あーっ、私が後で食べようとしていたシュークリームがッ!?
というわけで、シュークリームを食べた犯人は、キミたちの中にいるのだ。
千鳥山先生。
種子島くん。
私は、キミたちのうち、どちらかが犯人じゃないかと思っている。
そんなぁっ、濡れ衣だよぉ!
彼女の言う通りです。私たちは無実です。
学園長は、なにを根拠に私たちを疑うのですか?
・・・私の目が、247個あることは、知っているね?
隠しカメラのことですね。
その目が私に真実を教えてくれた。
私がこの学園長室を離れている間、ここを訪れたのは、キミたち2人だけだったのだ。
私は、保健室に仕掛けられた学園長の目もといカメラのことで抗議をしに、ここに・・・。
この部屋にシュークリームがあることなんて、今聞くまで知りませんでした。
種子島くんは、なぜここに?
わ、わたしは、ここに千鳥山先生が入っていくのを見かけたから、後ろから声を掛けてびっくりさせようと思って・・・。
でも、千鳥山先生は部屋のどこにもいなくて、入れ違いになったのかなって思って、部屋を後にしました。
残念なことに、この部屋に仕掛けたカメラが壊されていて、中でいったい何があったのかわからず終いだ。
しかし、心なしか、キミたち2人からなにか甘い匂いがするような・・・。
女の子は、なにかしら甘い匂いがする生き物なのっ!
まじで?
いっそ女の子に生まれれば良かったー。
今からでも遅くはありませんよ、学園長。
男性でも女子力をめいっぱい磨けば、女性顔負けの素敵な女性になれるものなのです。
・・・なれるかしら? 本場のピチピチ女子高生たちを嫉妬狂わせるくらい、魅力的な女子に?
勿論です。
しかし、女子力を磨けといえど、何から手をつければ良いかわからんな。
毎日自前でキャラ弁を作ってくるくらい女子力の高い千鳥山先生に、ご教授願いたいものだ。
が、学園長・・・。種子島くんの前で、私の女子力についてひけらかさないでくださいッ。
一応、種子島くんの前では、クールでアウトローでどこか影のある肉食女教師を演じているので、
キャラ弁なんて可愛い趣味とは無縁の設定なんです。察してください。
それは悪かった。
謝るから、ぜひワタクシめに女子力の磨き方を教えてつかーさい。
・・・仕方ないですね。それでは手始めに1つ。
シュークリームの件については、今回水に流してください。
な、なぜじゃ!?
悪を受け入れ、全ての罪を許す。 その器の大きさは、まさに母性に通じます。
母性こそが、究極の女子力とは思いませんか?
うぅ・・・千鳥山先生が言うんだから、おそらくそうなのだろう。
うむ、分かった!
今回のことは、笑って許すとしよう!
というわけで、私は改めてシュークリームを買い求めに行ってくるぞ!
留守は任せた。
いってらっしゃい。
・・・・・・。
さて、種子島くん。
なに、先生?
キミから放たれる甘い匂いとやら、検証させてもらおうか?
そんな!先生まで私を疑ってたんですか?
いいや、キミは犯人じゃないよ。
何故なら、シュークリームを盗んだのは、他ならぬ私だからだ。
エーーーッ!!
じゃぁ、なんで名乗り出なかったんですか!関係ない私まで学園長に疑われて!もう散々だよ!
すまない、種子島くん。
ううん、許さないよ!たとえ千鳥山先生でも!言っちゃうもん!私、学園長に真実を告げちゃうもん!
パクッ!!
うーん、デリシャス。
・・・って、この口の中いっぱいに広がる濃厚なクリームの正体は?
食べたね?学園長のシュークリーム。
もぐもぐ・・・。
してやられたッ!!
これでキミも共犯者だ。
ひどいよ、先生・・・。
さて、続きと行こうか?
いたいけで穢れを知らずにいた唇の上に塗りたくられた、罪という名の白濁のクリーム・・・。
いったい、どんな味がするのだろう?
きっと・・・危険な味がしますよ?
千鳥山くん、私を誘っているのかい?
ホント、悪い子だね・・・。
せ、先生・・・ッ!
・・・・・・。
そうだ、パティシエになろう。