかしら」
魔法使い 「おかげで私のHPも 減っちゃったじゃない……」
魔法使い 「薬草の一つも持ってないなんて 非常識にも程があるわ…」
賢者 「まあまあ。 誰だってミスくらいしますよ~」
魔法使い 「……まあ、良いけど」
魔法使い 「あの男が回復したら 私の仕事を手伝ってもらう事に するわ!!良いわね!」
賢者 「了解~ッ」
つづく……。