よっ、鈴木。
…私ですか?
それ以外に誰がいるんだよ、鈴木ィ~。
いやあの、私鈴木じゃ…
つれないこと言うなよぉ~中学のときいじめたのまだ根に持ってんのかよぅ~。
ええ?!
(いじめ…?こんな女の子が…?)
ほらさー、思い出せよぉ~思い出の釘バットあるからさぁ~。
釘バット?!
(いやそれ以前に釘バットが思い出ってなんだ?!随分荒んだ思い出だぞ!)
ほらさ、あれもあるぞ。タバコじゃ火がつくからダメっつって使ったやつ。ほら、あれ。
いや、中学生がタバコ持ってちゃその時点でダメでしょ。
だからあれ使ったっつってんだろうが!あれだよあれ!近藤真彦!
マッチでぇーす!…じゃねえよ!そこまで覚えてるならわかれよ!マッチだよ!
そうそう、それな。マッチな。
マッチでさ。こう、腕を…ジュっと。
タバコより危ねえ!しかもひでえ!
あの熱い思いを忘れちまったのかよ鈴木ィ!
なに青春ドラマのワンシーンみたいな言い回ししてんだ!
それに私は…鈴木じゃねえ!
そうなん?…あー…佐藤だっけ?
名前の問題じゃねえよ!私とお前は面識ないって言ってんの!
あー、なるほどね。どうりでよく考えたらいじめなんてした覚えないはずだわ。
……?!
じゃっ、そろそろ予備校あるし帰るわ。じゃあな鈴木ィ!
な、なんだったんだ…?
いじめなんてした覚えないって…かわいそうだなあ、隣のクラスだった鈴木さん。