あー、田舎って本当にやる事無いよなー。お盆の帰省って言われても、お墓参り終わっちゃったらさ。大人達は昼からでも酒盛りしてるからいいんだろうけど
ちょっとぉー、何やってんの?
何って、暇だから散歩……って君、誰?
私? 私はね、ちーちゃんって呼んでよ
ここら辺の子なの?
うん。馬に乗って、ちょっと向こうからね
馬なんているの?
うん。割りと一般的よ?
そ、そうなんだ
ん? どうかした?
いや、その……。か、可愛いなって
え? 私? もう、やだー。でもありがとう
や、ご、ごめん! 変なこと言って……
でも私、好きな人居るから……ごめんね
あ、あはは……そうだよね
もう、そんなに暗くならないでよ。よく見れば、結構格好良いんだから
いいよ、そんなお世辞
……よく見ると、目とかあの人そっくりだし……
え? 何か言った?
ううん、何でもない。それよりも、私と遊ぼうよ! ほら、ここら辺とか案内してあげる
え、ちょっと……
それから、ちーちゃんと色んな所で遊んだ。山に行って、川に行って、都会暮らしの僕が知らないような遊びをした。
ちーちゃんは、僕とは違いすごく活発的で、優しくて、可愛い子だった。
あ、もう夕方かー。私、そろそろ帰らないと
もう帰っちゃうの?
うん、迎えの牛が来る頃だから
ま、また会えるかな?
また来年、ちゃんと来てくれたら会えるよ。それじゃあね
――
こんばんは
あ、隣のおばあさん
ほら、スイカ持ってきたから、一緒に食べようと思ってね。ちーちゃんも、きっと来てるだろうし
ちーちゃん?
千代ちゃんだよ。あんたのおばあちゃん
それからスイカを食べながらちーちゃん――おばあちゃんの話を色々ときいた。
活発でいつも走り回ってて、困った人がいると助けずにはいられない人だったらしい。
縁側のナスの牛を見ながら、来年もお墓参りに来ようと思った。