これが秘宝、『三本の矢』の一本っすか。秘宝って聞くだけで、持つ手が勝手に震えるっす。
で、その『三本の矢』の残り二本を探し出して欲しいと。私に負けず劣らずの乳房を持つお客さんの依頼だ。
(負けず劣らずって・・・・) で~、残りの二本を集めるとなんかあるんすか?
なんでも一族に伝わる財宝の隠し場所を示す手がかりになるらしい。時価数百億は下らないそうだ。
なんか胡散臭いっすね~。 で、引き受けちゃったんすか?
受けた依頼は極力引き受けるのが我が探偵事務所のポリスィだよ、忘れちゃったのかい、潤ちゃん。
聞こえはいいですけど、あまりに仕事が来なくて引き受けざるを得ないだけっすよね。今日も大家さんに家賃滞納の件で怒られたっすもんね。
・・・・そんなわけで、当事務所の存続のためにも、頑張ってね潤ちゃん。
はいはい了解っす、姉さん。
帰れ帰れ! 貴様らのような得体の知れない連中に、我が一族の家宝『三本の矢』の一本を易々と渡してたまるか!
いえ、ちゃんと用が済んだらお返しします。少しばかし拝借するだけですので・・・・
そう言って盗みを働こうとした族を何人も葬ってきた。貴様らも同じ目にあいたいか?
おやおや? この床だけ木目が違いますね? なんででしょうか? ちょっと剥がしてみましょうか。
おっ!? おい貴様、なにして・・・・!?
金の延べ棒にダイヤ・・・・なるほど、世に言う脱税ってやつっすね、姉さん。
た、たのむ! この事はどうか隠密に・・・・
では、この『三本の矢』の一本を貸していただくと言う事で、どうでしょうか?
くそう! 持ってけ泥棒! こんちくしょう!
・・・・・・。
・・・・姉さん。
ダメだ潤! こんな人ごみの中で抱き合うだなんて・・・・私には出来ない!
もぅ! そうじゃなくってっすね。
ああん! そんな! 潤ちゃんいつからそんな大胆に・・・・!?
姉さん自分から抱きついといて何い
次の角、右、走る。
え!? ちょっ!? 姉さん!? ひっひっぱらな・・・・!!
ほう、こちらに気付いていたか。中々手ごたえのありそうな連中だな・・・・。
ふふふ、いよいよだ・・・・。いよいよ『三本の矢』の秘宝が我が手に・・・・!
やめてメアリー・ジェーン! こんなことをして、亡くなったご両親が喜ぶと思って!?
見ていてお父様、お母様! メアリーは今、復讐を果たして見せますわ!
あんたら! よくもあたしらを利用してくれたっすね! 仏の潤ちゃん(その心の広さは瀬戸内海{タコ生息})と呼ばれるあたしも怒ったっすよ!
もう遅い! 今さっき封印は解かれた! 地球が酸の海と化すのも時間の問題よ!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
大変! もうすぐ湖のそこから酸が吹き出るわ!
あああああ、地球はもう・・・・お終いっすかぁ~・・・・姉さぁ~ん・・・・
あはははは! 滅びろ! こんな星など滅びてしまえー! ふはは! ふはは! ふはははははは!
ごく・・・・ごく・・・・
ぷはぁー! やっぱり天然の炭酸水は一味違うね潤ちゃん!
だから! 証拠物件に勝手に手をつけちゃいけないって散々言ってるじゃないっすか姉さん!
この湖全部が証拠なの? だったら少しぐらい飲んじゃってもばれないって! ほら潤ちゃんも一杯!
そういう問題じゃないっすよ!
それにしても、『三本の矢』が示す秘密の財宝が、まさか高純度の炭酸水だったとは・・・・。
これが本当の『三ツ矢サイダー』・・・・ってやつっすか?
ははは、まさにその通りだな!
まぁ私はキリンレモン派だがな。
~終劇~