ヒソヒソ…
まだ下らない噂治まらないみたいだな。…まぁ当然か。こうやって二人一緒にいる訳だし怪しまれても…
その”下らない”っていうのやめろって? 何で?
”何でも”じゃ、よくわかんねーよ。俺、そんなに賢くねーんだからよ。
んなことより、さっさと次の試験範囲教えろよ。
え~、こんな分厚いのぉ? 嫌んなるわ~。
じゃあ留年したらって? そんな酷いこと言うなよぉ。
お前だけが頼りなんだからよ。
…また思い出し笑いか?
あ゛?
だから、ビクってすんなって!
しょうがねぇじゃねぇか。癖なんだからよぉ。
で、何だよ?
あー、あのプレゼントしてくれたぬいぐるみね。大事にしてるかって?
勿論じゃん! 何せ初めての友達からのプレゼントだからな。失くす訳ねえし。ベッドの上で寝てるぜ。
何だよ、その残念そうな顔はよー。大事にしてるって言ってんだろうが。
俺達の関係?
…逆に、俺とどういう関係になりたい訳?
ず…っ!
何がズルい! だよ。お前から聞いてきたんだろ。
そだ! 駅前のゲーセン行こうぜ! クレーンキャッチャー!
クソッ! クソッ!! クソッ!!! あの熊欲しかったなああ!
何で全然取れねえんだよ! せっかく2千円も注ぎ込んだっていうのに! 絶対何か細工してるに違いねえ!
ブーッ、誰が下手クソだっ、笑ってんじゃねえぞコラッ!
…身構えるなよ。別に下手クソって言われてお前殴ったりしねえからさ。
お前の中で、俺はすぐ殴る暴力男ってキャラ定着してるんだったら、そろそろ払拭してくれよ。
少なくとも…、お前には手出さねえし…。
今、腹鳴ったよね? 絶対鳴ったって! 何だよ、腹減ってんのかよ。だったらどこか食いに行こうぜ!
恥ずかしがるなって! 人間誰しも腹は減るし、鳴るもんなんだって。ほら、行くぞ!
何見てんだよ。
まだ腹鳴ったのイジった事怒ってんのかよ。お前は泣いたり怒ったり忙しい奴だよな。
…お前が食ってる奴。そう、ソレだよ。旨そうだな、一つくれよ。
自分で買ったらって? ケチー。さっきゲーセンで使い切ったの知っててソレ?
じゃあ飯誘うなよってか。うぐ…痛い所突かれたな。
なんかこれって、放課後の制服デートっぽくない?
うっわ、ポテト吹き出した!
おい、大丈…
…だから身構えるなって。ちょっと背中さすろうと手伸ばしただけじゃん。
あのさ…、ちょっと来てくれねえかな。
…ここじゃ話せねえ用件なんだよ。
えーっと…、何て言ったらいいのかな?
お前に出会って、色々会話したり、遊びに行ったりしてる内に、
それで俺、気づかされたんだ…。
今日、思い切って告白する。
俺…、
バイト始める!
…なんだよ、その拍子抜けのしたツラはよ。
そんな話なら、わざわざこんな所に連れてくる必要ないじゃん、だって?
バカッ、不良が学業とバイトを両立してるだなんて学校の連中に知られたら、なめられるだろ。
…てか、何の話だと勘違いしてたんだ?
おーい、どこ行くんだよ! 話は終わってねえぞ! 今から一緒にバイト探し手伝って…
~続く。